R-18の展覧会『美しい春画-北斎・歌麿、交歓の競艶-』開催、葛飾北斎の幻の名品、最も有名な「蛸と海女」など展示
9月7日(土)~11月24日(日)に京都の細見美術館にて、18歳未満は入場禁止の『美しい春画-北斎・歌麿、交歓の競艶-』が開催される。
日本初公開、喜多川歌麿「階下の秘戯」(部分) 似鳥美術館蔵【通期展示】
一般に人間の性愛を描いた絵画の総称で、男女の姿がおおらかに、時にユーモアをもって描かれている春画。同展覧会では版画・版本の作品に加え、特に1点ものである絵画作品「肉筆春画」に焦点を当て、これまで美術館での展示が叶わなかった作品や海外から里帰りを果たした作品を含む、精選された美麗な春画約70件を紹介する。巡回予定はなく、同館のみの開催となる。
「笑い絵」とも呼ばれた春画は、江戸時代に浮世絵の普及とともに、大名から庶民まで貴賤を問わず、男女対等に楽しまれていた。また春画は縁起物でもあり、嫁入り道具として母から娘や嫁に受け継がれていたが、明治時代以降、西洋的倫理観の流入に伴い、春画はタブーとみなされ、秘すべきものとされるようになる。
春画を巡る環境が大きく変化したのは、2013~14年に開催された、ロンドンの大英博物館で『春画 日本美術の性とたのしみ(Shunga sex and pleasure in Japanese art)』から。春画の高い芸術性とユーモラスな発想が海外で高く評価された。そして2015~16年には、日本では初めてとなる本格的な「春画」展が永青文庫(東京・目白)と細見美術館(京都・岡崎)で開催され、大きな注目を集めた。以降、浮世絵研究においても春画は特殊なジャンルではなく、絵師の作画活動の一つとして捉えられるようになる。
関西初公開となる、葛飾北斎 「閨中交歓図」(部分) 個人蔵【前期展示】
会場では3部構成に分けられて展示予定。第1章「上方春画の世界」では、さまざまな上方春画を紹介。中でも、18世紀後半の上方春画界を席捲した月岡雪鼎の作品は、江戸のそれと比較して濃厚な描写が特徴的。当時、雪鼎の春画を所持すると火伏せのお守りになるという伝説が生まれるほど、人気を博した。
日本の美術館で初公開、葛飾北斎「肉筆浪千鳥」より(部分) 個人蔵【通期展示】
見どころ満載となる第2章「北斎・歌麿の競艶」では、日本の美術館では初公開となる葛飾北斎の幻の名品「肉筆浪千鳥」や、喜多川歌麿の大作の『歌満くら』を展示。かつて春画の最高峰と目された『浪千鳥』、北斎自身の筆によると認知される『富久寿楚宇』とも同時に比較しながら見られる、初の機会となる。10月16日(水)からの後期展示で北斎春画作品の中で最も有名な「蛸と海女」の図で知られる『喜能会之故真通』も登場する。
歌川国貞 『艶紫娯拾余帖』より 国際日本文化研究センター蔵【頁替あり】
注文による1点モノの肉筆春画では、金や銀をはじめ、良質な絵具を用いて男女の肌や身体、着物などが繊細に描かれている。第3章「魅惑の浮世絵春画」では、艶墨が使われた髪、陰毛の緻密な毛描きなどの技を凝らした表現にも注目。また、版元や絵師の名を隠した地下出版物であった春本では、豪華絢爛な色彩に加え、雲母摺り、空摺といった江戸版画の超絶技巧を堪能できる。贅を尽くした美しい春画の世界を愉しもう。
会期中には、教授や学芸員による講演会を開催するほか、関連企画として春画をテーマとした映画『春画と日本人』も上映される。
横幅1メートル超えの大作、喜多川歌麿「夏夜のたのしみ」(部分) 個人蔵【通期展示】
展覧会のチケットはイープラスにて販売中。