顔・頭蓋骨に形成異常を持つ息子を発信する両親の想い「知ってもらうことで手を差し伸べてくれる人が増えるかもしれない」 一方で批判やデジタルタトゥーの懸念も…“障害ある子どもを発信”の是非
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2023年に誕生した子どもの数は72万7277人。中には、なんらかの障害がある子どももいる。SNSやYouTubeでは、そんな障害ある子どもの日常を発信する親たちも少なくない。
【映像】顔・頭蓋骨に形成異常 未来くん(1)育児・生活の様子
一部から批判も寄せられる中、なぜ日々の暮らしを発信し続けるのか。『ABEMA Prime』で当事者と考えた。
■「今から知ってもらえれば将来生きやすくなる」
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星野孝輔さん・しほさんの息子である未来くん(1)は生まれつき、顔と頭蓋骨の形成異常があり、前頭骨・眼球を支える骨・頬骨・まぶたの欠損と、鼻の骨や耳、下あごが小さい。自発呼吸が難しく、生まれたその日に気管切開の手術を受け、離乳食やミルクは胃ろうで摂取している。こうした様子を妊娠中からブログで発信し、生後10カ月ごろからは顔を出して動画投稿も始めた。発信を始めた経緯について、父・孝輔さんが語る。
「異常がわかった時点で、医師からは『脳に目立った異常はない』と伝えられた。同じ思考を持ちながら生きることを想像し、他人の視線に苦しむのではと不安になった。そんな時、“障害のあるタレントは、障害者よりも有名人として見られる”と思い、いっそ有名になったほうが生きやすいのではと考えた」
「僕らもいつかポックリ死んじゃうかもしれない。そういうリスクは皆さんある。そうなったときに誰が未来くんの面倒を見ていくのか。赤ちゃんの頃から知っている、成長を追ってくれている“親戚みたいな感覚の人”が増えてくれれば、僕らに何かあったり、未来くんが困った時に手を差し伸べてくれる人が一人でも多く出てくれるんじゃないか」
母・しほさんは、YouTubeで発信しようという孝輔さんの提案を受け、「受け手の反応が想像できず、顔出しでの発信は不安だった。ただ、有名になることで将来が広がり、“医療的ケア児”の理解が進んで、少しでも生きやすい未来につながるならと、慎重ながら始めることにした」と振り返る。
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そんな両親の想いから始めた動画チャンネルは、登録者数8万人を突破した。さらにはInstagramやTikTokのアカウントも開設し、多くの人に未来くんの存在を知ってもらえるようになった。
子どもの障害を発信するメリットとして、障害を知ってもらうことで、「怖い」から「可愛い」に変わる可能性があること。また、治療法や病院などの紹介、親同士の交流が得られることがある。一方のデメリットとしては、「子どもに自我もないのに金稼ぎに使うな」「障害を見ると気分が悪くなる」といった差別・批判の声が寄せられること、デジタルタトゥーの懸念などが考えられる。
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星野夫妻が気をつけているのが、ショート動画の最初に「お顔に特徴のある子どもの動画」と注意喚起の文言を入れること。孝輔さんは「ショート動画はスクロールすると急に表示されるため、最初の5秒間は顔を隠している。親としては『自分の子どもに特徴がある』というワンクッションを置きたくないが、やらないと拒否反応を示す人が一定数いるのもわかる。自分たちが低姿勢になって歩み寄ってわかってもらうところから、差別はなくなっていくのではないか」との想いを明かした。
■「レールを敷くのも親の仕事」「YouTubeのコメントがきっと自己肯定感につながる」
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脳科学者の茂木健一郎氏は、「きれい事に聞こえるが、異常は『個性』だ。わかりやすいと受け入れられるが、わかりにくいとなかなか理解してもらえない」と指摘。そして、アカデミー賞を受賞した映画『レインマン』のモデルとなったキム・ピークのエピソードを紹介する。「とにかく歩き回り、レストランで声を上げるなど、日本だと室内に閉じ込められるような子だった。しかし、父親は彼にオスカー像を持たせて、“息子がモデルになった『レインマン』がアカデミー賞を取った”と知らしめ、周囲が理解してくれる環境を作った」。
ギャルタレントのあおちゃんぺは、「未来くん個人を思うと、成長した時によろこんでくれるだろうかと正直心配に思った。批判したいわけではなく、私が同じ立場になったとした時、子どもがどう思うか心配になるという意味だ」との考えを述べる。
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お笑いコンビ・EXITの兼近大樹は、「未来くんに限らず、特殊な環境で過ごす人がこの先幸せに暮らせる環境を作るのは、今生きている我々の責任だ。その意識を世の中の全員が共有でき、認められれば、見た目や中身が、どんな人がどう生きようと関係ない世の中になるのではないか。それを進めるのは、表に出ている我々の仕事だと思う」と持論。
あおちゃんぺは「そういう社会になればいいとは思う。ただ、特徴があるのにないような反応をするのは差別だし、人間扱いしていないことと一緒だ。本人や家族が傷つくような反応が出ても、それが公平な目で見ていく社会ではないか」とした。
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こうした意見に孝輔さんは「おっしゃる通り、初見の驚きを僕らは否定していない。ただ、驚いてもらっていいが、それをネット上で済ませてもらいたい。未来くんを知ってもらうことで、すれ違いざまにそれぞれの人から向けられる目線がなくなる社会になってほしい」と呼びかけた。
星野夫妻が訴えたいのは、未来くんの障害はデメリットではなく、唯一の強みだということ。しほさんは「SNSは無限の可能性やチャンスを秘めている。魂を削るような思いで発信を続けているが、気をつけないといけないことも多い。親が傷つく言葉と、本人が傷つく言葉も違うので、私たちも学びながら正しい選択をしていきたい」と語る。
孝輔さんは「レールを敷くのも親の仕事だ」とし、「できないことがある一方、未来くんにしかできないこともある。応援に支えられて幸せを築けるだろうという自信とともに、僕たちはそこへ向けて進んでいかなければならない。ここで、見ていただいている方に感謝を伝えたい。将来、冷たい視線にさらされて傷ついても、今YouTubeに付いているコメントを読めば、『こんなに自分は愛されているんだ』という自己肯定感・救いにつながると思う」との想いを吐露した。(『ABEMA Prime』より)