トヨタとスバルの「ユウイチ日記」～あなたの知らないコ・ドライバーの世界～【Round02 唐津】
■スバルの“ユウイチ”です！
はじめまして、SUBARU RALLY CHALLENGE コ・ドライバーの松本優一です。
鎌田卓麻（かまだたくま）選手のコ・ドライバーとしてSUBARU WRXでJRCを戦っています。TGR全日本ラリーチームの安藤裕一選手とは以前から度々競い合ってきたので、今年も良きライバルとして熱い走りでファンのみなさまに楽しんでいただけるよう盛り上げていきます！
●松本優一選手（左）と安藤裕一選手。2人ともJRCの最高峰クラスJN1で競い合う
コドラって助手席でなにしてるの？ と聞かれることも多々ありますので、コドラの仕事やラリーの舞台裏を1年間でお伝えしていきます！
今回は4月14～16日に佐賀県で開催された、第3戦ツール・ド・九州2023 in唐津の様子をお届けします。
◆4月14日（金）雨
ラリーはサーキットで開催されるレースとは異なり、アクシデントが発生した際に救助してくれるオフィシャルが近くにいるとは限りません。そのため今回のラリーでは、すべての参加者を対象に救急救出講習会が開催されました。アクシデント発生時は参加者が一番早く現場で救護対応をする可能性が高いため、選手全員が救急訓練等を受けます。もちろん私も心肺蘇生の訓練を受けてきました。
スバルではJRCをはじめ、各種モータースポーツの現場にディーラーメカニックが派遣されて競技車両のメンテナンスを行います。今回も3名のディーラーメカニックの皆さんに参加していただいたので、ラリー前日にはチーム全員で夕食に行きました。そこでドライバーの鎌田選手が注文した料理が”ジンギスカン”。
北海道出身の鎌田選手は、ジンギスカンの文字を見るなりすぐに注文していました(笑)。ジンギスカンを食べているところ、よく見る気がします(笑)
■スタート前のルーティンが大事！
◆4月15日（土）雨 LEG1
（ラリーでは日程をLEG1（1日目）、LEG2（2日目）と数えます）
SSを走っているときにコドラが読んでいるペースノート。ドライバーは、ペースノートの情報を聞いてブラインドコーナーを全開で攻めていきます。鎌田選手はコースごとにインフォメーションをメモしておき、それをスタート直前に読んでコース全体の特徴と特に注意するコーナーをイメージしてからスタートします。どんなコンディションでも運転しながらペースノートを聞いて覚えて、瞬時にドライビングするラリードライバーってスゴいです！
ちなみに、ドライバーとコドラの息がピッタリ合って思い通りにクルマが走っているときは大抵いいタイムが出ます。そんな一体感を感じられる瞬間は、まるで自分が運転しているような感覚！ コドラは、ラリーが好きな人にとっては一番のファンシートかもしれませんね。
◆4月16日（日）雨のち晴れ LEG2
4位で迎えたLEG2、朝の話題はどの選手も天気予報とタイヤ選択でした。ラリーは競技が始まると、サービス（車両のメンテナンス時間）の時間以外は車両に搭載されている装備品のみで走らなければなりません。途中のタイヤ交換も含め、何か起きたときはドライバーとコドラが2人で対応します。日曜日は天気予報サイトごとに予報が異なっていて非常に悩ましい天気でした。ウェットタイヤを装着するのかドライタイヤを装着するのか、スペアタイヤは何本積むのかなど、どの選手も悩んでいました。
ラリー期間中は、参加者全員がさまざまな天気予報サイトを確認してラリー期間中の天気を予測するので、私のスマホにもたくさんの天気予報アプリが入っています(笑)。
今回のラリーでは天気予報の読みが外れ、ウェット仕様でドライのコースを走ることになりました。そんななかでも最終ステージをベストタイムで走りぬき、総合4位でフィニッシュ。TGRの眞貝／安藤組は6位でしたので、今回のユウイチ対決も私、「優一」の勝利で終えることができました。
◆おわりに
すでに東京オートサロンで発表されているように、スバルの車両がこれまでのVAB型WRX STIから新型WRX S4に代わる予定となっています。今年からJRCのルールが変更されたことで、新型車両投入に向けたパーツのアップデートなど準備が進められています。じつは私が初めてJRCに参戦した車両もVABだったので、慣れ親しんだ車両から変わるのは少し寂しい気もしますが、新型WRX S4のラリーカーで国内各地のコースを走るのが今から楽しみです！
次回のJRCは5月5～7日に愛媛県久万高原町での開催です。新型WRX S4がいつ投入されるのか？、ユウイチ対決の行方は？ など注目しながら応援してくださいね。
＜文と写真＝松本優一＞
