中古車業界関係者が決死の実名告白「ビッグモーターは氷山の一角だ」無知なユーザーほど騙される仕組みを暴露…”ローンのせどり”の闇

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 中古車販売大手ビッグモーターの保険金不正請求問題が連日メディアを賑わせている。だが、こうした不正はビッグモーターに限らず、多くの中古車販売店で行われているようだ。

 識者に話を聞くと、「保険料水増し以上に根深い業界の”騙しのカラクリ”が見えてきた」というーー。

中古車業界は”不正の玉手箱”

「不正をしている中古車販売店は少なくありません。そもそも保険料水増しに限らず、中古車業界は”不正の玉手箱”のようなもの。その点で今回の件はさほど驚かないという感覚です」

 そう語るのは、個人間取引に特化した中古車ローン仲介サービス「UcarNext」を運営する株式会社furasucoの江粼稔氏だ。

 ビッグモーターの元社員とも付き合いがあった江粼氏によると「保険料の水増し請求をしている中古車販売店は意外にも普通にある」という。

「ただ、なぜここまで大規模にビッグモーターが問題になったかと言えば、それは同社で組織ぐるみの手口が行いやすかったからなのではないか、と推測します」

「同社は販売部門だけでなく、修理を行う板金部門も社内にあり、さらに保険の代理店も手掛けています。つまり、販売から修理、そして保険の手続きまでを自社で一貫して行うことができました。その結果、どの部門でも不正を容認しやすい体制になっていたのではないか、と疑われても仕方ありません」

 「組織ぐるみの手口が行いやすかった」とはどういうことか。

専門家が指摘する「アジャスターが機能しなかった」可能性

 ここでクルマの事故後の修理手続きの流れを整理しよう。

「事故車の入庫先はビッグモーターのような販売店の場合もあれば、修理工場や板金店に運ばれる場合もあります。いずれにせよ、自動車保険の請求が発生する場合、まずはアジャスターと呼ばれる車両状態をチェックする損害調査会社のスタッフがどこが事故による傷かを調査します」

 本来は、このアジャスターの存在により、事故以外の傷は保険対象から外されるため、保険料の水増し請求はすぐにバレる構造になっている。

「しかし、ビッグモーターに運ばれた修理車両の場合、このアジャスターが機能していなかったのではないでしょうか。アジャスターは車両をチェックすると、自らもしくは、修理業者の見積りを確認し、保険会社に対して見積もりを作って報告する流れとなっています」

「その後、請求が認められた箇所のみ保険適応され修理が始まるわけですが、このチェックすらもおざなりになっていたのでしょう」

 つまり、彼らも『これは事故による傷ではないけれど、事故の傷ということで修理します』と、不正に加担していたことも考えられる。

「もし、アジャスターの調査がザルだった場合、事故によるものではない傷や、単に擦れただけの箇所もパーツをすべて交換することで販売店や板金店の粗利が増えていくわけです」

保険会社は修理を歓迎していた

 さらに、ビッグモーターには、車両にわざと傷をつけ、それも事故による傷とみなし修理代を水増ししていたのではないかという疑惑も浮上している。

「たとえば、ドアをぶつけて修理に出した場合を考えてみましょう。その場合、通常は修理箇所の塗装が少し変わったとしても、保険がおりるのは事故にあった箇所のみです。しかし、関係のない箇所も塗装したり、部品をすべて交換してしまう。こうして保険料の水増しが横行していたのです」

 こうした疑惑を受け、現在保険会社大手の損保ジャパンはビッグモーターに対して損害賠償を請求しようとしている。

 だが、江粼氏は「本件の真相はわからないが、保険会社が不正に加担しているケースは存在しているはずだ」という。

 修理が増えれば保険会社にとっては出費が増えるはずだ。

 なぜ保険会社の一部もこの構造を歓迎していたのか。

「決して修理代がかさむのを歓迎していたわけではないと思いますが、ビックモーターのように水増し請求した場合でも、保険会社が負担する修理費用は正規ディーラーでの修理よりも抑えられていたのではないでしょうか」

「特に販売台数が多い店舗は、自賠責保険と自動車保険(任意保険)の獲得件数が見込まれます。それが理由で保険会社から優遇されていたのではないでしょうか。これにより、お互いに保険請求しやすく、契約が獲得しやすい関係値が成り立っていたのか、と推察できます」

