謎の「白バイコスプレおじさん」 違反じゃないの? 「警察”風”」の白バイクに青ユニフォームが話題に… 法的にはどうなる? 元警察官が解説

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SNS上では「警察に迷惑がかかる」「交通違反の抑止になる」など賛否の声も

 先日、ユーチューバーの男性が白バイ隊員に似た服装で交通監視をしている動画がテレビ番組で取り上げられ、話題となっています。
 
 では、見た目を警察官に似せる行為にはどのような問題があるのでしょうか。

青い服に白いバイクと言えば「白バイ隊員」 果たして話題の人物は違反なのか?(画像は本物の警察官)

 先日、ユーチューバーの男性が青色のジャージに反射ベスト、白いヘルメット、黒色ブーツを着用して道路脇に立ち、交通監視をおこなう動画を投稿しました。

【画像】青い服に白いバイク… 道脇に立ってたら… 画像を見る!(30枚以上)

 男性の格好は一見すると白バイ隊員に類似しており、動画内でも男性の影響なのか通行車両が車間距離を空けたり、スピードを落としたりする様子が撮影されています。

 さらに、この動画は某番組において「白バイ隊コスプレ」と取り上げられ話題を呼んでいます。

 この件に対しSNS上では「遠くから見たら本物の白バイ隊員に見える」といった声のほか、「家とかでのコスプレはいいけど、道に立って警察官っぽい動きしてるのは悪質でしょ」「何か事故や事件があったときに警察に迷惑がかかるのでは?」といった批判的な意見が寄せられています。

 その一方で、「白バイの姿は交通違反の抑止力になるから、立っているだけとか交通法規を守って走るなら良いと思う」「周りのクルマが白バイと見間違えて事故が減るなら交通安全に貢献している」など、ユーチューバーの男性を擁護する声も聞かれました。

 このように、一般の人が警察官に似た格好をすることに関しては賛否が分かれていますが、具体的にはどのような問題点があるのでしょうか。

 まず、警察官のような格好をすることは軽犯罪法第1条第15号に抵触するおそれがあり、次に該当する人を、「拘留または科料に処する」と規定しています。

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官公職、位階勲等、学位その他法令により定められた称号若しくは外国におけるこれらに準ずるものを詐称し、又は資格がないのにかかわらず、法令により定められた制服若しくは勲章、記章その他の標章若しくはこれらに似せて作った物を用いた者
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 簡単に言うと警察官や消防士、自衛官、海上保安官などになりすましたり、本物と間違えられるような制服やバッジなどを身につけたりすることが禁止されています。

 たとえ警察官の服装そのものでなくても、服の色や形が類似している、使用されたときの状況から警察官に間違えられるといった場合には、軽犯罪法違反に当たる可能性があります。

 また、このような行為を軽犯罪法で禁止している理由は「警察官に助けを求めたのに助けてもらえなかった」というように警察官に対する国民の信頼を損なう可能性があるためです。

 加えて、警察官の装備に似たものを用意する場合には刑法に定める「公記号偽造罪」や「偽造公記号使用罪」などにも注意しなければいけません。

 刑法第166条「公記号偽造及び不正使用等」では次のように規定しています。

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第166条 行使の目的で、公務所の記号を偽造した者は、三年以下の懲役に処する。
第2項 公務所の記号を不正に使用し、又は偽造した公務所の記号を使用した者も、前項と同様とする。
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 たとえば警察官の左胸に付いている階級章に似せたバッジを作ると公記号偽造罪、それを販売した場合には偽造公記号使用罪に当たります。

 また、過去には「神奈川県警」と表示された白バイ仕様のバイクをインターネットオークションに出品した男性が偽造公記号使用罪で検挙された事例もあります。

 ただし、警察官や消防士などのコスプレがすべて上記のような法律に抵触するワケではなく、ハロウィーンなどで使用される明らかに偽物と分かるような服装であれば問題はないといえるでしょう。

 また、パトカーや白バイを模した車両を作ること自体も違法ではなく、交通違反や事故を防止するため、偽パトカーを道路脇に設置している事例もみられます。

 しかし、この場合も車両に「○○県警」や「POLICE」といった警察を示唆するロゴを入れることや、赤色灯を装着して公道を走る行為などが禁止されています。

 そのほかSNS上では「警備員さんも警察官と似たような制服着てない?」という疑問が寄せられました。

 実は警備員の制服については警備業法第16条において、公務員の制服と明確に識別できる服装であること、制服の詳細を都道府県公安委員会に届出することなどが義務づけられています。

 あまり知られていないものの、警備員の制服は公安委員会に許可を得た上で使用しているものなのです。

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 警察官風の服装は、場合によっては法律違反となるおそれがあります。何より、周囲の人を混乱させてしまう可能性も考えられるため、紛らわしい服装や行動は控えた方が良いといえるでしょう。