記事のポイント

ブランドと小売企業は年末のホリデーシーズンに向けてソーシャルメディアを活用し、特にインスタグラムへの投資を強化。ことしのリサーチでは、回答者の50%が毎日投稿していることがわかった。

ブランドと小売企業はインスタグラムのオリジナルコンテンツに対する投資を増やしており、66%が「ある程度」または「大いに」投資している。

インスタグラムはブランドや小売企業にとって適しているとの評価が高まり、回答者の63%が「非常に適している」と答えている。


ブランドや小売企業は、年末にかけてマーケティング予算を小出しにしながら、各種のソーシャルメディアプラットフォームをホリデー商戦のマーケティング戦略にどう活用するか検討する。このとき、各プラットフォームの価値を正しく判断することは極めて重要だ。

Facebookはいまもブランドの売上促進やブランディング施策に貢献しているが、ブランドはその活用を減らす傾向にある。一方、同じメタの運営でも、インスタグラムについては全く話が異なるようだ。

実際に、ブランドや小売企業は今年、インスタグラムへの投資を増やしている。この所見は、100人を超えるブランドおよび小売企業の関係者を対象に行った2021年、2022年、2023年の「DIGIDAYリサーチ」に基づいている。

米DIGIDAYによる一連の調査を見る限り、ブランドおよび小売企業によるインスタグラムの活用度は昨年から変わっていない。今年の調査では、「直近の1カ月間にインスタグラムにコンテンツを投稿した」と回答したブランドまたは小売企業は88%だった。昨年も同率の88%で、一昨年はこれを上回る95%だった。

この横ばい傾向が示唆するものは何か。もしかしたら、インスタグラムのライフサイクルの現時点で、このチャネルを実験的に使用するブランドや小売企業が減っていることの証左かもしれない。言い換えれば、ブランドはすでに、インスタグラムをマーケティング戦略に組み入れる、あるいは逆に見切りをつけると決めているのではないか。その結果、インスタグラムを活用していると回答したブランドや小売企業の割合が、昨年から今年にかけて全く変動しなかったとも考えられる。







さらに詳しく見てみると、インスタグラムを活用しているブランドや小売企業のほとんどが、今年は「毎日」投稿していることが分かった。昨年と比べて大幅な変化が認められる。具体的には、インスタグラムにコンテンツを「毎日」投稿すると回答したブランドまたは小売企業の関係者が今年はちょうど半数の50%だったのに対し、昨年は3分の1をわずかながら下回る32%だった。対照的に、インスタグラムへの投稿の頻度を「少なくとも週1回」と回答したブランドまたは小売企業は39%、「少なくとも月1回」は11%にとどまった。

インスタグラムに毎日投稿すると回答したブランドや小売企業の増加は、彼らがインスタグラムの有用性をすでに認めているからとも考えられる。インスタグラムが効果的なマーケティングチャネルであると判断したブランドや小売企業が、その活用にコミットし、毎日投稿するようになったということだ。



米DIGIDAYの一連の調査を見る限り、今年、ブランドや小売企業はインスタグラムのオリジナルコンテンツへの投資を昨年よりも増やしている。インスタグラムのオリジナルコンテンツ制作に「ある程度」または「大いに」投資していると回答したブランドや小売企業の関係者が今年は3分の2(66%)だったのに対し、昨年は56%だった。

とりわけ、インスタグラムのオリジナルコンテンツに「大いに」投資しているブランドや小売企業の割合には著しい増加が認められる。今年、インスタグラムのオリジナルコンテンツ制作に「大いに」投資するという回答は3分の1に相当する33%だった。昨年の16%から大きく増えた反面、2021年の40%には届かなかった。

また、今年の調査で、オリジナルコンテンツの制作に「大いに」「ある程度」「少しだけ」投資という回答がほぼ均等に分かれたことは注目に値する。具体的には、インスタグラムのオリジナルコンテンツに「大いに投資」と回答したブランドまたは小売企業が33%、「ある程度投資」が同じく33%、「少しだけ投資」が30%だった。



同時に、ブランドや小売企業は今年、インスタグラムへの広告出稿も増やしている。今年の調査で「直近の1カ月間にインスタグラムで広告を購入した」と回答したブランドまたは小売企業の関係者は4分の3近く(72%)にのぼり、昨年の3分の2(64%)を上回った。

オリジナルコンテンツの制作にしろ、広告出稿にしろ、ブランドや小売企業がインスタグラムはマーケティング投資に値するプラットフォームだと判断していることは明らかだ。





売上を促進する収益ドライバーとして、ブランドや小売企業がインスタグラムというプラットフォームをどう評価しているのかを見れば、彼らが投資を増やす理由も理解できる。米DIGIDAYによる一連の調査が示すとおり、インスタグラムは収益ドライバーとして「価値がある」または「非常に価値がある」と回答したブランドまたは小売企業の割合が、今年は昨年よりも大幅に増加した。

具体的な数字を挙げると、今年の調査では、インスタグラムは収益ドライバーとして「価値がある」または「非常に価値がある」と回答したブランドまたは小売企業が4分の3近く(71%)にのぼった。これに対し、昨年は半数をわずかに上回る52%だった。

この増加にとりわけ大きく貢献したのが「非常に価値がある」と回答したブランドまたは小売企業の関係者だ。昨年の調査では、「非常に価値がある」という回答は16%にとどまった。今年の調査では、この数字が39%に跳ね上がっている。



米DIGIDAYによる一連の調査を見ると、インスタグラムはブランディング施策に有用という意味で「価値がある」と回答したブランドまたは小売企業が増えていることが分かる。今年の調査で、インスタグラムはブランディング的に「価値がある」または「非常に価値がある」との回答は89%にのぼり、昨年の80%を上回った。

収益ドライバーとしての価値評価と同様に、ブランディング的な価値評価の上昇にもっとも貢献したのも「非常に価値がある」という回答だった。今年の調査では、インスタグラムはブランディング的に「非常に価値がある」と回答したブランドまたは小売企業は3分の2近く(63%)に達している。昨年は4分の1に満たない24%だった。

もうひとつ興味深いのは、今年の調査ではすべて(100%)のブランドまたは小売企業が、インスタグラムにはブランディングに有用という意味で少なくとも何らかの「価値がある」と認めている点だ。ただし、昨年と今年の結果に大差はなく、昨年は「あまり価値がない」という回答が4%あったが、「全く価値がない」は今年と同じくゼロだった



米DIGIDAYの調査では、インスタグラムはブランドや小売企業が使うのにふさわしいプラットフォームであるかという問いについても、前項と同様の結果が出ている。今年の調査では、程度の差は別として、すべての回答者がインスタグラムは自社のブランドに「適している」と答えている。一方、昨年は「ある程度適している」「適している」「非常に適している」の合計が96%だった。

インスタグラムは自社のブランドに「非常に適している」と回答したブランドまたは小売企業の割合が大幅に増えていることも注目に値する。昨年の調査では、「非常に適している」という回答が3分の1を若干下回る32%だったのに対し、今年は3分の2近くの63%に上昇した。これもまた、今年、ブランドがインスタグラムへの投資を増やした理由のひとつかもしれない。



[原文:Digiday+ Research deep dive: Brands, retailers increase their investments in Instagram]

Julia Tabisz(翻訳:英じゅんこ、編集:島田涼平)