慶大・清原正吾【写真:加治屋友輝】

写真拡大

一塁手として東京六大学ベストナインに初選出「満足はしていません」

 慶大の清原正吾内野手(4年)は東京六大学野球春季リーグで全13試合にフル出場し、一塁手としてベストナインに初めて選出された。NPB歴代5位の通算525本塁打を誇る清原和博氏の長男。今季は外野手や二塁手としても起用された。大学ラストシーズンとなる秋季リーグへ向け、様々な可能性を探りながらレベルアップを図る。

 2日に行われた今季最終戦の早大2回戦には、「3番・一塁」で先発。初回に中越えの先制適時二塁打を放つなど、4打数2安打1打点1死球だった。結局、昨秋優勝のチームは今季3位にとどまったが、清原は打率.269(52打数14安打)をマーク。「ベストナインという賞をいただいたのはうれしいですが、自分の結果自体はふがいないところがたくさんあって、満足していません」と振り返った。

 自身のリーグ戦初本塁打がお預けとなったことに関しては、「ホームランは結果であって、もちろん望むところではありますが、意識し過ぎるのもよくないと思うので、チームが勝てるバッティングにこだわって、引き続きやっていきたいです」と語った。

 それにしても、中学・高校時代に野球から離れ、大学進学と同時に再開。2年生の秋にリーグ戦デビューを飾るも、なかなか結果が出ず、昨秋は出場なしに終わっていた。それでも腐らず、最終学年を前に急成長を遂げ、今季は1日の早大1回戦まで全12試合で4番を務めた。最終戦の同2回戦だけは3番を打ったが、この1シーズンの成長度には、目を見張るものがある。さらに上達すれば、秋にはプロが注目する存在になる可能性も秘めている。

 波乱含みなのが守備位置だ。リーグ戦では一塁以外を守ったことがなかったが、今季終盤に来て、試合途中から他のポジションに就くケースが続いた。5月19日、明大2回戦の9回には、一塁から右翼にシフトチェンジ。6月1日、早大1回戦の8回には、一塁から二塁に。翌2日の同2回戦では、5回から5イニングも二塁を守った。

「自分がやれることは全てやる覚悟でいる」

 セカンドに関しては、早慶戦前の練習試合で「少し守らせてもらいました」と言う程度の“付け焼刃”。早大2回戦では、正面の二ゴロを無難にさばいたシーンがあり、一方で、二遊間のゴロを回り込んで捕球したものの、送球がワンバウンドとなり内野安打にした場面もあった。堀井哲也監督は「点差をつけられて、打てる選手を残した結果、ああいう布陣になりました。苦肉の策と言うか、あまりこういう展開にはしたくなかった」と実情を明かした。

 清原は「自分がやれることは全てやる覚悟でいるので、どのポジションであれ、どの打順であれ、自分にできる全てのことを全うしたいと思います」と言い切る。

 今季の慶大は、昨秋優勝を果たしたチームの主力がごっそり抜けた代わりに、昨夏の甲子園で107年ぶりの全国制覇を達成した神奈川・慶応高のメンバーが数多く入部。丸田湊斗外野手、渡邉憩捕手らが早速デビューした。秋までにはこうした有力な1年生を交え、レギュラー陣のシャッフルが行われる可能性がある。

 堀井監督の頭の中には、清原の本格的な二塁コンバートの可能性も選択肢の1つとしてあるようで、「(秋季リーグ開幕までの)3か月は長いようで短いですが、チームのベストナインをしっかり固めるために、いろいろな可能性を探っていきたいと思っています」と述懐した。

「この舞台で野球をやれているありがたさを感じています。秋へ向けて、どうやったら優勝できるかを考えながら取り組んでいきたい」と思いを新たにした清原。秋にはどんな姿で神宮へ戻ってくるのだろうか。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)