徳光和夫が巨人に愛のムチ「岡本和真は勝負強い打者になってほしい」「中継ぎ投手が踏ん張りきれない」
徳光和夫 インタビュー(全3回)
読売ジャイアンツ 後編
熱狂的な巨人ファンで、日テレジータス公式ユーチューブ『徳光和夫の人生ジャイアンツ』に出演しているフリーアナウンサーの徳光和夫さん(82歳)。インタビュー後編では、2024年シーズンの読売ジャイアンツの課題や注目選手を語ってもらった。
徳光和夫 2024年シーズンのリーグ優勝は、予想も、希望も100%巨人なのでありますが、"現実"っていう目で見ることも必要なわけですよね......。
来季の巨人への期待を語った徳光和夫さん
来シーズンは阪神だけでなく、広島も間違いなく強い。新井貴浩監督が率いる広島は、さらにレベルアップすると思いますよ。
個々の選手の能力を比較した場合には、巨人の選手は阪神、広島の選手に勝るとも劣らぬ魅力があると思うんです。
現実的な希望としては、阪神、広島と競い合ってもらいたい。少なからずともひとつでもいいから勝ち越してもらいたい。そういう思いが強いですね。
その他、横浜も確かに怖いですが、対等に戦える。ヤクルトは村上宗隆選手次第だと思います。申し訳ないけど、中日はまだまだ途上。立浪和義監督は苦労すると思いますね。
2023年シーズン、とくに阪神と広島には、どうしても終盤に点をとられることが多かった。そこでリードされてしまうと、巨人は点をとり返せない。つまり、7、8回でやられるわけですよね。
今シーズンの巨人の課題はここにあったと思います。
攻撃面では終盤に点を返せない。現役だった頃の阿部慎之助監督のように、1、2打席目を凡打しても、いいところでホームランを打つ選手が出てきてほしい。岡本和真選手がそういう勝負強い打者になってくれるといいんですけどね......。
投手陣も同じ。先発投手がそれなりに力を発揮し責任を果たしても、中継ぎ、抑え投手が踏ん張りきれない場面が多かった。【若い投手の台頭でレベルアップ】
ただ、プロ野球の怖さを知った選手たちが、それなりに力をつけてきました。阿部ジャイアンツでは中継ぎ候補が非常に多い。
佐渡島出身の菊地大稀投手は育成ドラフトから1軍に昇格し、今季は50試合も登板しました。いい球を持っている。我々巨人ファンにとってロマンがある選手です。1軍登板は少なかったですが、代木大和投手も菊地投手と同様に期待しています。
一番化けてもらいたいのは田中千晴投手。1軍では中継ぎでしたが、2軍では先発も務めていたので、2年目の来季は先発でもいけると思っています。
船迫大雅投手も田中投手と同じで1年目から中継ぎを務めました。来季は、いっときの田原誠次のように勝利の方程式を担う投手になると思いますね。
船迫投手は少し年上ですが、20歳前後に期待したい投手が多いんですよ。先発には、今シーズン2桁勝利を上げた山粼伊織投手や11月のアジアプロ野球チャンピオンシップで侍ジャパンに選ばれた赤星優志投手がいます。彼らは阿部さんが2軍監督時代に育てた選手たちです。
なかなか1軍に定着できずにいますが、直江大輔投手、堀田賢慎投手にも、来季は活躍してほしい。直江投手が2022年のシーズンに一軍で初勝利を上げた時には、阿部さんがものすごく喜んでいたのを覚えています。
この世代のピッチャーが台頭することによって、巨人の投手力は1.5倍くらいレベルアップするんじゃないかな。
野手では、門脇誠選手が来季のキーマンになると思っています。強豪の創価高、創価大でしっかり身につけてきたものがあるから1年目から活躍できた。ドラフト4位ながらいい選手をとりましたよね。期待以上の活躍でした。
シーズン当初は無駄な三振も多かったのですが、7月ぐらいから驚くほど三振が減り、チャンスをつかみました。取り組み方が真摯なだけじゃなく、創意工夫がある。つまり、対応力と研究心がある選手なんです。1年目のシーズンを終えて11月には侍ジャパンに選出されました。監督の井端弘和さんと出会い、来季に向けてさらに収穫があったはずです。
