アフガニスタン・バダフシャン州のケシ畑で収穫作業を行う労働者(2024年5月22日撮影)。(c)OMER ABRAR / AFP

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【AFP=時事】国連薬物犯罪事務所(UNODC)は26日、一部の高所得国で強力な合成オピオイドが出現し、過剰摂取による死亡例が増加しているとして警鐘を鳴らした。

 UNODCの年次報告によると、オピオイド系鎮痛剤「フェンタニル(Fentanyl )」よりもさらに強力な合成オピオイドの一種「ニタゼン(Nitazenes)」が、ベルギー、カナダ、エストニア、ラトビア、スロベニア、英国、米国で発見されている。

 欧州薬物・薬物依存監視センター(EMCDDA)など他の機関も同じく、ニタゼンの出現について警告している。

 UNODCによると、世界のアヘン生産量は昨年、74%減少した。アヘンの最大生産国アフガニスタンでイスラム主義組織タリバン(Taliban)政権が、アヘンの原料となるケシの栽培を禁止したためだ。

 そのため、アヘンから合成して作られるヘロインの「純度の低下が予想」され、「ヘロイン使用者は他のオピオイドに切り替える可能性がある」として、UNODCは「健康への重大なリスク」がもたらされる可能性を警告している。

 UNODCのアンジェラ・ミー(Angela Me)主任研究員は、現在はまだ市場でヘロインが不足しているわけではないが、一部の過剰摂取による死亡例では、主に中国原産とみられるニタゼンが、ヘロインに混入していたと考えられると指摘した。

【翻訳編集】AFPBB News

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