イーロン・マスクのTwitter社内でのメッセージなどを提出するよう連邦取引委員会が要求、議会は「当局による嫌がらせ」と非難
by Steve Jurvetson
アメリカの連邦取引委員会(FTC)がTwitterに対し、CEOであるイーロン・マスク氏の内部メッセージ、Twitter Blueに関する情報、Twitterの記録にアクセスできるジャーナリストの氏名など多数の資料を要求していたことが分かりました。これに対し、政府機関の権限乱用を調査することを目的に下院司法委員会に設立された「政府の武器化に関する特別小委員会(武器化小委員会)」は、規制当局による民間企業への嫌がらせであると非難しています。
https://judiciary.house.gov/media/press-releases/weaponization-select-subcommittee-releases-staff-report-ftc-harassment-twitter
FTC Twitter Investigation Sought Elon Musk’s Internal Communications, Journalist Names - WSJ
https://www.wsj.com/articles/twitter-investigation-ftc-musk-documents-db6b179e
FTC demanded Musk communications, names of journalists receiving internal files in Twitter probe, House Republicans say | The Hill
https://thehill.com/policy/technology/3888854-ftc-demanded-musk-communications-names-of-journalists-receiving-internal-files-in-twitter-probe-house-republicans-say/
EU tells Elon Musk to hire more staff to moderate Twitter | Financial Times
https://www.ft.com/content/20141fb1-d8f7-4c9e-a0d0-ded1ac8c7947
共和党のジム・ジョーダン議員が議長を務める武器化小委員会は2023年3月7日に、「(PDFファイル)FTCの武器化について:イーロン・マスク氏率いるTwitterに嫌がらせをする機関の行き過ぎた行為」と題するレポートを発表しました。
レポートによると、民主党のリナ・カーン氏率いるFTCは、マスク氏がTwitterを買収してからわずか3カ月足らずで10通以上の要求書をTwitterに送り、合計350件以上の要求を行ってきたとのこと。TwitterがFTCから開示を求められた資料の中には、以下のようなものが含まれていました。
・Twitterが社内記録へのアクセスを許可したジャーナリストの身元
・マスク氏が会社を買収した日以降の、マスク氏に関するあらゆる社内コミュニケーション(マスク氏自身が送受信したものを含む)
・Twitterがオフィス機器を売却しているかどうかに関する情報
・Twitterが元社員であるジム・ベイカー氏を解雇した全ての理由
・Twitterが新サービスであるTwitter Blueを考案したのはいつか
・「部門・課・チーム」単位で集計したさまざまな情報
これについてレポートは「例えばFTCがTwitterに関与しているジャーナリストの身元を知らなければならない論理的な理由はありません」と指摘し、FTCがこれらの資料をTwitterに要求してきたのは党派的な動機に基づく嫌がらせであると非難しました。
今回の報告についてマスク氏は「政治的な目的のために政府機関を武器化し、真実を抑圧しようとした恥ずべき事例です」とツイートしました。
A shameful case of weaponization of a government agency for political purposes and suppression of the truth!— Elon Musk (@elonmusk) March 7, 2023
FTCがTwitterへの圧力を強めているのは、「マスク氏が実施した大規模なレイオフが、Twitterユーザーを保護するためのコンテンツ監視能力を損なっているのではないか」との懸念があるとされていますが、こうした問題を危惧しているのは、FTCだけではありません。
Financial Timesは3月8日に、欧州連合がイーロン・マスク氏に対し、Twitterの当行を審査する人間のモデレーターやファクトチェック担当者を増員するよう指示したと報じました。
伝えられるところによると、Twitterは人間のモデレーターとAIを組み合わせて有害コンテンツを監視しているものの、競合企業であるMetaのように人間によるファクトチェックは行っていないとのこと。Twitterはまた、「コミュニティノート」という機能にボランティアのモデレーターを起用してSNS上の誤情報に対処していますが、コミュニティノートは違法なコンテンツへの対応には使用されていません。
TwitterはFinancial Timesへの声明の中で、「私たちはEUのデジタルサービス法を完全に順守するため、当局と繰り返し生産的な話し合いを行ってきました。私たちは、違法なコンテンツを積極的に検出して削除するため、引き続きテクノロジーと専門スタッフを混成して活用していきます。加えて、コミュニティノートにより有益で透明性があり、信頼のできる方法で誤情報の問題について学ぶことができるようにしたいと思います」と話しました。