2024年5月30日、アメリカの財務省が「NFT(非代替性トークン)」に関する初の金融リスク評価報告書を発表しました。財務省は、NFTを取り扱うプラットフォームがマネーロンダリング等への対策を怠っているとして厳しく非難しています。

Illicit Finance Risk Assessment of Non-Fungible Tokens - Illicit-Finance-Risk-Assessment-of-Non-Fungible-Tokens.pdf

(PDFファイル)https://home.treasury.gov/system/files/136/Illicit-Finance-Risk-Assessment-of-Non-Fungible-Tokens.pdf

U.S. Treasury Describes Non-Fungible Tokens as 'Highly Susceptible' to Use in Financial Crime

https://www.coindesk.com/policy/2024/05/29/us-treasury-describes-nfts-as-highly-susceptible-to-use-in-fraud-and-scams/

U.S. Treasury Department Releases First-ever Finance Risk Assessment Report on NFTs - NFT News Today

https://nftnewstoday.com/2024/05/30/u-s-treasury-department-releases-first-ever-finance-risk-assessment-report-on-nfts/

財務省の見解では、NFTはマネーロンダリングや犯罪者の規制逃れに使われやすく、NFTを取り扱うプラットフォームはこうした犯罪に対して適切な管理体制を敷いているとは言えない状態だそうです。そのため財務省は、さらなる規制措置を適用するようプラットフォームへ勧告しました。

NFTをめぐる資金の問題だけではなく、NFTそのものも犯罪者の格好の餌食になっているとして、財務省は市民に注意を促しています。

財務省によると、NFTにまつわる詐欺が横行しているほか、権利の虚偽表示や著作権・商標権の保護違反など、知的財産にまつわる問題も懸念されるとのこと。



ケーススタディとして北朝鮮の事例が取り上げられ、北朝鮮が軍事費を捻出するためにNFTを活用していた事実や、関連するハッカー集団がデジタル資産を盗むために使用した手法についても財務省は紹介し、散見されるリスクについて認知するよう呼びかけています。

2022年には、「遊ぶだけでNFTを入手できる」とうたわれたオンラインゲームがハッキングされ、750億円以上に相当する仮想通貨が盗み出されていたことがわかっていますが、後の調査により首謀者は北朝鮮の犯罪グループだったことが明らかになっています。

「NFTゲームからの750億円盗難事件」に北朝鮮のサイバー犯罪グループが関与していたことが判明 - GIGAZINE



NFT関連のニュースを取り扱うNFT News Todayは、「財務省がこのような評価報告書を公表したことは、NFTに関連するリスクを理解して対処する上で、重要な一歩を踏み出したことを意味します。規制の明確化と消費者保護は、進化するNFTの状況を乗り切る上で不可欠です。安全で透明性の高いNFT市場を確保するためには、関係者間の継続的な協力が不可欠です。認識、教育、適切な規制を通じてこそ、業界は潜在的なリスクやセキュリティ上の懸念から保護することができるのです」と記しました。