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イーロンが語る未来とは?

イーロン・マスクは先週フランス・パリで開催された「VIVA TECHNOLOGY 2024」にリモート参加し、未来についてのディストピア的なビジョンについて語りました。来場者から「AIが将来イーロン・マスク自身と入れ替わることになるのでは?」という質問も挙がっていました。

自動化による雇用喪失は、すでに多くの人が直面している問題ですが、イーロンはどのように回答したのでしょうか?

「いいシナリオとしては、人間はもう誰も仕事をしなくてもよくなる。

でも、このシナリオでは、ユニバーサルベーシックインカムではなくて、ユニバーサルハイインカムが必要になる。モノやサービスの不足は起こらないと思う」

豊かな人生にはなるけど…

続けてイーロンは、「最も可能性の高いシナリオ」として、ロボットにサポートしてもらえる豊かな人生を人類が送る未来について語っています。しかし、お金や仕事に頼らなくていい未来では、人間が目的を失うという実存的な問題についても説明しています。

「コンピューターとロボットがあなたたちよりすべてのことをもっと上手くこなせるなら、あなたの人生に意味ってあるのかな?

未来のいい方のシナリオで起こる本当の問題はそっちになるだろう」

現時点では人間の職が奪われている

短期的な現実としては、AIは低所得から中所得層の雇用を脅かす存在として見られています。

AIが人間と同じくらいの仕事ができるとは限らないけれど、一部の経営者はAIに挑戦させたがっているのも事実。例えばDuolingoは、翻訳業務をAIにシフトさせる際に複数の翻訳者を解雇したと報じられています。

またNvidiaは、1時間にわずか9ドルしかコストがかからないAI看護師を開発する企業と協力していてます。今のところはユニバーサルハイインカムどころか、こういった人たちを支援する社会的セーフティネットさえほとんどないのが現状です。

でも、イーロンは最初の質問には答えずどんどん話題が逸れていき、人間がAIシステムに意味を与えることで意味を創り出すかもしれないと指摘しています。

AIが人間の脳を喜ばせる?

イーロンはこうも語っています。

「つまり、私たち人間の脳の働きを考えてみると、本能と感情の辺縁系と思考と計画を司る大脳皮質がある。しかし、大脳皮質は常に辺縁系を喜ばせようとしている。だから、もしかするとAIと人間の関係もそうなるかもしれない。

AIは私たち人間の大脳皮質を喜ばせようとする。そして大脳皮質は辺縁系を喜ばせようとする。もしかすると、私たちがこうやってAIに意味や目的を与えるのかもしれない…」

イーロンはさらに、この最も可能性の高いシナリオのバージョンは、スコットランドのSF作家イアン・バンクスによる『カルチャー』シリーズに基づいていた考えだと述べています。

この作品では、ヒューマノイドの種族と人工知能エージェントが調和の取れた社会を形成し、「欠乏のない」経済を築いています。実はイーロン、1980年代のSF小説の影響を結構受けているようで、もう1つダグラス・アダムスの『銀河ヒッチハイク・ガイド』もよく取り上げています。

このカンファレンスでの別の場面でも、CNBCとBusiness Insiderから寄せられた2つの質問をイーロンは一蹴。Business Insiderの記者に質問の途中で遮り、「Business Insiderは本物の出版物ではないので、質問はここでやめましょう」と切り捨てています。

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