Twitterが、インドの隣国であるパキスタン政府の公式アカウントをインド限定でジオブロックしたと報じられています。また、国営メディアとラベル付けされたアカウントをおすすめしたりブーストしたりしないというポリシーを抱えているにもかかわらず、中国の国家当局関係メディアがおすすめに表示されたという報告も上がっています。

Twitter blocks Pakistan gov, boosts dictators' state media • The Register

https://www.theregister.com/2023/04/04/twitter_bans_pakistan_boosts_china/

IT系ニュースサイトのThe Registerによれば、インドのIPアドレスを介してパキスタン政府の公式Twitterアカウントにアクセスすると、「法的要求に応じてアカウントはインドでブロックされています」という通知が表示され、見えなくなってしまったそうです。ただし、パキスタン政府の公式Twitterアカウントは日本を含めた他国だと表示されるので、全面的なブロッキングではなく、あくまでも地域限定のジオブロッキングであることがわかります。



インドのメディア・Medianamaは、「このジオブロッキングの法的要求は、裁判所の命令、あるいは2000年に施行されたIT法第69A条に基づいて発行されたインド政府からの命令のどちらかです。後者の場合、IT法第69A条に基づく命令は機密になるため、アカウントがなぜジオブロッキングされたのかは不明のままでしょう」と指摘しています。

Medianamaは、インド北部のパンジャブ州でシーク教徒の主権国家設立を目指す運動家・宗教家のアムリトパル・シン氏の行方を追うため、インドの警察がパンジャブ州のインターネット接続を遮断しており、パキスタン政府の公式Twitterアカウントをジオブロッキングの対象としたのもこの取り締まりの一環である可能性があるとしています。

インドでパキスタン政府の公式Twitterアカウントがジオブロッキングされたのは2022年7月、同年10月に続いて今回が3回目で、いずれのケースでもTwitterはジオブロッキングを公表していません。



インターネット自由財団のポリシーディレクターであるPrateek Waghre氏は、The Registerの取材に対して、「Twitterのインド法人では人員削減によって従業員が大幅に減っており、(法律の適用が拡大されているのは)細かい要求に応えるための人的リソースがないのでしょう」と推測しています。

また、中国のプロパガンダやインターネット検閲に詳しいジャーナリストのWenhao氏は、中国のメディアのアカウントがおすすめに表示されると指摘しました。



Twitterは「政府および国家当局関係メディアアカウントラベルについて」というポリシーで、「国家当局関係報道機関の場合、これらのラベルが付いたアカウントやそのツイートをTwitterが推奨したり拡散したりすることはありません」と定めています。The Registerは「『国家当局関係メディア』とラベル付けされているアカウントがおすすめタイムラインに表示されているのは、Twitterが自分で定めたポリシーに違反しています」と批判しました。