愛車が悲鳴!「花粉・黄砂」の対処法 水でも落ちないベッタリ汚れ 予防策は? 洗車機は長蛇の列も
多くのクルマを容赦なく汚す「花粉」。ボディに付着した花粉に雨でも降れば、かなり悲惨な状況になります。さらに、やっかいな黄砂もやってきます。べったり積もった花粉や黄砂を除去する際のポイントや、予防策もまとめました。
さらさら花粉 雨降れば最悪に
多くのクルマが、乗っていなくてもたちまち汚れるシーズンがやってきました。そう、花粉です。2023年の杉・ヒノキ花粉の飛散傾向は、日本気象協会によると九州と北海道を除く全域が例年より「多め」「やや多め」で、特に関東地方では非常に多く飛散するそうです。3月上旬の都内ガソリンスタンドでは、洗車機に長蛇の列も見られました。
クルマに付着しウロコ状の汚れになった花粉(小林祐史撮影)。
関東におけるピークは3月と予想されていたものの、2月中旬からかなりの量が飛散しており、すでに花粉まみれでボディが黄色くなっていたり、花粉が結露や雨などの水分を含んでウロコ状のシミにおおわれていたりするクルマが見受けられます。
花粉は水分を含むと、サラサラの粉状だったものが粘着質となり、塗装面やコーティング面に貼り付きます。花粉にはペクチンというタンパク質が含まれており、これが水を含むと溶け出してクルマの塗装面に吸着するのです。吸着して時間が経過すると、塗装面を侵食してウロコ状のシミの原因となることも。このウロコ状になった花粉は、濡れたタオルなどでは完全に拭き取れません。
そんな花粉に加えて、4月に入ると偏西風に乗って黄砂も飛来します。黄砂は砂や土といった鉱物なので、不用意にタオルなどで拭き取れば、塗装面やガラスにダメージを与えてしまいます。
このように花粉・黄砂でクルマが汚れている場合、いきなり拭くのはNGということを覚えておきましょう。
「温水」がポイント でもお湯はダメ!
花粉や黄砂の汚れを落とすには、まずはたっぷりの水で洗い流します。ウロコ状になる前の花粉なら、水であらかた流すことができます。ただし、ウロコ状になっている花粉は、前出の通り粘着質なので、水だけで洗い流すことは困難です。
ウロコ状になった花粉汚れは、70度くらいのお湯をかければ、ふやけて流せるようになりますが、この温度のお湯はゴム部品にダメージを与えてしまいます。実際は45度までが安全に洗車できる水温の限度になります。
安全な水温のお湯が使用できる洗車設備には、コイン洗車場などで「温水」と表示されている高圧洗浄機があります。水洗いで落ちないようなウロコ状のシミは、温水の高圧洗浄機を試してみましょう。また黄砂も高圧洗浄機のほうが洗い残しは少なくなります。
水や高圧洗浄機でボディを洗い流したら、カーシャンプーで洗車します。黄砂はアルカリ成分を多く含むので、弱酸性のカーシャンプーを使うと効果的です。しかし塗装面を傷めるリスクもあるので、取り扱いには注意が必要です。弱酸性のカーシャンプーは、中性のカーシャンプーで洗い落とせない場合のみに使う最後の手段と思っておきましょう。
コイン洗車場の高圧洗浄機(乗りものニュース編集部撮影)。
花粉が飛散している時期の洗車は、理想を言えば週に一度くらいの頻度で行いたいものですが、2月から4月の3か月間もこのペースで高圧洗浄機とカーシャンプーによる洗車をするのは現実的ではありません。そこで、簡単な水洗いで花粉や黄砂を落とせるようにするため、ワックスやコーティング剤で下地を整えておくことをおすすめします。ワックスやコーティングを施しておくと、水洗いだけでも花粉や黄砂が流れやすくなるので、洗車の手間が軽減されます。加えてガラス面には撥水加工しておくとよいでしょう。
花粉と黄砂の時期に洗車をサボることは、クルマにとって大敵です。ワックスやコーティングを施して、こまめに水で流すことを心がけましょう。