「さよなら中野サンプラザ音楽祭」

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1973年の開業以来、様々なジャンルのアーティストがコンサートを行ってきた中野サンプラザ。バンドやシンガーソングライター、声優、そして、アイドルにとっても“聖地”と言える中野サンプラザが、今年7月、50年の歴史に幕を閉じる。現在、「さよなら中野サンプラザ音楽祭」と題し、縁のあるアーティスト達がラストライブを行っているのだが、5月25日には、でんぱ組.inc、バンドじゃないもん!MAXX NAKAYOSHI、虹のコンキスタドールという3組の個性派アイドルグループが登場した。今回は、一夜限りのレアなコラボレーションも飛び出したこの日のライブの模様をレポートする。
 
【写真】「さよなら中野サンプラザ音楽祭」でんぱ組、バンもん、虹コン一夜限りのコラボ【10点】

まず、最初のグループは、バンドじゃないもん!MAXX NAKAYOSHI。神聖かまってちゃんのドラマーとしても活動している鈴姫みさこ率いる6人組アイドルグループ。ステージ中央には、ドラムがセッティングされている。オープニングSEに乗って、メンバーは客席の後方から登場。ステージに上がると『6 RESPECT』からライブがスタートし、「声出せますか〜?」と客席を煽りながら、『キメマスター!』、『そーにゃん節』へと続く。『そーにゃん節』は和楽器を取り入れたロックな1曲。ファンのコールやかけ声が会場に響き渡る中、この曲では、みさこはドラムに専念。バンド感満載のパフォーマンスとなった。

続く、『青春カラダダダッシュ!』では、客席を移動しながら歌うファンサービスも。そして、『ゴッドソング』へと続き、5曲連続でパフォーマンスして、バンもんは終了した。バンもんのライブの魅力のひとつとして挙げられるのは、ドラムを中心とした6人のフォーメーションだ。ドラムの後ろにはお立ち台があり、他のメンバーがドラムのみさこをグルっと囲んだフォーメーションはバンもんならでは。この日も、次々と立ち位置やフォーメーションを変えながらパフォーマンスし、トップバッターとして会場を見事に盛り上げた。
 
そして、間髪入れず、バンもんメンバーはステージに残ったまま、でんぱ組と虹コンのメンバーも加わり、12人でのコラボコーナーへ。「このメンバーで披露するのは最初で最後かも」といったMCから披露された楽曲は、バンもんの『ショコラ・ラブ』。曲名が告げられると、会場からは大きな声援が上がる。しかし、曲中にさらなるサプライズが待っていた。間奏中に、でんぱ組の古川未鈴が登場し、ドラムのみさことチェンジ。

最後は古川がドラムを叩き、13人で曲のエンディングを迎えた。古川がドラムでバンもんと共演するのは実に10年ぶりとのこと。一発目からファンにはたまらないコラボレーションが見られ、後半のコラボコーナーへの期待値もぐっと高まっていった。

続いて登場したのは、虹のコンキスタドール。今回の3組の中では、18名と最も人数の多いグループ。中野サンプラザのステージ上を目一杯使い、フォーメーションを次々と変えてゆくパフォーマンスは、やはり見応えがあった。1曲目『THE☆有頂天サマー!!』から大きなコールが上がると、『世界の中心で虹を叫んだサマー』、『サマーとはキミと私なりっ!!』へと続く。特に『サマーとはキミと私なりっ!!』のサビで左右に振られたファンのペンライトの波は美しく印象的だった。

そして、『愛をこころにサマーと数えよ』と、これでもかと夏ソングで攻めつつ、最後は王道アイドル曲『トライアングル・ドリーマー』へ。大きな三角形のフォーメーションを移動しながら歌うサビは圧巻だった。バンもん同様、虹コンも5曲ノンストップでパフォーマンス。最後は18人が横一列に並び、「今年初めてツアーファイナルで立った中野サンプラザに、最後にもう一度立てて嬉しい」と挨拶して締め括った。

 
トリを飾ったのは、でんぱ組.inc。オープニングSEに乗って登場すると、まずは『でんぱっていこーぜ!!』でスタート。曲が終わると、会場からは8人のメンバーの名前を呼ぶ声や大きな歓声が上がる。続いては、ランニングの振り付けが印象的な『バリ3共和国』。序盤からライブ定番曲が続き、ファンのボルテージも高まってゆく。ここで一度MCを挟み、自己紹介へ。

「みなさん、楽しんでますか〜?」と客席に問いかけつつ、メンバーのテンションも高まり、最後の中野サンプラザでのステージを楽しみ尽くそうと、藤咲がステージ上を走り回る一幕も。その後、6月21日にリリースされるEPについて紹介し、「サイリウム振れますか?声出せますか?」とファンを煽って、新曲『イッき♡いっぱつ』を披露。さらに、後半は『Future Diver』、リボンを持ってパフォーマンスする『でんでんぱっしょん』と人気曲で畳みかけて、全5曲のライブが終了した。
 
しかし、この日はこれだけでは終わらない。「まだまだテンションあがったままじゃないですか?もっともっと盛り上がりたいんじゃないですか?」と投げかけると、会場からも大きな声援が上がり、再びコラボコーナーへと突入。まず、3グループからの代表メンバー10人で披露したのは、虹コンの『戦場の聖バレンタイン』。イントロが流れると、ひと際大きな歓声とコールが沸き起こった。

そして、最後は「難易度高いコラボ」と紹介された、でんぱ組&虹コンメンバー8人によるでんぱ組の『我ら令和のかえるちゃん!』で終了。総勢32名のアイドルが登場し、一夜限りのコラボも3曲披露された“聖地”でのラストライブ。最後は「中野、サンプラザー!」の掛け声で、ファンと一緒に記念写真を撮って、約2時間のライブは終演した。
 
途中のMCで、ステージに立つアイドル側からすると、中野サンプラザは、ペンライトがとても綺麗に見える会場だという話があったのだが、逆に、ファン側の目線で見ても、特に1階の後方や2階席から見る中野サンプラザの景色は圧巻である。ペンライトの海の先で、全力でパフォーマンスする推しの姿は尊く、そして、神々しい。この日、そんな景色を最後に目に焼き付けたのは、アイドルもファンも一緒だったのではないだろうか。さよなら、中野サンプラザ。そして、ありがとう。
 
「さよなら中野サンプラザ音楽祭」は7月2日まで続き、中野サンプラザを愛した多くのアーティストが登場する。是非あなたもこの場所でしか見られない景色を目に焼き付けに行って欲しい。

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