ヤバい「エアコン代」この猛暑でも節約するワザ

写真拡大 (全2枚)


猛暑でも涼しく過ごせ、お財布にも優しい「エアコンの使い方」を伝授します(写真:kouta/PIXTA)

やばいくらいの暑さが続くなか、気になるのはエアコンの電気代。つけないわけにはいかないけれど、できるだけ安くすませたい。そんなあなたへ、家電おじさんこと家電ライターの筆者が、お手軽にできる節電術を指南します!

エアコンの設定を変えるだけでも節電が可能。ちょっと裏技的な節電方法もあわせてご紹介します。

設定温度を1℃上げるとこれだけ節約

まずは、節約編から。

●設定温度を1度上げる

エアコンの設定温度を1℃上げると、シーズンで940円ほど電気代を安くできます(エアコンの目安、8畳向け)。

●サーキュレーターを併用する

サーキュレーターや扇風機を併用すると、部屋がまんべんなく涼しくなり、風により体感温度が2℃ほど下がります。

つまりエアコンの設定温度を2℃上げても涼しさは同じになるので、先に説明したように設定温度を2℃上げたとすると、シーズンで1880円の電気代が節約できます。

●室外機の周りをできるだけ片付ける

室外機から出る熱風は、室内の熱を外に放出している証拠です。そのため室外機にカバーをかけたり、室外機の前にモノを置いたりして風通しが悪くなると、電気代が高くなります。具体的な金額は出ていませんが、消費電力が1.5倍になるという実験結果があります。

熱帯夜の夜通し運転はどうか?

夜間の気温が25℃以上になる熱帯夜。20年前まではそれほどありませんでしたが、最近では頻繁に熱帯夜になります。

こんなときは、迷わずエアコンを朝までつけっぱなしで寝てください。エアコンを途中で止めてしまうと、寝汗で脱水症状になったり、夜に何度も目が覚めて睡眠不足になったりしてしまいます。

「一晩中エアコンをつけっぱなしで寝るのは、電気代が高くなりそうで怖い」と思われる方も多いかもしれません。しかし、夜間は太陽が出ていないので熱が生じません。設定温度を26℃程度にしてあっても、緩く冷房がかかる程度なので、電気料金を見てビックリ!ということは、まずありません。

昭和、平成と生きてきた方は、夏の夜でも涼しかったのでエアコンを我慢しがちですが、近年は驚くほどの高温です。命に関わりかねない熱帯夜も多いので、健康を一番に考えてエアコンを運転したままで就寝することをオススメします。

なお鼻や口の粘膜が弱い方は、乾燥に十分注意しましょう。マスクをして寝る、アルコールを控える、横向き寝するなどして、就寝中に口呼吸しないような工夫をしてみてください。

30分程度の外出ならエアコンは消さない

●外出する際でもエアコンを消さないほうがいい場合がある

エアコンは頻繁にスイッチを切るとかえって電気代が高くなります。これは「電源をONにしたときに最大電力がかかるため」です。部屋を離れるにしても30分以内なら、電源を切らないでつけっぱなしにするといいでしょう。

とくに14畳以上のリビング向けのエアコンは、人感知センサーなどが内蔵され、30分までなら電源を切らず、30分を過ぎると自動的に電源を切る機能などを備えているので、安心してつけっぱなしにしてください。

30分以内の目安は、洗濯物を干す・取り込む、近所のコンビニや郵便局に行く(都市近郊地域)程度です。スーパーに買い物に出たり、電車でお出かけしたりする場合は、30分以上になりやすいので、電源を切ることをオススメします。

●換気をしたい。節電したいならどこの窓を開けるべき?

エアコンを運転していると部屋の窓を締め切るので、息苦しさを感じたり、空気が悪いと感じたりする場合があります。こんなときはエアコンからできるだけ離れた窓を1つ開けてください。

エアコンの近くの窓を開けると、外の熱気をエアコンが直接吸い込むので、消費電力が高くなります。エアコンと真反対にあるキッチンの小窓を開けるだけで外気がしっかり入り、部屋にたまっている冷気で外気の熱も冷め、その空気をエアコンが吸い込むので、電気代の節約になります。

節電できる室外機の置き方

室外機に直射日光が当たると、その熱で内部が加熱され、室内の熱を室外機から放出しにくくなります。そこで室外機の風をさえぎらないように、よしずなどを使って影にしてやると節電できます。

室外機をベランダに置いたり、お隣さんとの塀のわずかな空間に設置せざるをえなかったりする場合は、少なくともファンの前は1メートル、ベストは2メートルほど開けると放熱効果が高くなり、節電になります。

