Unity Technologiesの開発するゲームエンジンのUnityが、Unityを使用して開発されたゲームに対してインストール数に応じて追加の料金を請求する新しい料金体系を発表しました。多くのユーザーから批判を集めるこの新料金システムの発表直前に、Unity TechnologiesのCEOを含む複数の幹部が株式を売却していたことが明らかになっています。

Unity Bosses Sold Stocks Ahead Of Scummy Dev Fees Announcement

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2023年9月12日、ゲームエンジンのUnityが「Unityを使って開発されたゲームに対して、インストール数に応じて開発者に料金を請求する」という新しい料金システム「Unity Runtime Fee」を発表しました。このUnity Runtime Feeは2024年1月1日から導入される予定です。

Unityが「ゲームがインストールされるたびに手数料発生」の価格体系を導入してゲーム開発者が激怒、年額約5万円の「Unity Plus」も新規受付停止に - GIGAZINE



Unityはゲームだけでなくアプリ、映像、ARおよびVRコンテンツの制作にも利用されるゲームエンジンで、利用料金は制作したコンテンツにより発生する収益や使用する機能によって変化します。そのため、Unityを無料で使用する小規模開発者も多くいました。

Unity Runtime Feeは過去12カ月における作品の収益と、累計インストール数に応じて料金を請求するという新しい料金体系になっており、利用者はプラン料金とは別にUnity Runtime Feeを支払う必要があります。

発表後、ゲーム開発者からは「ゲームを開発し、300万回インストールされ、ゲーム内課金で20万ドルを売上げたとしても、Unityは280万インストールごとに56万ドルを請求してきます。つまり、36万ドルの赤字です」などと、Unity Runtime Feeに対する苦情の声が多数挙がっています。





Unity Runtime Feeはゲーム開発者から非難の声が多数寄せられており、発表後にはUnity Technologiesの株価は下落しています。そんな中、Unity Technologiesのジョン・リッチティエッロCEOが、Unity Runtime Fee発表目前の9月6日に同社の株式を2000株売却していたことが明らかになりました。報道によると、リッチティエッロCEOは2023年に入ってからUnity Technologiesの株式を累計5万610株売却しているそうです。

Unity Runtime Fee発表前のタイミングにUnity Technologiesの株式を売却した幹部はリッチティエッロCEOだけではなく、複数の幹部がかなりの株式を売却していたことが明らかになっています。同社のグロース部門の責任者であるトマー・バージーブ氏は、9月1日に3万7500株を約140万6250ドル(約2億700万円)で売却。取締役のシュロモ・ドブラット氏は8月30日に6万8454株を約257万6608ドル(約3億8000万円)で売却しています。

なお、Unity Runtime Feeは「一定数のインストールごとに料金を請求する」というあいまいな料金体系であることから、一部のゲーム開発者はUnityの利用を止めると意向表明しています。Cult of the Lambの開発者であるMassive Monster氏は、Unity Runtime Feeが有効になる2024年1月1日に同ゲームの販売を停止する意向を発表しています。