韓国フィギュアの新星、イ・へイン。常に笑顔が魅力の“キム・ヨナキッズ”が初のGPファイナル目指す
現地時間11月3日(金)より開幕する、フィギュアスケート・グランプリシリーズ第3戦フランス大会。
今大会、昨シーズンの国別対抗戦で初出場ながら銀メダルを獲得するなど躍進目覚ましい韓国から、イ・ヘイン(18歳)が出場する。
韓国フィギュアのレジェンドといえば、キム・ヨナ。
バンクーバーオリンピックでの金メダルをはじめ、世界選手権やグランプリファイナルでも頂点を極め、数多くの功績を残して2014年に引退した。
それから数年、韓国勢は世界大会の表彰台から遠ざかる日々が続いたが、長く韓国フィギュアに携わる代表チームのマネージャー、チェ・ジョンユン氏に聞くと、次のように話す。
「キム・ヨナ選手が引退したからといって国内のフィギュア人気が下がったのではなく、むしろその活躍を見てフィギュアスケートを始めた選手がたくさんいます」
キム・ヨナを見て育った新世代の選手たち。彼ら彼女たちは国内で“キム・ヨナキッズ”と呼ばれている。
世界トップレベルでの活躍を現実的な目標として練習を積んできた“キム・ヨナキッズ”は、今まさにフィギュア界を席巻しつつある存在だ。
その象徴といえるのが、イ・ヘイン。
昨シーズン、世界選手権で韓国勢ではキム・ヨナ以来となるメダルを獲得(銀メダル)。国別対抗戦でも母国を表彰台へ導く大活躍を見せた。
彼女がフィギュアスケートを始めた理由を尋ねてみると、「2013年にヨナさんのアイスショーを見に行って、そのときから選手になりたいと思って本格的に始めました」と答える。
キム・ヨナの滑りを生で見て魅了されスケート選手を目指すようになった、まさしく“キム・ヨナキッズ”だ。
中学生の頃には有望な若手として、憧れのキム・ヨナと対面。今でもよく覚えているという当時の感想は、このような一言だったという。
「わ、女王様だって(笑)」――。
◆オフも練習中も…常に輝く笑顔
現在18歳、弾けるような笑顔が魅力の彼女の1日に密着した。
韓国の首都ソウルの中心部から車で約30分、テルンにある国立トレーニングセンター。この施設でイ・ヘインら韓国代表は練習を行っている。
朝、施設に到着すると笑顔でカメラに挨拶。ウォーミングアップ中も、練習が始まっても…常に笑顔だ。
彼女を指導するのは、かつてキム・ヨナも師事したチ・ヒョンジュンコーチ。キム・ヨナとイ・ヘイン、2人を知る貴重な存在に話を聞くと、次のように話す。
「イ・ヘインは、積極的な性格。とても前向きにいろいろなことに取り組んでいけるのが強みだと思います。(キム・ヨナとの共通点は)最後までやるところ。うまくできない部分があるときは、最後までとことんやる。その点は同じです」
前向きに、真摯にフィギュアスケートと向き合う姿勢こそが、イ・ヘインの強さの秘密なのかも知れない。
午前の練習が終わると、束の間の食事の時間。「お寿司とキムチチャーハンが好きです」とのこと。以前キム・ヨナから受けたというアドバイスについても教えてくれた。
「私はいつも力強くて、振り付けをするときもずっとパワフルだったんですが、ヨナさんに教えてもらって強弱の調整ができるようになりました」
昼食を終え、午後もチ・ヒョンジュンコーチのもとでみっちりと練習を行ったイ・ヘイン。今日はこれで終わり…と思いきや、場所を移してやって来たのはパーソナルジム。
ここで体幹トレーニングをはじめ、フィギュアスケートで使う筋肉を徹底的に鍛え上げていく。
そして、ここのトレーナーもかつてキム・ヨナを指導していたことがあり、それが理由のひとつでイ・ヘインも通い始めたのだという。憧れの人から受ける影響は、とことんまで彼女の背中を押しているようだ。
「ヨナキッズと呼ばれているからには、これからもっといい成績を出していきたいです。まだグランプリシリーズでメダルを獲ったことがないので、メダルを取ってファイナルに進出したいです」
“キム・ヨナの再来”とも言われ期待される韓国の若き才能、イ・へイン。シニア3シーズン目となる今年、さらなる飛躍を目指す。