女優の飯豊まりえが、フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00〜 ※関東ローカル)のナレーション収録に臨んだ。担当したのは、19日・26日の2週にわたって放送される『山本さんちの食卓 〜笑いと涙のサポートハウス〜』。20代から70代まで他人同士の7人が一つ屋根の下で暮らす石川・金沢市の一軒家「サポートハウス」(通称・サポハ)の人々を追った作品だ。

この生活が成立する大きな理由が、家の主である山本実千代さん(62)が作る美味しい食事。飯豊は、母が作ってくれた高校時代のお弁当のエピソードを明かしながら、食事がつなぐコミュニケーションに大いに共感したことを語った――。

『ザ・ノンフィクション』のナレーションを担当した飯豊まりえ

○■「生きることは食べること。食べることは生きること」

サポハに暮らすのは、障害や家庭の問題などで居場所を失った3人の若者たちと、彼らを見守る大人たち。毎晩、一緒に囲む食卓が、家族ではない彼らをつないでいる。

山本さんは、「生きることは食べること。食べることは生きること」をモットーに、食事を何より大切にしている。毎晩の食卓には、自ら育てた新鮮な野菜で作る大皿料理がズラリ。どれも手間暇かけて仕込んだものばかりで、若者たちは、山本さんの料理に背中を押されながら、自立を目指している。

その姿に、飯豊は「『生きることは食べること。食べることは生きること』というのは、私も前から感じていたことでした。美味しそうな料理が大皿でたくさん出てきて、みんなで分け合って食べるという姿を見て、改めて人と人が支え合って生きてるんだなと思いましたし、1人で生きていくよりも、誰かと分かち合ったり、美味しいものを一緒に食べているだけでも心が落ち着いたり、安らげたりするんですよね」と実感。「私自身が、人と食事をすることがとても好きなので、こういう家庭はいいなぁと思いました」と、しみじみ語った。

サポートハウスの食卓 (C)フジテレビ

○■1日生きることのエネルギーになっていた

食事を通じたコミュニケーションに大いに共感する背景には、高校時代に母親が作ってくれたお弁当の思い出があった。

「毎朝早く起きて作ってくれていて、お弁当箱が刺しゅうで自分の名前が入った“曲げわっぱ”だったんです。当時は自分1人だけ“和”っぽいのは恥ずかしいなと思っていたのですが、周りのみんなに驚かれるほど本当にきれいで鮮やかで。栄養のバランスも考えられたお弁当を持たせてくれたことで、1日生きることのエネルギーになっていたなと思います。それを毎日作る大変さは今でこそ分かりますが、当時は美味しいからバクバク食べていただけでした(笑)。あのときもっと直接感謝の気持ちを伝えられていたらなぁと、少し後悔の気持ちもありますが、忘れられない食事ですね」

よく入っていたおかずは、鶏そぼろやきんぴらだったそうで、「本当に美味しかったんです」と回想。お弁当は高校時代に限られたものだったが、先日久しぶりに食べる機会があったという。

「夏のドラマのロケが地元の千葉であったのですが、30分ほど帰れる時間があったので実家に寄ったんです。そしたら、そのときにお弁当を作ってくれていたんですよ! しかも私だけでなく、マネージャーさんの分まで作ってくれて、懐かしいと思って泣きそうになりながら食べました(笑)」

○■DNAを継承「野菜を刻んだり、調味料を選んだりするのが好き」

そんな母親だけに、「うちに来るときは、八百屋さんを開けるぐらい、いっぱい無農薬の旬の野菜を買ってきてくれるんです」とのこと。そのDNAを受け継いだのか、一人暮らしをするようになって自炊を楽しんでいるそうで、「野菜を刻んだり、調味料を選んだりするのが好きですね。最近は東京でしか売っていないような調味料があったら母の分まで買って、物々交換しています」と明かす。

家庭での印象に残る母の味は、正月のお雑煮。醤油ベースに野菜は豚汁に近いくらい具だくさんで、波葉海苔という千葉特産の海苔を載せるのが飯豊家特製だ。

「いつも母が『これくらいの量を作ったよ』とメールしてくれるのが毎年の恒例行事です。今度のお正月も食べられそうです」といい、「そうやって母が遠いところにいても“食べること”で精神的につながって支えてくれているので、幸せだなと思います」と笑顔を見せた。

料理を作る山本実千代さん (C)フジテレビ

●飯豊まりえ1998年生まれ、千葉県出身。08年、「avex kids×ニコ☆プチ公開モデルオーディション」でグランプリを受賞し、雑誌『ニコ☆プチ』でモデルデビュー。女優業でも幅広く活躍しており、現在、『Oggi』の専属モデル、『MORE』のレギュラーモデルを務める。近年の主な出演作に、ドラマ『花のち晴れ〜花男Next Season〜』(TBS)、『家政夫のミタゾノ』第4シリーズ(テレビ朝日)、『岸辺露伴は動かない』シリーズ(NHK)、『君と世界が終わる日に』シリーズ(日本テレビ/Hulu)、『ひねくれ女のボッチ飯』(テレビ東京)、映画『暗黒女子』、『いなくなれ、群青』、『惡の華』、『シライサン』、『くれなずめ』など。近年は、連続テレビ小説『ちむどんどん』(NHK)、『ヒル Season2』(WOWOW)、『恋なんて、本気でやってどうするの?』(カンテレ)、『オクトー 〜感情捜査官 心野朱梨〜』(読売テレビ)、『何曜日に生まれたの』(ABCテレビ)などに出演する。