バーレーンに3-1で快勝し、8強入りを決めた日本代表【写真:Getty Images】

写真拡大 (全2枚)

ドラゴン久保のアジアカップ・日本―バーレーン戦分析第3回

 サッカー・アジアカップカタール大会は31日、決勝トーナメント1回戦で世界ランク17位の日本が同86位のバーレーンに3-1で快勝し、8強入りを決めた。2022年のワールドカップ(W杯)カタール大会で独自の解説がひそかに話題となった元日本代表FW久保竜彦が今大会も東京・中目黒のTHE ANSWER編集部に来訪し、試合を分析した。全3回の第3回は次戦の準々決勝・イラン戦に抱いた不安。2戦連続の快勝となったが、だからこそ「ちょっと心配なんよ」とドラゴンは指摘。選手ならではの感覚で語った理由とは――。現役時代に横浜F・マリノスで指導を受けた名将・岡田武史監督の言葉も引き合いに警鐘を鳴らした。(取材・構成=THE ANSWER編集部・神原 英彰)

 ◇ ◇ ◇

(第2回で語った)上田にはバコンバコン、ペナ(ペナルティエリア)の外からでも狙ってほしいよね。

 中盤の選手とは(役割が)違うんやから。俺も(中盤で)マラドーナを目指しとったよ。抜いていいパス出すか、自分で決めるかってしたかったけど、俺にはできんかった。だから、下手でもとにかくまずは打たんとって思ってね。

 今日は堂安も久保もうまかったよな、キワのところで。でも、バーレーンのプレッシャーがあんまなかった。(グループリーグ第3戦の)インドネシアもそうやったし。2試合続けて緩い試合が続いとるけん、次がどうなるか、ちょっと心配なんよ。

 なんでかっていうと(プレッシャーの緩い試合が)2試合続くと、良いイメージ、楽なイメージで慣れるんよ。

 岡田さん(マリノス時代の岡田監督)がずっと言ってた。お前ら、うまくやってうまく勝ったように思ってるけど、全然うまくなっとらんぞって。走って闘って100%出して、初めて勝てるんだぞって。確かに、その通りよな。

 緩い試合が続くと、うまいような気になってふわっとした(試合の)入りをするとか。そういうことがあるんよ。今日は上手に入ったけど、2試合続いてどうなるか。今日(の相手)が韓国なら厳しい試合して、次はうまくいくかなって思ったけど。

 それを森保さんもずっと言っていると思う。

 ただ、森保さんはグラウンドに立たん。(選手を)締めるし、言うし、わからせるし、(選手も)頭でわかっとるけど、感覚やから、結局のところは。言われて、そんな簡単にできるんなら、すぐに優勝もできるよ。

選手ならではの視点で思う難しさ「そういう錯覚が選手にはある、絶対」

 岡田さんは必ずピリッとさせて、ズルするな、油断するなって言いよった。

 それでも選手からすると、自分が思い通りの試合した、かっこいいシュートをした、おしゃれなプレーをしたってなると、次もできると思ってしまうんよ。そういう錯覚が選手にはある、絶対。グラウンドでやっとるんやけん、これは監督にもわからんことよ。

 だから、次の試合は絶対難しい。

 そういうときにピリッとさせられるやつが何人いるか。前線、中盤、センターバック、GKと本来は欲しいよな。冨安おる、遠藤おる。じゃあ、三笘ができるのかっていったら、今は後半からのあれ(ジョーカー的役割)やし、堂安や久保しかおらん。あとは伊東がどうなるか。

 次は中2日か。俺もACLで経験あったと思うけど、大変やな。なんとか頑張ってほしいよね。
 
(終わり)

■久保 竜彦 / Tatsuhiko Kubo

 1976年6月18日生まれ。福岡・筑前町。筑陽学園高を経て、1995年に広島加入。森保監督(当時選手)とは7シーズンプレーした。2003年に横浜F・マリノスに移籍し、リーグ連覇に貢献。1998年に日本代表デビュー。ジーコジャパンとなった2003年以降は日本人離れした身体能力と強烈な左足でエースとして活躍したが、腰や膝など度重なる怪我により、2006年のW杯ドイツ大会は落選。以降、横浜FC、広島などを渡り歩き、2014年に引退。J1はリーグ戦通算276試合94得点。日本代表は国際Aマッチ通算32試合11得点。引退後は山口・光市に移り住み、コーヒー焙煎や塩作りなど、異色のセカンドキャリアを歩む。今月、初孫が誕生予定。

(THE ANSWER編集部・神原 英彰 / Hideaki Kanbara)