GoogleがAndroid 13 Beta 3をリリース!初の安定版に

Googleは7日(現地時間)、スマートフォン(スマホ)やタブレットなど向けプラットフォーム「Android」の次期バージョン「Android 14(開発コード名:UpsideDownCake)」( https://developer.android.com/about/versions/14 )における一般向けベータ版第3弾「Android 14 Beta 3」を公開したとお知らせしています。

すでに「Pixel 4a (5G)」以降の同社が展開する「Pixel」ブランドのスマートフォン(スマホ)において「Android Beta Program」( https://g.co/androidbeta )からネットワーク経由によるソフトウェア更新(OTA)で導入できるほか、すでにファクトリーイメージやOTAイメージも配信開始されています。

対象機種は新たに「Pixel 7a」が追加されてPixel 4a (5G)および「Pixel 5」、「Pixel 5a (5G)」、「Pixel 6」、「Pixel 6 Pro」、「Pixel 6a」、「Pixel 7」、「Pixel 7 Pro」の9機種。

またPixel向けのAndroid 14 Beta 3はビルド番号が「UPB3.230519.008」、Androidセキュリティーパッチレベルが「May 2023」となっており、Pixel製品以外でもx86(64bit)やARM (v8-A)といったAndroidエミュレーターでも試せます。またGoogle Play servicesも「23.18.15」となっているほか、APIレベルも正式版の「API 34」となりました。

なお、Android 14 Beta 3ではAndroid 14における初の安定版(Platform Stability)となっており、動作の安定性が増し、各種不具合も修正されているほか、最終的なAndroid 14におけるAPIとSDKも含まれているため、同社ではアプリなどの開発者に向けにAndroid 13\4へ対応したアップデートに着手し、正式版のリリースに間に合うように対応するよう促しています。


Android 14は現在の最新バージョンの「Android 13」の次のメジャーアップデートとなる予定のバージョンで、最近の流れであるセキュリティーやプライバシーをより拡充しており、さらにパフォーマンスやユーザーカスタマイズの機能を強化してより使いやすいユーザーインターフェース(UI)を構築し、開発者向けにも生産性を向上する取り組みと続けており、これまで通りに正式版に向けて徐々にAndroid 14の新機能を追加していくということです。

また最近では四半期ごとに新機能「Feature Drop」を追加しており、Android Beta Programでもプラットフォームリリース(QPR)を実施し、年間を通じて拡張機能と新機能を提供し続けてAndroidの継続的な改善に重要な役割を果たしているとのこと。またAndroid 14でも引き続いてAndroid 12LやAndroid 13で提供されたタブレットやフォルダブルスマホなどの大画面に適用する取り組みが継続されます。

なお、Developer PreviewやBetaでは変更の簡単なテストとデバッグができるようになっており、アプリに影響を与える可能性のあるオプトインの変更を簡単にテストできるようにするために今年はそれらの多くを再び切り替え可能にします。トグルを使用すると、開発者向けオプションまたはadbから個別に変更を強制的に有効または無効にすることができます。詳細は https://developer.android.com/about/versions/14/reference/compat-framework-changes をご覧ください。


Android 14の正式版のリリースまでのスケジュールはこれまで提供されてきたDeveloper Preview 1やDeveloper Preview 2、Beta 1、Beta 2に続けて今回、最初の安定版(Platform Stability)となるBeta 3が提供され、今後は7月に正式版に近い最終テストとなる「Beta 4」や「Beta 5」が提供され、その後にAOSPとエコシステム向けの正式版がリリースされる予定となっています。今回、Beta 3で新たに案内された新機能は以下の通り。

Beta 3では非線形フォントスケーリングや部分的な写真と動画のアクセスを含むプライバシー機能の更新、ジェスチャーナビゲーションでの新しいアニメーションのサポート、Open JDK 17 LTSのリリース、さらに連携する機能などの新しいアクセシビリティー機能に焦点を当てています。

<プラットフォームの安定性>
Beta 3のプラットフォームの安定性によってAndroid 14へ対応するのに必要な互換性が確認でき、Android 14へ対応したアプリの開発やリリースができるようになります。開発者は今すぐ最終互換性テストを開始し、残りのベータ版のリリースにてフィードバックを得ることができるようにアップデートを公開する準備をするように案内しています。これは今年後半のAndroid 14の最終リリースに先立ってスムーズなアプリ体験を確保するのに役立ちます。

今回のBeta 3のリリースによってAndroid 14のプラットフォームの安定性が順調に進んでいることを示しており、SDKやライブラリー、ツール、ゲームエンジンを開発する場合はAndroid 14に互換性のあるアップデートをできるだけ早くリリースできるように今すぐテストすることが重要です。またダウンストリームのアプリやゲームの開発者が互換性の問題でブロックされるのを防ぐことができます。

<アプリの互換性>
Androidの各リリースにはプライバシーやセキュリティー、全体的なユーザーエクスペリエンス(UX)を向上させるプラットフォームへの変更が含まれています。これらの変更はアプリに影響を与える可能性があります。アプリのテストにはAndroid 14 Beta 3を実行している製品に本番アプリをインストールすることが含まれます。Google Playまたはその他の手段を使用できます。アプリのすべてのフローを調べて機能上またはUIの問題を探します。動作の変更を確認してテストに重点を置き、アプリに影響を与える可能性のある変更には次のものがあります。

