国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)は21日、パレスチナ自治区ガザ最南部ラファにある支援物資の倉庫や配給拠点に近づけなくなり、避難民らへの食料配給を停止したと発表した。

野村邦丸アナウンサーがパーソナリティを務めるラジオ番組『くにまる食堂』(文化放送・月曜日~金曜日9~13時)5月22日の放送は、週替わりパートナーの国際ジャーナリストの堤未果さんがこのニュースを解説した。

堤未果「今、アメリカはガザのガス田から30キロの所に港を作る工事を始めています」

野村邦丸(パーソナリティ)「前回、堤さんに出演いただいた時にガス田の話をお聞きしました。おさらいしますと、堤さんが書かれた本『国民の違和感は9割正しい』の中で、“ガザにある宝の山を狙っている”という項目があります。1999年にイギリスのガス会社が発見したガザ沖36キロの所にある天然ガス田が宝の山であることがわかった。パレスチナ自治区にとっては天から与えられた大きなチャンスだった。発電所の燃料を石油からガスに切り替えれば、電気の量を増やしてエネルギー自給率を高め、経済的に自立した経済国家を作れるから。一方、イスラエルにとっては、エネルギーを手に入れたパレスチナ国家を容認できない。イスラエルは反対するどころか、自分のものだといってるわけですか?」

堤「そうですね。エネルギーの自給ができるようになってしまうと、そこでパレスチナ国家として強くなってしまうのでそれは容認できない。ですから、宗教とか民族以外の理由で、エネルギーという国家間の関係を決めていくもう一つの要素があるので、そこも大きなポイントになっている」

邦丸「そうした中で、アメリカがガザに港を作っていると?」

堤「国連の事業所で人道支援の物資が入れられなくなっているというニュースが流れてますよね。それで、アメリカは表向きは人道支援の物資を運ぶための港ですといっているんですけど、エネルギー戦争の視点から見ると、ガス田への橋頭堡を築くというもう一つの目的が見えてきます。金融界・経済界ではそういう見方をしていますね」

邦丸「これがアメリカにとって大きなメリットになる?」

堤「大きなメリットになります。開発を狙ってます。アメリカは停戦決議をずっと拒否してますよね。人道の視点だけで考えるとそういう行動の理由がなかなかわからないですが、エネルギーをめぐる国同士の対立の歴史を見ると、ここで停戦されたら困るという別の思惑が見えてくるわけですね」

(参考記事「国際ジャーナリスト・堤未果、パレスチナ情勢は「エネルギー・お金の視点で見ることが大事」