年老いた両親、義両親とどうつき合っていくか。これはアラフォー以上の世代にとってはとても大きな課題です。現在50代の整理収納コンサルタント、須藤昌子さんもまさにこの問題に直面しています。実家じまいを通して感じた、率直な思いを伺いました。

80代、もののありかが決まっていない

須藤さんの義理の両親は80代。現在は夫婦そろって施設に入居しています。無人になった義実家は、須藤さん夫婦がコツコツと片づけを進めている最中です。

【写真】義実家から出てきた大量の鍋やフライパン、食器類

ものを処分することが大変なのはもちろんですが、それ以上に須藤さん夫婦を苦しめていたこと。それは、もののありかが決まっていないことでした。

「施設に入居する前の義両親は、自分たちのそのときの思いつきでものを移動させていたよう。そして認知症の傾向もあり、年齢を重ねることで、思考力・判断力が衰えていくのだと思います。だから、思ってもみないところで関連性のないものが見つかる。逆に、年金関係の書類や実印など大切なものは、私たちが『ここにあるだろう』と思っているところを探しても見当たらない。もののありかを把握することにかなり時間を要しました」

義両親は捨てることに対する拒否感が強かった

義実家の片づけは、実家じまいをする前から少しずつ進めていたつもりだったと話す須藤さん。でも、なかなか進まなかったそうです。

「私に言わせれば不要でも、義両親にとっては大事だと思うものがたくさんありました。ほかの家事への価値観も同じで、私が代わりに掃除したり、ヘルパーさんを数時間お願いして手伝ってもらおうと提案しても、全力で拒否。施設に入所したことをきっかけに、『家のものを施設に持ってくることはできない』『自力で家事できない』とようやく理解してくれてホッとしています」

明らかな不要物を「捨てないで」と言われたら

まだ終わりが見えない実家じまいを進める中で、須藤さんが学んだこととは。

「自分たち以外のだれかがものを動かすことで、暮らしが変わってしまう、目の前のものを失いたくないという恐怖が義両親の中にあったのだと思います。でも、心にも収納スペースにもゆとりが必要で、私たちには私たちの生活がある。義実家の片づけだけに時間を使うことはできません。明らかな不要物を捨てないでと言われ、説得するのが難しいなら、『倉庫に預けてあるから大丈夫』と言って安心させてあげればよかったのかもしれないと思うようになりました」

50代以降で「ものをたくさんもつ」ということ

そして同時に、この苦労を自分の娘にはさせたくない! という気持ちも湧いてきたといいます。

「いつ自分や夫が認知症になるかも分かりません。これからの暮らしに、ものをたくさんもつことはどういう意味を持つのか? とよく考えるようになりました。自分がいなくなった後、ものの処理に翻弄される子どもの姿は見たくありません。今のうちからものを減らし、書類などの大切なもののありかはほかの人に分かるようにしておかなければと強く思います」

須藤さんの体験談は、今と将来の自分の暮らしに大きく役立つはず。今からできることをぜひ始めてみてください。