もしも子どもが「学校に行きたくない」と言ったとき、祖父母の立場からできることはなんでしょうか。脳科学にのっとった“孫育て”を実践中である脳科学者の黒川伊保子さんに、脳に優しい子どもとの接し方を聞きました。

孫が「学校に行かない」と言い出したら

ある日、孫が「学校に行かない」と言い始めたら、祖父母の立場としては、「あわてない、さわがない」が原則。

学校に行きたくない原因は様々なので、それによって対処法は違うけれど、けっして欠かしてはならないことは、「行きたくない気持ち」を受け止めること。

優等生だった方には思いもよらないかもしれないけれど、学校なんて、時々行きたくなくなるもの。そして、「学校は行かなくてはならないもの」じゃなく、本来「子どもたちのために用意された、未来を拓く魔法の扉」です。

この2つを、祖父母世代は腹に落としたほうがいいです。孫が「学校に行きたくない」と言ったとき、「学校には行かなきゃだめよ」と騒ぐのはNG。登校につまずいた子にとって、逃れられない責務として、かれこれ10年以上も学校に通うなんて、そりゃ過酷すぎます。

「これは権利で、たまには放棄していい」、そう思いつつも、なんとなく毎日通って卒業式…というのが気がラクなのではないかしら。祖父母は、そんなふうに振る舞ったらいいと思います。

「学校に行けない」だけで絶望する時代ではない

発達障害やいじめなど、深刻な問題をはらむケースは、子どもの気持ちを受け止めつつ、専門家の力も借りて対策を練って欲しいと思います。今は昔に比べて、学校へ行けない子どもたちの居場所が増えています。フリースクールもあるし、学歴関係なくネットで仕事を得て活躍するケースもあって、先の光は必ずあります。

この辺りは親たちが判断して対処していくだろうけれど、祖父母世代も、「学校に行けない」だけで絶望する時代でないことを、ぜひ覚えておいてください。孫の親たちから、孫の不登校を告げられたとき、絶望する人ではなく、おおらかな支援者でいてほしいから。

祖父母の役割は、追い詰められた孫やその親たちに、「絶望しなくていい」を言う立場にあります。学校はあらゆるチャンスを手に入れることができる場所だけど、絶望するほど絶対じゃないと考えます。