「水原通訳が消えたことは大谷翔平にプラスの面しかない」ドジャース監督の強がりにファン失笑「彼は突然英語がわかるようになったのか?」
大谷翔平選手の通訳だった水原一平氏の違法賭博疑惑が、世界中の野球ファンを驚愕させた。元経済誌プレジデント編集長で作家の小倉健一氏が、現地米国メディアにおける反応をレポートするーー。
LAタイムズ記者「水原氏のギャンブル依存症を大谷が全く知らなかったということはあり得るのか」
「正直ショックということばが正しいとは思わないですし、それ以上のことばでは表せないような感覚でこの1週間ぐらいはずっと過ごしてきたので、いまはそれをことばにするのは難しいなと思っています」
大谷翔平選手が、3月26日の記者を前にした声明の最後で話した言葉は、嘘偽りのない言葉のように、私には聞こえた。
NHKニュース(3月26日)では「水原氏のギャンブル依存症を全く知らなかったということはあり得るのか。2人は少なくとも過去6年半、ほぼ毎日いっしょにいて、日によっては15時間から20時間もともに過ごす一心同体の関係だった。このような事態になっていてなぜ気づけなかったのか」という地元の新聞ロサンゼルス・タイムズでドジャースを担当するベテランのスポーツ記者マイク・ディジョバンナ記者の声を紹介している。
米メディア「水原はただの通訳だけでなく、大谷の親友でもあった」
大谷選手が本当に闇賭博を知らなかったのかは、今後の捜査を待つしかないが、水原氏の存在は、同記者が指摘するように大きなものだった。
米メディア「スポーツ・イラストレイテッド」(2021年6月21日)では、水原氏の大谷選手との一通訳を超えた「関係」が報じられていた。
「水原は大谷の個人通訳だ。大谷さんが2018年に日本からアナハイムに来て以来、この職に就いている。記者会見やロッカー周りでの取材において翻訳を行い、クラブハウスでの軽妙な会話を要約し、大谷がその『鎌のようなスイング』を形成し、フォーシームを決めるのを助ける細かい指導セッションの円滑化を行っている。その日の午後、二人がBART駅に着いた時、水原の携帯にマネージャーのジョー・マドンからのテキストメッセージが届く。大谷のスタートを1日遅らせて、適切なウォームアップを行う時間を作るべきか? それとも、他のルーチンの要素を乱すことになるか? 水原は大谷と相談し、チームと個人のニーズを素早く検討した後、次のように回答した『ショウヘイはそれで大丈夫だ』」
「水原の仕事の本質は、大谷が理解すること、大谷が理解されることを確実にすることだ。しかし、その役割はその説明の範囲を超えて広がっている。大谷の日程(準備、プレイ、回復、メディアへの対応)は水原のものにもなり、通訳は様々な副業務にも取り組む。水原は日本語と英語を話し、高度な分析や回復の時間割を細かく説明する。「ショウヘイのスケジュールはとても独特(ユニーク)で、一緒に投げる人が誰もいない時があります」と水原は言う。『その時は私が入ってキャッチボールをする』」
最近のニュースでも、「英語が話せないアジア出身のMLB選手は、コーチやチームメイト、記者と話すときだけでなく、通訳に頼ることが多い。コーチやチームメイト、記者と話すときだけでなく、彼らはほとんど経験のない外国でナビゲートする選手たちなのだ。水原は大谷の通訳であり、個人的なアシスタントであり、親友であり、運転手であり、キャッチボールのパートナーであり、アナリストであり、リハビリのパートナーであり、友人であった」(米Yahooスポーツ・3月27日)と報じられている。
闇賭博業者は、水原氏を陥れようとしていたのか
ここまで付きっきりの人物が、陰で自分を裏切り、自分の選手生命を脅かすようなことをしているとは、大谷選手でなくてもショックであったろう。
ギャンブル依存症は、「その人の人生に大きな損害が生じるにも関わらず、ギャンブルを続けたいという衝動が抑えられない病態をいいます。勝ちを追い求めて、最後には掛け金をたいてい失ってしまいますが、そのような行為を人に隠したり、貯金を使い果たしてしまったりします。借金が膨らんで、盗みや詐欺行為に手を染めてしまうこともあります。そして、最終的には生活が破綻して、深刻な事態に至ります」(国立病院機構・久里浜医療センターホームページ)とあるから、すべてを人に隠したまま、借金が膨らんで行ったのであろう。
そしてまた、それを狙っていたのが、闇賭博業者ということになる。
ドジャース監督「大谷がさらにチームメイトと積極的に関わるようになった」
こうした状況を受けて、大谷選手の所属するドジャースの監督デーブ・ロバーツ氏は、こう話している。
「今日はショウヘイにとってポジティブな一日だったと思う。ショウヘイは、起こったことをとても誠実に受け止めていたと思う。私にとっても、組織にとっても、我々は彼をサポートしている。彼が何を知っていて、何を知らなかったのか、多くの質問に答えてくれた。私は前を向いているし、当局に仕事を任せて、我々は野球に集中できる。私は彼を誇りに思う」
「実際、チームでの関係は良くなっていると思う。もはや緩衝材(a buffer、緩衝地帯とも訳される)はないのだから。ここ2、3日で、すでにそれを実感している。大谷がチームメイトとさらに積極的に関わっていると思うし、それにはプラスの面しかないと思います」
ドジャース監督「大谷の英語力に皆驚く」大谷「英語を話すことに必ずしも快適さを感じていない」
続いて、デーブ・ロバーツ監督は、コーチングスタッフが水原氏を通して大谷選手に野球に関する会話を伝えなければならなかったのか、というメディアからの質問に対し、「難しかった」「難しかった。そうだね」と水原氏の問題を強調している。そして、「ショウヘイがどれだけ英語を知っているか、私たちは皆驚くと思います」とも言っている。
しかし、この監督の発言は、さすがに強がりであろう。
監督の発言の背景には、大谷選手が多少は英語が話せることや新しい通訳ウィル・アイアトン氏の存在があるようだが、大谷選手の英語は、まだ流暢に話せるレベルではない。大谷自身、「英語を話すことに必ずしも快適さを感じていない」と繰り返し語ってきた。
米野球ファン「彼は突然英語がわかるようになったのか?」
通訳のアイアトン氏もドジャースに所属するパフォーマンス・オペレーション・マネージャーであり、大谷選手の専属の通訳となったわけではない。正確なコミュニケーションというよりも、気軽なコミュニケーションという点では、水原氏の役割は大きかっただろう。少なくとも、乱闘騒ぎで大谷選手を守りに行くような人物は、恐らく水原氏が最初で最後だ。
この監督の強がり発言に総ツッコミが入れられていて、X上では、ファンからは、緩衝材発言にこのような皮肉が飛んでいる。
”He all of a sudden knows English?”(彼は突然英語がわかるようになったのか?)
”Unless Dave Roberts suddenly learned Japanese he’s still going to have to go through a middle man”(デーブ・ロバーツ監督が突然日本語を覚えない限り、彼はまだ通訳を通さなければならないだろう)
地元メディア・ロサンゼルスタイムスも監督の『緩衝材発言』に、こう指摘している。
「おそらく、これは都合のいい、誇張された物語に過ぎない。先週の出来事の一部を、長い目で見ればプラスになる可能性があると紡ぎ出すための、ある種の歴史修正主義的なものだ」
米メディアの報道に接して感じるのは、大谷選手における水原氏の存在の大きさだ。これが大谷選手の活躍に水を差すことがないよう、願ってやまない。