どうしても隙間が確保できない場合は、ファンから吹き出す熱風の風向を上や左右に吹き出すための風向カバーが売られているので、それらで向きを変えるといいでしょう。

帰宅後の「一手間」がエアコン節電

●帰宅時にエアコンをつける前にやるべきこと

しばらく外出して帰ってきたあと、締め切った部屋のエアコンをいきなりONにすると電気代がかかります。帰宅したらまず窓を開けて、部屋の余熱を逃がしてからエアコンをつけると、電気代を節約できます。

●薄いカーテンや赤外線カットフィルムを使用する

エアコンの強敵は、南や西から差し込んでくる直射日光です。

日光が当たると窓を閉めていても、床が熱くなるのでエアコンの冷房効率が下がります。この場合、厚手のカーテンをすると日光が遮られるので、電気代が安くなります。部屋が暗くなって嫌という方は、レースのカーテンで少し日差しを弱くするという手もあります。

ホームセンターには、直射日光の熱を遮る「赤外線カットフィルム」が売られています。これを南側の窓に貼ると、直射日光が和らぎます。

同様に「紫外線カットフィルム」も販売されていますが、こちらは「日光による熱」は遮られないので要注意です(一度フィルムを貼ると、キレイにはがすのが難しいので気をつけましょう)。

エアコンの「設定」で節電できるテク

続いて、エアコンの設定で節電できるテクをお知らせします。

●リモコンに「自動」とあれば全部「自動」にする

エアコンのリモコンに「自動」ボタンがあれば、すべて自動で使います。もし風向を自動にするとエアコンの羽を上下にふる「スウィング」になってしまう場合は、「水平」にします(ちなみに暖房時は「真下」にします)。

冷気は重たいので、なるべく天井に向けて送風して、シャワーのように部屋全体に冷気を送るのがベストです。

なお、冷房、暖房、除湿、自動と電源スイッチにも「自動」がある場合も「自動」を選びます。エアコンが室温や湿度、外気などの状況を総合的に判断して、経済的な冷房、または除湿を選んでくれます。

●温度をいくら下げても早く涼しくならない

早く部屋を涼しくしたいと、電源を入れた直後は20℃に設定し、涼しくなったら25℃に戻す方も多いようです。しかし、部屋が冷える速度はそれほど変わりません。エアコンは賢いので、信頼してあげてください。

部屋がジメジメ「湿度戻り」に要注意

エアコンを長時間つけっぱなしにしていると、設定温度になって風が弱くなります。このとき、エアコンの内部には、結露でびしょ濡れになった冷却装置(熱交換器)が入っているため、「なんがジメっとするな?」「あれ?エアコンが壊れたかも?」と感じるときがあります。

これはどんなエアコンにも起こる「湿度戻り」と呼ばれる現象です。この場合は、室温を1℃下げて、湿度が気にならなくなったら、元の設定温度に戻します。

●お休みタイマーは寝つきから2時間後、おはようタイマーは起床の1時間前

熱帯夜までいかないまでも、「風呂上がりで暑いな」という場合、寝つきから2時間単位でお休みタイマーを使ってください。寝付くまで1時間かかる方は、タイマーを3時間か5時間にします。

人間の睡眠サイクルが2時間なので、2時間や4時間にしてしまうと、眠りが浅い時刻に部屋の温度が上がってしまい、目が覚めてしまうことがあります。すぐ寝つく方は2時間か4時間にするといいでしょう。

起床時のおはようタイマーは、起床の1時間前にセットすると、自然と眠りが浅くなり、スッキリと起きられます。

サーキュレーターの設置は2通り

●サーキュレーターはエアコンに向ける

サーキュレーターを使いたいけど、どうやって置けばいいの?とお悩みの方も多いはず。これには所説あります。

ますエアコンの下に置いて天井に向ける方法。下にたまった冷たい空気を天井に送り、温かい空気とかき混ぜる方法です。

もう1つは筆者がオススメする、エアコンと正反対に置いて、エアコンに向かって風を送る方法です。一般に部屋の奥にたまりやすい冷気をエアコンのある天井に向けて送風し、部屋全体の空気をかき混ぜます。

あえて冷気を浴びたい場合は、首振りにするといいでしょう。お風呂上がりなどにオススメです。

反対に、風に直接当たりたくないときは、首を振らないようにします。筆者の感覚ですが、サーキュレーターの置く位置や風向き、首振りには正解はなく、部屋の空気を攪拌できて、温度ムラがないようにできれば、それがすべて「正解」です。


(藤山 哲人 : 家電ライター)