明大・蒔田稔「俺を使え!と思って」リベンジ登板で雪辱果たす 6回1失点の好投でリーグ通算7勝目

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【東京六大学野球・春季リーグ戦】

◯ 明大 5 − 1 慶大 ●

<23日・神宮>

 明大は1−1の6回、代打・内海優太内野手(1年・広陵)のリーグ戦初安打となる勝ち越し2ランが飛び出し、慶大に先勝。先発した蒔田稔投手(4年・九州学院)は6回4安打1失点の好投で、リーグ通算7勝目を挙げた。

 初回、先頭の水鳥を3球で見逃し三振に打ち取るなど、わずか5球で三者凡退の好スタート。3回まで無安打投球を見せ、立ち上がりから快調に飛ばした。0−0の4回一死、4番・廣瀬にフルカウントから先制の左越えソロを被弾。「フォアボールを出したくないという気持ちが優ってしまって、コース、高さを間違えた。そこは痛かった」と反省し、先取点を献上したが、許した失点はこの1点のみ。味方が逆転に成功した直後の6回は4番から始まる相手打線を三者凡退に仕留めた。

 雪辱を果たした。前回登板の東大2回戦では先発するも、制球に苦しんで2回2失点で降板。「去年の秋から不安定なピッチングを続けていて、東大戦もあまり良くなかった」。悔しさを胸に、次節までの期間でミニキャンプを敢行。通常の投手練習メニューに加え、外野ポール間をランニング、アメリカンノックを受けるなど、ただこなすのではなく体のどの部分に効くトレーニングなのかを考えながら、ひたすら汗を流した。

 田中武宏監督は「(慶大戦で)投げさせるつもりはなかった」と明かしたが、右腕は「俺を使え!」と思いながら猛アピールを重ねて、リベンジの機会を掴んだ。「今日が先発のチャンスは最後かな」と思い、強い気持ちで臨んだマウンドで先発の役割を果たし、「しっかり1勝できるように、チームのためにという気持ちで投げました。首の皮一枚、つながったかな」と安堵した。

 これでチームは開幕から1引き分けを挟んで3連勝。チャンスをしっかりモノにした右腕は「普通にしっかり自分が投げられれば、これぐらいのピッチングは最低限できるのかな」と確かな感触をかみ締めた。この日掴んだ手応えを、再加速への足がかりとする。

取材・文=灰原万由(はいばら・まゆ)