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(C)Getty Images

 野球日本代表「侍ジャパン」は現地3月20日(日本時間21日)、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の準決勝でメキシコと対戦し、6−5で勝利を収めた。3点の先行を許す苦しい展開となったものの、終盤に巻き返して2009年の第2回大会以来、14年ぶりの決勝進出を決めた。

 メキシコにヒット9本、5得点を許したこの試合を、日本一の投手コーチはどう見たのか。そして、アメリカとの頂上決戦のポイントは? 現役時代に最多勝や最優秀防御率など数々のタイトルを獲得し、引退後はダルビッシュ有や田中将大らを育てた佐藤義則氏に話を聞いた。

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「佐々木(朗希)は落ちるボールがそれほど良くなかったね。この試合に限って言えば、スライダーの方がよかった。フォークは三振を取れてたけども、完全試合を達成した時のように縦に大きく落ちる球は、あんまりなかった。球速は出ていたけど、落差がちょっと少なかった。そういう抜けたフォークをホームランされたのは象徴的だったと思う」

 先発の佐々木の出来をそう語った佐藤氏は、後を受けた山本由伸について「ちょっとボールとストライクがはっきりしているかなと思ったけども、基本的に狙ったところにきっちり投げられていた」と評価。あえて注文を付けるとすれば、「途中からボールが高くなってきたことと、セカンドにランナーがいる時に簡単に真っすぐから入っていたところ。セカンドにランナーがいる時は『絶対に初球は気をつけろ』と常に注意するポイントだからね。あれだけ球種があるピッチャーが、スッとストレートで入るのはいただけなかった」とピッチングの細部について課題を挙げた。

 そして、山本の課題は彼だけのものではなく、日本投手陣全体が警戒すべきポイントだとも言う。

「今大会の日本の投手陣は、ピンチになってくると遅いボールが少なくなるのが気がかり。山本は良いカーブを持っているけど、打たれたくないと思うと、どうしてもフォークに頼りがちになってしまう。それが抜けると逆に打たれてしまうから、決勝で投げるピッチャーはピッチングに幅を持たせることを意識した方がいい」

 メキシコも強敵だったが、決勝のアメリカはさらにハイレベルな相手だ。佐藤氏が言うように偏ったピッチング内容になれば、途端に狙い球を絞られてしまう。とりわけ、フォークが「見極められてフォアボールになってしまう」ケースが増えてくれば、致命傷につながりかねない。

「やっぱり真っすぐとフォークだけでは通用しないと思う。特に決勝のアメリカはね。スライダーとか球種がある選手は、要所でそういうボールを使っていってほしい」

 鋭く落ちるフォーク系のボールを有効に使うために、いかに他の球を見せるか。勝負どころでより威力を発揮させるような配球が必要だと同氏は言う。また、「ピッチャーは総動員だから、つかまりそうだったらすぐに代えていい」という継投のタイミングも重要だ。

 総力戦で挑む”世界一決定戦”で、侍ジャパンの投手陣はどんなピッチングを見せるのか。栗山英樹監督の采配にも注目が集まる。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]