・フォントの非線形スケーリング。
 Android 14以降ではシステムはデフォルトで最大200%までのフォントスケーリングをサポートし、視覚障害のある利用者にWebコンテンツアクセシビリティーガイドライン(WCAG)に準拠した追加のアクセシビリティーオプションを提供します。最大フォントサイズを有効(200%)にしてUIテストを実行してアプリの使いやすさに影響を与えることなく、より大きなフォントサイズに対応できることを確認してください。この機能を最大限に活用するには、ConfigurationまたはDisplayMetricsからsp計算をハードコーディングしていないことを確認し、TypedValueのapplyDimension()およびderiveDimension()を使用してspとpxの間の変換を行います。

・写真やビデオへの部分的なアクセス
 アプリがAndroid13(APIレベル33)で導入されたビジュアルメディアアクセス許可(READ_MEDIA_IMAGESまたはREAD_MEDIA_VIDEO)を要求したときに利用者はメディアライブラリへの部分的なアクセスを許可できるようになりました。アプリがバックグラウンドに移動するか、利用者がアプリを積極的に強制終了すると、システムはこれらを1回限りのアクセス許可として扱い、最終的には拒否します。アプリがアクセス許可のベストプラクティスに従っている場合にはこの変更によってアプリが破損することはありません。

またAndroid 14ではアプリが新しい変更をより適切にサポートできるように「READ_MEDIA_VISUAL_USER_SELECTED」権限が導入されました。よりシームレスなUXを実現するには写真ピッカーの使用を検討することをオススメします。写真ピッカーは権限を必要とせずに選択した画像や動画へのアクセスをアプリに許可する安全な方法を提供します。

・データの安全性に関する情報がより見やすく
 プライバシーを強化するためにAndroid 14ではPlay Consoleフォームで宣言した情報をシステムが表示する場所の数が増加しました。一部の権限についてはシステムのランタイム権限ダイアログにアプリのデータ共有方法を強調表示するクリック可能なセクションが含まれるようになりました。

システムダイアログのこのセクションには、アプリがサードパーティとデータを共有する理由などの情報が含まれており、アプリのデータアクセスを制御できる場所に利用者がリンクされます。アプリの位置情報データ共有ポリシーを確認してアプリのGoogle Playデータの安全性セクションに該当する更新を行うことをオススメします。

動作の変更セクションを参照してアプリまたはゲームの互換性に影響を与える可能性のあるすべての変更を確認してください。アプリのライブラリーとSDKに問題が見つかった場合は最新のライブラリーまたはSDKバージョンに更新し、必要に応じて開発者に連絡してサポートを求めてください。

現在のアプリの互換性のあるバージョンを公開したらアプリのtargetSdkVersionを更新するプロセスを開始できます。Android 14をターゲットとするアプリの動作変更を確認して問題を迅速に検出できるように互換性フレームワークの使用を検討してください。テストする変更の一部を次に示します。なお、これらはtargetSdkVersionがAPIレベル34以降に設定されているアプリにのみ適用されます。

・フォアグラウンドサービスの種類は必須に
 アプリがAndroid 14をターゲットとする場合にアプリ内のフォアグラウンドサービスごとに少なくとも1つのフォアグラウンドサービスタイプを指定する必要があります。アプリのユースケースを表すフォアグラウンドサービスの種類を選択する必要があります。システムはフォアグラウンドサービスタイプが適切に使用されているかどうかをチェックし、アプリが適切な実行時権限を要求していること、または必要なAPIを使用していることを確認します。

例えば、システムはフォアグラウンドサービスタイプ「FOREGROUND_SERVICE_TYPE_LOCATION」タイプを使用するアプリが「ACCESS_COARSE_LOCATION」または「ACCESS_FINE_LOCATION」を要求することを期待します。Android 14ではヘルスケアおよびリモートメッセージングのユースケース向けにフォアグラウンドサービスタイプが導入されています。またシステムは短いサービス、特別な使用例およびシステム免除のために新しいタイプを予約します。

・Open JDK 17アップデート
 最新のOpen JDK LTSのリリースに合わせてコアライブラリーを更新するためにAndroid 14で行われる変更のいくつかは正規表現やUUID処理の変更、ProGuardやjava.lang.ClassValueの追加に関連する問題など、アプリの互換性に影響を与える可能性があります。

・セキュリティーの変更
 Android 14をターゲットとするアプリは特定の暗黙的インテントを内部コンポーネントに送信できなくなりました。ランタイム登録ブロードキャストレシーバーはシステムブロードキャストのみを受信する場合を除き、エクスポート動作を指定する必要があります。動的にロードされるコードファイルは読み取り専用としてマークする必要があります。

Zipパストラバーサルの脆弱性を防ぐために、Zipファイルのエントリ名に「..」が含まれているか、「/」で始まる場合、ZipFile(String)およびZipInputStream.getNextEntry()はZipExceptionをスローします。バックグラウンドからアクティビティを開始する場合には追加の制限があり、非SDKインターフェイスを呼び出す場合には制限が更新されます。



記事執筆:memn0ck


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