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セバスチャン・スタンが若き日のドナルド・トランプを演じる、伝記映画『ジ・アプレンティス(原題:The Apprentice)』の米国公開が決まらない。

本作は1970~80年代のニューヨークを舞台に、青年ドナルド・トランプが不動産ビジネスで成功を収め、悪名高き弁護士ロイ・コーンとの関係によって権力の座に上り詰める様子を描く。監督は『聖地には蜘蛛が巣を張る』(2022)の鬼才アリ・アッバシ、脚本はノンフィクション作家のガブリエル・シャーマン。2024年のカンヌ国際映画祭でワールド・プレミアを迎え、批評家からは賛辞をもって迎えられた。

早くから話題を呼んでいた本作は、カンヌでの上映以前から最近まで、世界各国での劇場公開が相次いで決定している。イギリス、フランス、ドイツ、カナダ、イタリア、スペイン、オーストラリア……。日本でも、キノフィルムズの配給により2025年に劇場公開予定。現在もロシアを含む複数の海外市場で契約交渉が進められているという。

ところが、本国アメリカでは配給会社がなかなか決まらないままとなっている。米によると、業界関係者はカンヌでの上映後すぐに米国でも配給契約が結ばれるとみていた(一部には配信サービスがふさわしいと見る向きもあった)が、事態はそう容易には進まなかったようだ。

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ひとつの要因は、5月22日にドナルド・トランプ陣営の弁護士が、本作の国内公開を停止するよう求めた文書を製作陣に送付したことだ。本作に、トランプによる元妻イヴァナへの性暴力などが描かれていることを踏まえて、「この映画は事実に基づくトランプ氏の伝記とされているが、真実とはほど遠い」「名誉を毀損する茶番劇の配給と販売をすみやかに中止しなければ、しかるべき法的措置を講じざるをえない」と主張したという。

これに対し、製作陣は「本作は前大統領の公正かつバランスのとれた肖像であり、すべての人に映画を見て判断してほしい」と応答している。

現時点でトランプ側は具体的な法的措置に出ていない。しかしトランプの広報担当者であるスティーブン・チャン氏は、文書の送付に先がけ、本作を「フィルムメイカーまがいの人々による明らかな虚偽の主張」「ずいぶん以前に否定された嘘をセンセーショナルに伝えるゴミ」「悪意のある中傷であり、日の目を見るべきものではない」と激しく批判していた。

また、もうひとつの要因とみられるのが、本作の出資者のひとりであるダン・スナイダー氏が映画の内容に満足していないことだ。トランプの友人であり、過去の大統領選ではトランプに寄付を行ったスナイダー氏は、この映画がトランプを称賛する内容だと勘違いしたまま出資し、編集中のバージョンを鑑賞して激怒。製作会社を通じて、内容の改変を求めるなどの措置を試みているという。

もっとも、米国の映画業界でも本作が注目を浴びていることには変わりなく、現在も複数の企業が米国配給権の獲得に関心を示しているという。早ければ、6月中にも契約が結ばれるという見方もあるようだ。しかしながら大統領選の結果も踏まえて鑑みるなら、現時点で経済的リスクや政治的リスクを完全には否定できない。

『ジ・アプレンティス』は、企画始動時からトラブルや物議を避けるため、徹底した秘密主義のもとで製作が進められてきたという。映画の完成直前から現在にかけて、本作は大きな試練に直面しているが、製作陣は作品の芸術性を守るため、映画の編集には応じない構えのようだ。

そんな中、監督のアリ・アッバシは自身のXアカウントでコンセプトアートワークを公開し、“Make Posters Great Again!”と投稿。「どういうわけか、一部の権力者たちがみなさんに見せたくない映画です」とも記した。

出演者はドナルド・トランプ役のセバスチャン・スタンをはじめ、ロイ・コーン役で「メディア王 ~華麗なる一族~」(2018-2023)のジェレミー・ストロング、元妻イヴァナ役で『続・ボラット 栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画』(2020)のマリア・バカローヴァ、父親フレッド役で『TENET テネット』(2020)のマーティン・ドノヴァン。カンヌでの初上映では、スタン&ストロングの演技にとりわけ高い評価が寄せられた。

映画『ジ・アプレンティス(原題:The Apprentice)』は2025年に日本公開予定。

Source: Deadline(, , ),

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