築36年「ものが多い台所」で料理も暮らしも楽しい。買わずに後悔より買って後悔
料理家さんの台所は、暮らす場所でもあり、仕事場でもあります。一日の大半を台所で過ごすからこそ、楽しく快適でいられる仕かけがありました。旅好きの料理家、口尾麻美さんの世界中の偏愛アイテムがいっぱいのワクワクする台所を見せていただきました。
旅の出合いを詰め込んだワクワク楽しい台所
口尾さんの旅先は、台湾やベトナム、トルコなどアジアから、ヨーロッパのなかでもなじみの薄いリトアニアやジョージア、モロッコなどアフリカまで、興味をそそられる料理があれば、どこへでも!
台所をのぞいてみれば、国も地域もバラバラながら、じつに居心地のいい、楽しげな雰囲気が漂います。台所に立つ口尾さんは、遊んでいるかのよう。軽やかな足取りと手さばきです。
「中古の3LDKマンションを購入し、梁(はり)だけを残した広いワンルームにリノベーション。つくりつけの収納は置かず、とにかくオープンな空間を、とオーダーしました。年月をかけて集めた器や道具が台所のスペースを拡大していくうちに、すっかり1つの部屋のように」
なにしろ旅に行くたびに、魅力的なものに出合ってしまうそう。
「モットーは、買わずに後悔より買って後悔。物量に驚かれますが、1つずつ思い入れのあるものばかり。台所はインスピレーションが生まれる場でもあるので、ワクワクする気持ちを大切にしています」
収納はあえて扉をつけず、すべてオープンに
壁にレールをつけて取りつけた棚。下段はおもに大皿、上段はステンレスの道具を。カラフルな器はトルコで購入したウズベキスタンの民芸品。現地で集めた貴重な調味料なども。
シンク下の棚にも扉はなし。上段にモロッコの器、下段には普段からよく使う調味料を。「料理中にワンアクションでものにアクセスできるので、ストレスがありません」
よく使う道具やスパイス類は、作業台の手に取りやすい場所にまとめて。機能的ななかに、遊び心のあるアイテムをはさみ込む。
あちこちに顔を出す偏愛アイテム4つ
口尾さんが旅先で出合ったアイテムを紹介します。
●1:南仏のハンドメイド器
南仏・マルセイユで出合った「アトリエ16-27」のハンドメイドの器。器は気負わず日常使いできる、ぽってりした丈夫なものが好み。
●2:鳥のオブジェで遊び心を
卵は通気性のいいカゴにまとめて。鳥のオブジェと組み合わせる遊び心で、ほっと和む。
●3:北欧の蚤の市で出合った栓抜き
スパイスはガラスビンに入れ替え。よく使うものは大容量で買い、大きいビンに。ギターをかたどった栓抜きは北欧の蚤(のみ)の市で購入。
●4:小さなタジンを調味料入れに
小さなタジンは塩・コショウ入れ。左の陶器のボウルは器としてだけでなく調理道具としても使うので、作業台の近くに。