50代の夫婦ふたりで暮らし、栄養士として病院や施設で働いた経験をもつミニマリストのブロガー・本多めぐさん。義実家のごはんをつくり始めた経験から、食費を安く抑えるコツを教えてくれました。

1:安い食材を買い、その組み合わせで流動的に献立をつくる

義理の親の介護が始まり、2家族ぶんの料理をつくり始めました。つくった分の材料費を徴収するというふうにしたので、あらためて食費を見直すきっかけになりました。

【写真】鶏むね肉を半分に切って冷凍

その経験から、無理せず習慣化できる食費節約のコツをまとめます。

ひとつ目のコツは「安い食材を買うこと」です。当たり前ですが、そもそも材料費が安ければ、料理の単価が下がります。ひき肉・豚こま肉・鶏胸肉など節約食材と、季節の野菜を組み合わせることを頭においておくと、買物するときに安くすみます。

底値にこだわってスーパーをハシゴしなくても、ひとつのお店で安いひき肉や旬のお野菜を選んで買えばじゅうぶん。いつも行くスーパーでだいたいの値段を把握しておけば、高い買い物をしなくなります。私はチラシのチェックはしていません。

買物のメモをして行きますが、事前に献立をカッチリ決めず、スーパーで安いものを見つけたら、それを使った献立にします。

食材別に買物するときのコツは、お肉は安いときに買って冷凍しておくこと。そうすれば高いときに無理してお肉を買わなくてすみます。

魚はお肉に比べて高いので買う頻度は減りますが、安いときに見かけたら鮭、サバ、シシャモなど安いものを購入しています。生魚より加工したフライの方が安いときがあるので、加工ずみの冷凍品や、お総菜も活用します。

野菜は流動的にそのときに安いものを買います。青い野菜が欲しいならその中でも安いものを選んで買いますし、淡色野菜が欲しければキャベツ・白菜・大根などその中でも安いものを選びます。

どうしてもつくりたいメニューがあれば(おでんをつくるので大根が欠かせないとか)、多少決まった野菜にこだわることもありますが、基本は安さで選びます。

あと年中価格が安定している、ニンジン、タマネギ、ジャガイモ、冷凍野菜は常備しています。そのほか豆腐や納豆、揚げ、キノコも大抵冷蔵庫か冷凍庫に入っています。こちらも安いときに買って保存します。

最近はコンビニでも意外と安いので、安ければコンビニでも買っています。頭の中にだいたいの値段が入っていて、いつもそれを意識するのがポイントです。

2:節約レシピのレパートリーをもつ

ふたつ目のコツは「節約レシピのレパートリーをもつこと」です。あらかじめ節約レシピをたくさんもっておけば、レパートリーの中から回すだけで、なにも考えなくても安くすみます。

安い食材は決まっていますよね。たとえば、お肉なら豚コマ肉、ひき肉、鶏胸肉。そのほか卵、豆腐、納豆など。野菜は季節によって変わりますが年じゅう安いニンジン、タマネギ、ジャガイモは常に活躍します。

あとはそれらをどう組み合わせて料理するか。節約メニューのレパートリーがあれば「なにをつくろうか」と悩まないように準備ができます。事前にレパートリーを準備し、さらに困ったらネットで食材名でレシピ検索すれば出てきますので、そのときに応じて検索するのもアリだと思います。

安い食材を買って、それを組み合わせる。組み合わせに困らないためにレパートリーをもっておくのがよいでしょう。レパートリーはそこまで多くなくても大丈夫。家族が好きなら毎週カレーのような定番メニューをつくってもOK。同じメニューが続いても好物なら文句は言われないものです。

3:食べ過ぎに繋がるので「つくりすぎ」はNG

3つ目のコツは「つくりすぎに注意すること」です。材料費が安くても、つくりすぎれば食べ過ぎにつながり、結果節約にはなりません。つい「つくりやすい分量」でつくってしまいますが、適量を心がけたほうが無駄がなく、冷蔵庫に余った料理をしまわなくてすみます。

たとえば、お肉をパックで購入するとパックごと全部使うことってありますよね。ひき肉なら小分けにしやすいですが、鶏肉が1枚あったとしたら食べる分だけ切って残りを冷凍するより、全部使ってしまいたいもの。その調子でつくると一食分より多くできてしまうことも。

次の日に食べたり、お弁当に入れるとか、上手に分配すればいいのですが、多くつくったら結果多く盛りつける傾向があり、そしてお皿に盛られたものは食べてしまいがち。栄養士としての経験からいうと、これが積み重なって食べ過ぎに繋がるので、適量をつくるのは大事なんです。

普段からつくりおきをされている方は、できた料理の中から食べたい量を取ることができるでしょうが、そういう習慣がないと「たくさんある」と気持ちが大きくなってしまうので要注意。

私は若いころは料理が面倒で大量につくり、数日ぶんと思っていても、あればつい食べ過ぎていました。反省です。

また、つくりおき料理をつくりすぎて、最後の方には飽きてしまったり、冷蔵庫の奥で忘れ去られることもあるかもしれません。適量をつくり、また大量につくるなら最後までいいペースで食べられるように管理を徹底しましょう。

4:お総菜などの調理ずみ食品と嗜好品に注意

最後に、節約を阻む注意点を紹介します。それは「お総菜など調理ずみ食品と嗜好品にお金をかけすぎること」です。

義理の実家は、少食のふたり暮らしなのに月の食費が6万! 聞いてびっくりしました。内容を聞くと、食材はだいたい生協の宅配で購入しており、煮魚などレトルト食品が多いとのこと。生協は安心安全ですがスーパーより割高で、その中でも調理済ずみのお総菜は高額。さらに高級なお茶、毎日飲む乳酸菌飲料、ちょっといいオヤツ。そういった物の積み重ねで食費が上がっていました。

注意すべきは、そもそも生協宅配という割高な場所で購入し(高齢なので仕方ないですが)、料理が大変だからとお総菜を買い、さらに嗜好品も買っている点です。

私の義実家の場合はこんな風ですが、ほかの方にとっても同じです。自炊をせず「中食」「外食」が増えると食費は上がります。

また、3度の食事だけを見ると節約していても、飲み物やお菓子など嗜好品は盲点になる傾向あり。サプリメントや青汁、乳酸菌飲料など健康のためにと思って、高いけれどずっと買っているものもあるのではないでしょうか。そういったものがあると、知らず知らずのうちに家計を圧迫するので注意が必要です。

4つのポイントで、食費節約に

まとめると、節約の基本は
・自炊して安い食材を買う
・節約レシピのレパートリーを持ち、安い食材で料理をつくる
・大量につくりすぎない
・嗜好品や健康食品に注意

このような点に注意してみると、見直すポイントがあるかもしれません。物価高の今、なるべく出費を抑えたいですよね。節約の参考になれば幸いです。