アプリ配車のマナーが話題に(GOのプレスリリースから)

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スマートフォンのアプリなどを利用して、客がタクシーを同時に複数台手配する迷惑行為が増えているとして、神奈川県藤沢市内のタクシー会社が公式Xで苦言を呈している。

実際に乗ったタクシー以外はキャンセルになるため、運転手の収入減にもつながるという。どんな状況になっているのか、投稿した江ノ島タクシーに話を聞いた。

何台か手配し、早く着いた方のタクシーに乗る

「最近、GOアプリでご乗車される方で」。江ノ島タクシーは2024年8月2日、このように切り出して、「お願い」と題した投稿を公式Xで行った。

それによると、増えているのが、アプリでタクシーを呼ぶのと並行して、電話や他のアプリで別のタクシーを何台か手配し、早く着いた方のタクシーに乗るという行為だ。

乗車しなかった方のタクシーについては、キャンセルしたりキャンセル依頼の一報を入れたりすることになる。同社では、「これに発生したご料金は、システム上、キャンセル料としても回収できないことになっています」として、次のように訴えた。

「システム上出来てしまうのが悪いと言われればそれまでですが、こちらもドライバーを動かして人件費も発生します、燃料費も発生します、ドライバーは売上にもならず給与にも影響してきます。ご利用のお客様におかれましては、モラルを守っていただき、このようなご乗車はご遠慮いただきますようよろしくお願いいたします」

キャンセル料については、アプリ上で徴収をされる場合もあるが、GOにのみ支払われ、タクシー会社には支払われないという。

この投稿は、関心を集めて3000件ほどリポストされ、様々な意見が寄せられている。

全国的にタクシー不足が指摘される中で、「配車できませんでしたパターン多いからじゃない?」といった推測も出たが、タクシー供給にも悪影響を与えるモラルの欠けた行為だと批判する声が多い。

「他の客が乗れなくなるほか、運転手も売り上げにならない」

他のタクシー会社からも、同調する声が出ており、熊本タクシー(熊本市)は8月2日、今回の投稿を引用して、「これは本当に日本全国各社からの心からのお願いです」「どうか、乗務員さん達の努力を無駄にする行為はおやめ下さい」などと公式Xで呼びかけた。

また、江南交通(神奈川県平塚市)の広報担当者は同日、投稿を引用しながら、「タクシー乗り場でタクシーいなかったらからタクシー呼んで、空車が来たからキャンセルパターンも良くありますね 出来るだけご遠慮いただきたいです」とX上で報告した。

投稿した江ノ島タクシーの担当者は13日、J-CASTニュースの取材に対し、複数台を配車する一部の客の行為について、こう話した。

「例えば5台を同時に配車したとすると、他の組のお客様がタクシーに乗れなくなってしまいます。複数台呼ぶのは電話だけの時代から、こうした行為は0ではなかったですが、アプリで気軽にタクシーを呼べるようになって、数倍ぐらいは増えた感じがします。特に夏の湘南地区は、道路が渋滞しますので、タクシーが着くのに通常よりかなりお時間がかかることもあり、キャンセルされてしまうとドライバーの売り上げに繋がらないのでドライバーが大変困ってしまいますね」

GOアプリがキャンセル料を取った場合については、タクシー会社にも配分してほしいと問い合わせをしているというが、なかなか実現には至らないという。

今回の投稿でも、この問題の背景として、売上やモラルの問題があることに客の認識が至っていないといい、キャンセル料を取るなど何かしらの罰則がないと複数配車の行為が減らないのではないかとの見方を示した。

タクシー会社にキャンセル料徴収分を配分していないことなどについて、アプリを運営するGO(東京都港区)にも取材したが、13日19時時点で回答は来ていない。回答が来次第、追って伝える。

(J-CASTニュース編集部 野口博之)