【コラム】「コロンブス」のMV、なぜ誰も「待った」をかけなかった?Xで意思決定のハードルを想像する声相次ぐ

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J-CASTならびにTogetterのnoteに連載中のコラム「3分くらいでわかる週刊X(Twitter)トレンド」をTogetterオリジナルにて掲載します。毎週月曜日、X上で話題になった社会的現象に関するXユーザーならではの反応を解説していきます。

Mrs. GREEN APPLEが2024年6月13日に公開した新曲『コロンブス』のMV(ミュージックビデオ)の映像や演出が、人種差別を助長しかねない内容になっているとして、リリース当日に公開停止となり、大きな注目を集めました。

X(Twitter)でもさまざまな角度で「コロンブス」に言及する投稿が拡散されましたが、中でも議論を呼んだのは「なぜMVが公開されるまで誰も『待った』をかけなかったのか」という点です。

ツイートまとめサービスのTogetter(トゥギャッター)が解説する「3分くらいで分かる週刊X(Twitter)トレンド」、今回は「コロンブスの背景を推測するXユーザーの声」について掘り下げます。

いったいどんな経緯で…?

プロジェクトが大きくなるほど『他人事』になりがち?

「コロンブス」のMVについて、Xでは「制作にあたってアーティストだけでなく、大手企業の関係者が相当数関わっていると思われるのに、リリース前に誰も問題に気が付かないわけがない」といった主旨の疑問が相次いであがりました。

この疑問に対して、音楽ディレクターの柴崎祐二さんが「『たくさんの大人が関わっているからこそ』ああなってしまったんじゃないか」と投稿しました。柴崎さんは自身の業界での経験を振り返り「プロジェクトの規模がでかくなればなるほど、全員にとって、(なんならアーティスト本人たちにとっても)『他人事』になっていくものなんですよね」とも書いています。

ミセス炎上で「沢山の大人が関わってるのになんでアレがOKになったんだ」と言われるが沢山の大人が関わっているからこそ「全員にとって他人事」になってしまった?

こちらの投稿に対して、「デカい話ほど関わる一人一人が『止めることなんて出来ん』とはなりがち」「関係者全員が『誰かの何かしらの意図があってこの内容なんだろう。 そうじゃなきゃ誰か指摘してるだろうし』と、スルーしたのかも」といった背景を推測する声が相次ぎました。

また「ものすごく小さい範囲で仕事していても、そういうことがしょっちゅうあるなあ」「(コロンブスのMVで)仮に自分がどこかしらの一工程に関わっていたとして疑問を抱けるかは正直怪しい」と自身の身に置き換えるコメントも複数みられました。

「待った」をかけた人を守る仕組みはあるのか?

MVをリリースする前に、制作サイドに「待った」をかけられる体制があれば、今回のようなトラブルは避けられたのかもしれません。しかし、企業や関係者が複数絡む仕事における、そうした体制づくりのハードルの高さについて言及する声もありました。

あるXユーザーが「できあがっちゃったモノに対してストップかけて、(企画を)ちゃぶ台返しした人間を適切に評価したり、以降のキャリアを守ってくれる仕組みがあるのか?」という疑問を投稿。

仮に制作サイドに、リリース前に問題に気付いてストップをかける人がいたとしても、その人は会社の中では「企画をちゃぶ台返しして、足を引っ張った社員」扱いになりがちで、その後のキャリア形成に悪影響が及ぶ結果になりがちなのでは、という文脈です。

投稿者は「安くないお金と人員と時間を投じた結果のMVを、『なんか嫌な予感がするから』という理由で全てボツに出来ますか?と聞かれたら僕は絶対できない」とも書いています。

コロンブスMVの件で『待ったをかける人間はいなかったのか』というが、出来上がっちゃったモノにちゃぶ台返しした人間を適切に評価したり以降のキャリアを守ってくれる仕組みがあるのか?と考える

この視点について、「リスク回避が難しいのは、成功した場合の結果として『何も起きない』こと。リスク回避できたから何も起きなかったのか、リスクがそもそも存在しなかったのかが不明瞭で終わる」「問題が露見する前に止めちゃうと、どの程度問題だったのかをほとんどの人間は理解しない。 それどころか『止めなくても大丈夫だったんじゃないか?』となることも」と共感する声が複数寄せられました。

コロンブスのMV公開の背景についてのXユーザーの反応を見ると、「もし自分の関わる仕事で同じようなシチュエーションになったら」と想像する人が多いことが分かります。「大勢の人が関わる仕事で『待った』をかけることの難しさ」は、音楽業界に限らずさまざまな業界の人が感じている問題なのかもしれません。

以上、Togetterがお送りする「3分くらいで分かる週刊X(Twitter)トレンド」でした。今回紹介したTogetterまとめを振り返りたい方はこちらからどうぞ。次回もお楽しみに。

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