さらに新事実!”ローンのせどり”の闇

 ここまでで、業界の問題は想像以上に根深いことがわかったはずだ。

 そもそも、なぜ中古車業界において不正が横行するようになったかと言えば、「中古車業界はもはや売るだけでは利益が出ないビジネスモデルになっているから」だという。

「一般に、中古車販売は100万円のクルマを売った場合、利益は5万円ほどしか乗らない薄利な商売です。にもかかわらず、販売店はオークションで200万円で仕入れたクルマを180万円の価格で販売することも珍しくありません」

 ただでさえ薄利な中古車において、車両価格を赤字に設定する。

 これはいったいどういうことか。

「彼らは車両価格以外で利益を得ているのです。たとえば、自動車購入のローンはその最たるものです。中古車の購入を検討している際に、しばしば[金利9.8% ローン120回]という表記を見かけないでしょうか。しかし、このローンの仕組みこそ、鬼の所業の様な文化。」

 ここで驚きの実態が明らかになる。

「彼らは”金利のせどり”で儲けているのです。実はこの金利9.8%のローン、ローン商品として中古車販売店に提供されているベースの金利(もともと設定されている金利)は2~3%ほどなのです」

「彼らはローン金利9.8%から本来の金利2%を引いた7.8%の差分が販売店の利益になることが容認されているのです。厳密にはもっと複雑な計算式があり、取り分は7.8%より減りますが、中古車販売店は”金利のせどり”で儲けていることに変わりはありません」

 江粼氏によると、よくある営業トークは、現金一括で車両が購入できるにもかかわらず「損はしないので1年間だけローンにお付き合いください」というものだ。

 こうしてローンを組ませることで中古車販売店は利益を得られるのである。

「ほかにも、購入にあたって安心パック、車検パック、オイル交換パックなどの20~30万円のオプションをつけることを条件にして販売するのです。こうすることで初めて中古車販売店に利益が出ます」

安い車両価格は”釣り”

 一般に、消費者は中古車情報サイトなどで距離数、年式が同条件の車両ならば、最安価格の車両を買いたがる。

 そのため、販売店はどこよりも安い価格に設定するのが”正義”となる。

 つまり、車両はあくまで”釣り”であり、問い合わせ後に初めて利益が出る商品を上乗せするという。

「営業マンは『あとで一気に払ってよいので、まずは金利9.8%の120回ローンで払ってください』と営業します。しかし、120回で払うと最終的に車両価格に150万円が上乗せされます。もし1年間だけローンで払ったとしても30万円は上乗せされる計算です」

 ここまでの江粼氏の話をまとめれば、いまや中古車業界にとってクルマを売って収益をあげるのは現実的ではないことがおわかりいただけるだろう。

「特にビッグモーターのような大手中古車販売店は10%近い金利を取れる”特権”を持っています。もちろん、こうした高金利の背景を把握せず、約款を読まない消費者の無知も問題です。しかし、それ以上に無知を利用して高金利で車両を販売する中古車販売店は問題といってよいでしょう」

これから中古車を買う人が身につけるべき知識とは

 では、消費者はどのように対処すればよいのだろうか。

「まず、車両価格がどこよりも安いから、大手販売店だからという理由だけで買うのはやめましょう。クルマを買う時はローンの金利も含んだ総支払金額に注目してください。また、車両価格の説明が適当な店舗の場合、自社の利益だけを考えており、自社保証やアフターサービスも期待はできないでしょう」

 最近増えている新古車や登録済み未使用車販売店も注意が必要だという。

「これらの店舗は高金利ローンを組んでいることが多いからです。いまは新車で買うと免税される車種もあり、税金や新車の値引きを考慮するとほとんど新車と値段が変わらないことも少なくありません」

 ひとつの基準として、中古車を購入する際は6%を超えてくるローンは高いと判断すべきだという。

「もちろん、審査状況によって貸出リスクが高いと判断された場合、保証委託の関係で金利が高くなってしまうこともあります。ただ、それでも6%という数値は覚えておいてほしいです。ちなみに、ローンを使うなら銀行系のローンを一度申し込んでみることもおすすめします。最近の銀行系のローンは非常に使いやすい手続きフローになっています」

 保険料水増しは一企業の不祥事にとどまらず、私たちにとっても他人事ではない。

 今後中古車を買う場合、消費者側にも一定のリテラシーが求められると言えるだろう。