Activision BlizzardがNeteaseとの14年間にもおよぶ長期のパートナーシップを突如打ち切ったのは「通訳による翻訳ミス」が原因との報道
2022年11月、Activision Blizzardは中国のゲーム企業であり同社の保有するタイトルの中国でのローカライズやパブリッシングを担当していたNeteaseとの14年間にもおよぶパートナーシップを、突如打ち切りました。この関係破綻の原因は「通訳による翻訳ミス」であると、The New York Timesが報じています。
Rift Between Gaming Giants Shows Toll of China’s Economic Crackdown - The New York Times
Activision's descision to pull out of China stemmed from a comment that was lost in translation | TechSpot
https://www.techspot.com/news/98129-activision-descision-pull-out-china-stemmed-comment-lost.html
Blizzard’s games were reportedly pulled from China after Activision felt NetEase ‘threatened’ Bobby Kotick | VGC
https://www.videogameschronicle.com/news/blizzards-games-were-reportedly-pulled-from-china-after-activision-felt-netease-threatened-bobby-kotick/
Activision boss Bobby Kotick reportedly felt "threatened" by NetEase CEO | Eurogamer.net
https://www.eurogamer.net/activision-boss-bobby-kotick-reportedly-felt-threatened-by-netease-ceo
Activision Blizzard And NetEase Breakup Came After Bobby Kotick Felt "Threatened" - Report - GameSpot
https://www.gamespot.com/articles/activision-blizzard-and-netease-breakup-came-after-bobby-kotick-felt-threatened/1100-6512792/
Activision Blizzard Left China Over Messy Miscommunication
https://kotaku.com/activision-blizzard-china-netease-microsoft-warcraft-1850278516
2022年11月、Activision Blizzard傘下のBlizzard EntertainmentがNetEaseとのライセンス契約が更新できなかったと発表しました。
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これにより、2023年1月23日からオーバーウォッチ 2やWorld of Warcraft、ディアブロなどの人気タイトルが中国でプレイできなくなりました。これにより、数百万人の中国人プレイヤーがゲームにアクセスできなくなったと推計されています。
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by Instacodez
The New York Timesが匿名の内部関係者から独自に入手した文書によると、Activision BlizzardとNeteaseの関係が破綻した理由は「翻訳ミス」にあったそうです。文書によると、Activision BlizzardとNeteaseはパートナーシップ契約の更新に関する交渉を、オンライン会議ツールのZoomを使って行っていたそうです。このオンライン会議には英語と中国語を翻訳するための通訳が同席しており、中国のゲームに関する厳しい規制に関する議論が行われていたとのこと。
交渉時、Neteaseのウィリアム・ディンCEOは、Activision Blizzardのロバート・コティックCEOに対して、通常の販売パートナーシップではなくライセンス契約を望んでいると語りました。それまでのパートナーシップ以上に高い収益性が見込める条件をNeteaseが求めた理由は、中国で強まり続けるゲーム関連規制により、Neteaseの株式評価額が600億ドル(約8兆円)以上も下落していたためです。
コティックCEOはこの提案を受け入れる姿勢を見せたものの、このライセンス契約がMicrosoftによるActivision Blizzard買収に伴う世界中の規制当局からの調査に悪影響を与える可能性を考慮し、契約を保留としました。コティックCEOがライセンス契約の懸念を伝えたところ、ディンCEOは通訳を介して「Neteaseは中国の規制当局を動かし、Microsoftによる買収を阻止あるいは許可させることができます」と伝えてきたそうです。Activision Blizzard側はこれを「Neteaseとライセンス契約を結ばなければ中国の規制当局に、Microsoftによる買収の件について働きかける」という脅しであると受け止めた模様。
その後、Activision Blizzard側はライセンス契約について同意したものの、ライセンス料の分割払いは「約5億ドル(約660億円)の前払いが行われた場合のみ認める」としました。Activision Blizzardが前払いを求めた理由は、自社タイトルが政府の認可を受けたり、無断で複製されたりするという潜在的な危険に対する自衛策であると説明しています。しかし、Neteaseはこの金額が「商業的に非論理的」と判断したため、両者のパートナーシップは破綻することとなりました。
情報筋によると、ディンCEOの脅しは実際は脅しではなく、中国政府の規制を避けてビジネスをスムーズに進めるための進言だった模様。ディンCEOの発言は、「Microsoftがライセンス契約に移行しなければ、MicrosoftがActivision Blizzardを買収したあとに中国の規制上の障害に直面する可能性がある」という警告であり、通訳による翻訳ミスにより間違った内容としてActivision Blizzard側に受け取られてしまっていたそうです。Neteaseがライセンスを取得することができれば、Activision Blizzardのタイトルを中国でのゲームパブリッシングに伴うお役所仕事から解放できるようになったそうで、その説明が「中国の規制当局にMicrosoftによる買収の件について働きかける」と間違って伝わってしまった模様。
Activision BlizzardとNeteaseの経営陣がこの誤解について議論したかは不明です。The New York Timesによると、Activision Blizzardは中国市場への再参入に関心を抱いていますが、他企業とのパートナーシップを模索しており、Neteaseとの関係修復に固執していない模様。Activision Blizzardタイトルを中国でパブリッシングする契約には、TencentやTikTokの親会社であるByteDanceが関心を示しているそうです。