シーズン終盤には、坂本勇人選手がサードに入り、岡本和真選手が一塁に回ったことで、門脇選手がショートに定着しました。あれほどまでにショートにこだわっていた坂本選手が、サードに回ることを承諾したことにも驚きましたが、これが大きかった。
セカンドには吉川尚輝選手がいます。阿部さんの構想では、門脇選手と吉川選手が1、2番に定着することになるんじゃないかな。門脇選手は、チームに欠かせないトップバッター、もしくは、2番バッターになってくると思います。
浅野翔吾選手の2年目も楽しみです。
最初によみうりランドで見た時は、正直、プロでは全然ダメだなと思ったんです。高校の時はあんなに勝負強く、選球眼もあったのに、簡単にボール球に手を出すんですね。聞いたところ、手元でとんでもなく落ちたり、曲がったりするプロのボールにずいぶん戸惑ったそうです。でも、最終的には打ち出しましたからね。ああいう選手が何かきっかけをつかんで打ち出すと止まりません。
足もあるし、肩もかなりいい。浅野選手には、吉田正尚選手や近藤健介選手のような選手になってほしい。センス抜群なので、開幕から外野の一角のレギュラーをとってもらいたいと思いますね。
浅野選手は来季、登場曲を北島三郎さんの『誠』にするそうですが、それもちょっとうれしいです。
浅野選手の他にも、ファームで目についた外野手では、法政大出身の岡田悠希選手、慶應大出身の萩尾匡也選手がいます。ふたりとも20代前半。まだ10代の浅野選手と合わせて、萩尾選手、岡田選手の3人が外野のレギュラーに成長した時、巨人は最強の時を迎えると思っています。
若手の話ばかりをしてきましたが、もちろん経験豊富な戦力もV奪回には必要不可欠です。
とくに、期待したいのが菅野智之投手ですね。これまではやっぱり原辰徳監督の甥っ子であることのプレッシャーは、意外なほど大きかったんじゃないかな......。原貢さんから続く、原野球一家の看板を背負ってきた。彼はまさに野球界のサラブレッドです。再び菅野の本来の力を発揮し、「野球界のイクイノックス」になってもらいたいですね。
幸か不幸か、他球団には今や"菅野はあんまり怖くない"って思われていると思います。でも、34歳になった菅野投手は、もうひと花咲かせることができる。ソフトバンクの和田毅投手をはじめ、30歳を過ぎていいピッチングをしている投手がずいぶん多いじゃないですか。このままでは絶対終わらない選手をひとり挙げろ、と聞かれたら、僕は菅野投手を挙げます。来季は本当に期待大。注目してみて。
先発陣は菅野投手、戸郷翔征投手、山粼投手までは計算できる。この3本柱がしっかりすることによって、あと2本をつくればいい。その2本には、まずグリフィン。赤星投手も入れていいかな。ここにドラ1の西舘勇陽投手も加わってくるかどうか。
先発投手の目処は立っていて、期待できる若手も多い。たしかに来季も阪神は強いかもしれませんが、我が巨人軍も負けてはいません!
読売ジャイアンツ 前編<「巨人が弱いと野球ファンが離れる...」徳光和夫が明かす炎上発言の真意 「今の選手たちにはそういう気持ちがあるのか!?」>を読む
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【プロフィール】
徳光和夫 とくみつ・かずお
1941年、東京都生まれ、神奈川県茅ヶ崎市在住。立教大学卒業後、1963年に日本テレビに入社。アナウンサーとして『ズームイン!!朝!』や『NTV紅白歌のベストテン』、プロレス中継などの多数番組で活躍。1989年、フリーアナウンサーに転身。現在まで、アナウンサーやタレントとして活動している。熱狂的な読売ジャイアンツファンで、「CLUB GIANTS」アンバサダーも務める。箱根駅伝好きでもあり、毎年、沿道で観戦している。