食中毒が起こる「何気ないケース」を調査した

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 今年は全国的に平年より遅い梅雨入りになるそうですが、この季節に気をつけたいのが「食中毒」。湿度・気温が上がり菌が繁殖しやすいことや、まだ本格的な暑さではないことから警戒が薄れやすいことが、多発する理由としてあげられるそうです。今回は日常生活の行動が原因で食中毒が起こる「意外なケース」について、フードコンサルタントの池田恵里さんに話を聞きました。

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エコバッグには菌が潜んでいる?】

 スーパー・コンビニのビニール袋有料化で普及が一気に広がったエコバッグですが、食中毒の温床になりやすいそう。池田さんによると、購入したパックに付着している肉から発生するO-157などがバッグ内で他の食材に影響する場合もあるとのこと。

「肉・魚・野菜はポリ袋に入れてから、生鮮食品や冷蔵・冷凍食品などの冷たい物と温かいものは同じエコバッグに入れないなど対策が必要です。また、面倒でもエコバッグは定期的に洗いましょう」(池田さん)

エコバッグは菌の温床にも

【食器洗いは“浸け置き”に注意】

 こびりついた油汚れを取りやすくするために、しばらく水に浸けておく「浸け置き」。実は菌が繁殖する好条件が揃っているのだそう。「栄養・水分・温度のバランスが食中毒発生のポイントで、浸け置きはこの3つの条件が揃いやすい状況なのです。食器に付着した食べ物の汚れ(栄養)がついていますし、たっぷりの水があり、放置する事で水温は適温になります。こうして爆発的に増殖した菌は、洗剤とスポンジでも完璧に洗い切ることは難しいです」と池田さん。

 対策としては「つけ置くのは2時間以内に収める」「キッチンハイターなどの台所用塩素系漂白剤で30分以上漬け込む」などがあげられるそうです。また、浸け置き以上に菌が増殖しやすいのがスポンジとのこと。頻繁に新しいものに換えることを池田さんは推奨していました。

浸け置きで菌が繁殖するとは……

【弁当のおかずで気をつけたい、野菜の“ヘタ”】

 特に注意したいのが「弁当」。年間を通して食中毒は発生しますが、気温が20度以上になると菌の繁殖が活発となり、この時期だと食べる頃には「すでに菌が繁殖してしまっている」というケースも。弁当に関しては注意点が山ほどあり、「温かい料理と冷たい料理を一緒に入れない」「抗菌シートを活用する」など対策があげられるそうですが、見落としがちなのはトマトやイチゴなどの「ヘタ」だと池田さんは言います。

「トマトやイチゴのヘタはきれいに洗いにくいため、菌が付着したままのことがあります。ここから菌が繁殖してしまうことがありますので、お弁当に入れるならヘタは取った方が良いでしょう。彩りでパセリやハーブを入れる場合も同様。注意が必要です」(池田さん)

トマトやイチゴのヘタに付着した菌が弁当の中で増殖してしまう場合も

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 ふだん何気なくしていることに、食中毒のリスクがあることが分かりました。自身や大切な人のためにも、常に予防対策を意識したいものですね。

(取材・文=宮田智也)