新木優子(撮影:池村隆司)

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 7月12日の公開から9日間で早くも興行収入が30億円を突破し大ヒットを記録している、『キングダム』シリーズ第4弾にして最終章となる『キングダム 大将軍の帰還』。そんな本作でシリーズ初登場を果たしたのが、王騎(大沢たかお)の過去にまつわる重要な人物・摎役の新木優子だ。劇中では馬に乗りながらの剣術も披露した新木に、願いが叶ったという『キングダム 大将軍の帰還』での経験について語ってもらった。

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ーー『キングダム』シリーズ4作目にして初参加となりましたが、ご自身の中で手応えはありますか?

新木優子(以下、新木):私にとっていままでになかった役柄だったので、やりがいがすごくあって。実際に作品も素晴らしかったので、完成してから手応えを感じるようになりました。

ーー原作でも人気の摎を演じるに当たって、不安や葛藤はありませんでしたか?

新木:今回、お話をいただいてから、「やりたいです」と即答したんです。原作が多くの方に愛されていて、映画シリーズのファンの方もたくさんいらっしゃるので、自分がそのイメージに近づけるか不安もあったんですけど、それ以上に、もし他の人が摎を演じたらきっと悔しい思いを抱くと思ったので、絶対にやりたいと思いました。1作目を実際に映画館で観て、すごく素敵な作品で、次回作があるなら私も出演できたらと思っていたので、願いが叶いました。

ーー摎はいままで新木さんが演じたことのないようなタイプの役柄ですよね。

新木:撮影時は20代後半で、この先の自分を模索していた時期でもあったんです。そんな中、いままで演じたことがないような、自分の中でも変化のある役だったので、そういう意味でも挑戦したい気持ちが強かったです。

ーー摎は王騎の過去に関わる重要な人物です。大沢たかおさんとの共演シーンが多かったと思いますが、事前に何かコミュニケーションをとられましたか?

新木:過去に雑誌のお仕事でご一緒させていただいたことはあったのですが、お芝居でご一緒するのは今回が初めてでした。そういう意味では少し緊張感もあったのですが、今回最初に大沢さんを見た瞬間、「王騎将軍がいる!」と思ったんです。最初にそういう感情になったので、自然と摎になれた感覚がありました。そうやって作品に入り込めたのは私自身初めてで、とても不思議な体験でした。感覚が研ぎ澄まされていたというか。

ーーシリーズの途中からの参加となりましたが、そこもすんなりと?

新木:『キングダム』チームの空気感がすでに出来上がっていて、みなさん優しく受け入れてくださったので、苦労することはまったくありませんでした。キャストやスタッフのみなさんがそういう環境を作ってくださったおかげで、私は自分の役を全うすることに集中できたので、本当にありがたかったです。

ーー体づくりやアクションに関しては事前に準備もされたそうですね。

新木:過去にもお仕事で馬に乗る経験はあったのですが、トップスピードで走る馬に乗ったまま剣を振り抜くようなアクションを行うのは初めてだったので、事前に稽古に励みました。馬上でのアクションは特に集中して頑張りました。

ーー馬に乗って剣を振りかざす姿はめちゃくちゃカッコよかったです。

新木:ありがとうございます。摎はもちろん強さというのは大前提としてありつつも、自分が女性であることも理解して、頭を使いながら戦場で戦っていたんだろうなと感じたので、ベースの体力や筋力はもちろんつけましたが、馬に乗るときの姿勢だったり、アクションをしたときの芯の強さなど、内側の部分にも意識しながら役作りを行いました。

ーー摎の“芯の強さ”は、新木さん自身にも通じるものがあるのではないかと思いました。

新木:“一度信じた相手を信じ抜く”という部分は共通しているかもしれません。摎も王騎や昌文君など、一度信じた存在や受け入れてくれた存在に対してはとことん尽くす。そこが摎のすごく尊敬できる部分でしたし、私もそうありたいなと思えるところでした。

ーー信役の山粼賢人さんとは今回直接の共演シーンはありませんでしたが、過去に何度も共演されていますよね。主演としてこれまで『キングダム』シリーズを牽引してきた山粼さんは、新木さんの目にどう映りましたか?

新木:賢人くんにはすごく努力家なイメージがあって。今回、アクションの稽古のときにすれ違ったことがあったんですけど、ものすごく真っ直ぐに取り組んでいる姿を目の当たりにして、「みんなこの人にだったらついていくな」と思ったんです。人気漫画を実写化するという1作目の大きなプレッシャーを乗り越えて、チームの中心として背負ってきた責任感の大きさを想像できるからこそ、その姿がすごく頼もしかったです。賢人くん自身が努力してきたことだったり、積み上げてきたものがあるからこそ、周りのみなさんを信頼している感じが伝わってきましたし、『キングダム』チームの絆の強さを感じました。

ーー先ほど「この先の自分を模索していた時期でもあった」という話がありましたが、撮影を終え、その後30代になってから何か答えは見つかりましたか?

新木:30代になってから、やれる役の幅が広がったと思います。『単身花日』(テレビ朝日系)で演じた武田花のような、周りを翻弄するような役も、20代前半の頃に演じていたら、また全然違ったキャラクターになっていたと思いますし、もっともっといろんな役に挑戦していきたいという気持ちが芽生えました。

ーー将来に向けてのビジョンが変わったりも?

新木:求めていただけている限り女優のお仕事を続けていきたいというその意志は、30代になってより強くなった気がします。

(取材・文=宮川翔)