不十分な航空偵察を強化か?

高高度偵察機を投入する利点とは?

 イギリス国防省は2023年11月19日、ロシア軍が旧ソ連時代に開発された高高度偵察機であるM-55「ジオフィジカ」を再稼働させる可能性があると発表しました。


M-55「ジオフィジカ」(画像:Vitaly V. Kuzmin)。

 この機体は、アメリカのU-2のように高高度から敵勢力を偵察する高高度偵察機として開発された機体です。イギリス国防省の分析官が、最近のロシア軍の動向を示す写真を確認したところ、現在は、民間で学術研究のために使用されているはずのM-55が、軍用の偵察ポッドをつけていたとのことです。

 ロシア軍は現在、ウクライナ側の防空システムを警戒し、作戦での上空からの情報収集・経過監視・偵察(ISR)が不十分な状態にあります。その問題を、同機の高高度偵察により補おうという狙いがあるようです。

 同機を偵察用に復帰させてば、ロシア領空内から比較的安全にウクライナの地上目標の状況を知ることができるそうで、イギリス国防省は「ウクライナ上空でのロシアの限られた偵察能力を強化するために、前線に復帰する可能性がある」としています。