住宅密集地でも、自然を満喫できる暮らしは可能です。ハウスメーカーで家を建てたライターは、周りを道路と家に囲まれた、わずか7.3坪のスペースに、4種類の木を植えました。その後、下草を植えて3年。木々も成長し、思い描いていた「森のような庭」になりました。植物とのつき合い方について語ります。

住んで3年、住宅地の一角が森のような庭に

筆者の住まいは、夫、筆者、長男9歳、次男7歳の4人暮らし。3年前にハウスメーカーで建てた、2階建ての注文住宅に暮らしています。

1階には玄関、LDK、趣味室、トイレが。2階には、浴室、洗面所、ランドリールーム、主寝室、子ども部屋、トイレ、来客用のスペースがあります。

上の写真は南側から見たところ。土地の西側と南側は道路に面していて、残り二面は隣家が立っています。

建った当初、なにもなかった白いブロック塀の内側に、3年の月日を経て、森のような庭が生まれました。

リビングの前の細長い庭は、わずか7.3坪

こちらは現在の庭の入り口からの眺め。ここからの眺めをSNSに投稿すると、よく「すてき!」と言っていただけます。広く見えますが、7.3坪しかありません。

住宅街でも、いつも庭を眺める暮らしがしたい。そう思い、リビングダイニング前に横長の庭をつくりました。道路との境の塀沿いに、目隠しになる木々を植えています。

そこまで大きな庭でなくても、室内から眺めて森のような雰囲気を感じられたら、と工夫してみました。

住宅密集地でも建物や視線を隠してくれる樹木

こちらは室内からの眺め。目の前は道路、向かいや周りには2階建ての家が。それらから視線を隠すために、大きな木々を塀沿いに植えています。引き渡し前に外構業者に作業してもらいました。

わが家は、道路より敷地全体の地面の高さを上げています。その状況に加えて、木々があることで、道路からは中が全然見えません。おかげでバーチカルブラインドは端に寄せて、写真のような眺めを毎日楽しんでいます。

わが家の庭に植えている木は、以下の4種類です。

・シラカシ
・ソヨゴ
・フェイジョア
・イロハモミジ

ここからは、地植えしたこの4つの木について詳しく紹介します。

シラカシ:塀のたりない高さをカバーしてくれる

写真の右側の白い塀沿いに植えているのがシラカシ。ブナ科の常緑高木です。細長い葉っぱで、きれいな黄緑色。花や実はつけない種類で、こちらは外構業者の方がすすめてくれたものです。

こちらがシラカシの葉。生垣として古くからよく使われるそうで、あまり和風っぽくなく、かといって洋風すぎる感じもなく。わが家が希望とする「森っぽい感じ」に近い印象。

ブロック塀では目隠しにたりない「高さ」をカバーするために、門の入り口から塀に沿って、ずらっと植えています。常緑樹なので、全部の葉っぱが落ちることはありません(とはいえ、秋冬は葉数が減りますが)。

ソヨゴ:庭の門から室内を目隠ししてくれる

庭の門から入ってすぐ、ウッドデッキの横には、ソヨゴという木を植えました。こちらは、春に白い小さな花が咲きます。

本当はもっと葉が茂るようですが、わが家のソヨゴは少し華奢(きゃしゃ)。それでもこの木があると、庭の門から室内(リビング)が見えにくくなるので、あるとないとじゃ大違い! こちらも常緑樹です。

フェイジョア:甘い香りの花や実がなる常緑低木

こちらは隣家との境。正面中央の大きな木はフェイジョアです。少しふっくらした丸みのある葉っぱで、オリーブのような洋風な雰囲気。縦に伸びるというより、横に丸くボリュームがでるシルエットになります。

花や実には、パッションフルーツのような甘みがあります。最近花が咲き、おいしい花びらをめぐって、家族で争奪戦がありました(笑)。

こちらは常緑低木で、すごく背が高くなる木ではありません。選んだのにはわけが。この裏側にある隣家のお庭の樹木が立派で、設計士さんから「高い塀や木で隠さず、むしろ借景として楽しみましょう!」と提案されたから。

この後ろのダークブラウンのウッドフェンスは、じつは家族であとから取りつけたもの。境界線でもあるブロック塀がボロボロで、見た目がイマイチだったのと、住んでみて、もう少し高い位置まで目隠しをしたいと思い、取りつけました。

しかし、採寸ミスして少し横幅がたりず。そのたりない部分の目隠しになればと、ユーカリポポラスの鉢植えを置きました。

葉っぱがかわいらしくて、切り花やドライフラワーにも使えるユーカリポポラス。手紙にしのばせたり、プレゼントのラッピングに添えたりすると、一気におしゃれにみせてくれる、便利な木です。

ただ、地植えすると、すごく大きく育ち大変だと知り、筆者は鉢植えで育てています。そのため生育はイマイチですが、手に負えないほどボリュームにはなっていません。ユーカリの仲間なので、暑さにも強く育てやすいです。

間の寄せ植えは、なんの種類かは忘れてしまったのですが、低木の樹種です。写真のように壁際に、3つ木が並んだ格好になりました。どれも少し洋風のテイストを感じるので、一体感がでてよい感じ。木々が目線を集めて、古いコンクリート塀もよい感じにぼかしてくれています。

イロハモミジ:紅葉も楽しめるシンボルツリーに

最後の話は、庭のシンボルツリーであるイロハモミジについて。アプローチから見るとトンネルのように2本が交差しています。

こちらは落葉するので、冬は枝だけになってしまいます。しかし、春から秋にかけてはシラカシと重なり、葉っぱも多いので、外からの目線をさえぎってくれています。

室内からの眺めもよく、新緑の季節はウッドデッキの木陰にもなります。また、秋は紅葉を楽しめます。落ち葉掃除は大変ですが、それでも植えてよかったと思える木です。

最初に4本の木を植え、住んでから家族でグランドカバーという下草を植えました。そして今年で4年目に。庭は「小さな森」のようになりました。

室内にいても、まるで森の中にいるような「おこもり感」があります。設計時の希望がかない、選んだ4種類の木々は正解だったなと思っています。