「倦怠感」を感じる原因はご存知ですか?医師が徹底解説!

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倦怠感がある時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?Medical DOC監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

監修医師:
久高 将太 医師

琉球大学医学部卒業。市中病院で初期研修を修了後、予防医学と関連の深い内分泌代謝科を専攻し、琉球大学病院で内科専攻医プログラム修了。今後は公衆衛生学も並行して学び、幅広い視野で予防医学を追求する。2022/5に新内科専門医試験受験予定。

「倦怠感がある」症状で考えられる病気と対処法

倦怠感は、日常生活を送るのに支障をきたすほどのだるさや疲労を感じる状態をいいます。倦怠感は過度な疲労や睡眠不足などが原因のこともありますが、病気が隠れていることもあり、注意が必要です。これから倦怠感がある時の注意すべき症状や対処法を紹介していきます。

倦怠感が続く症状で考えられる原因と治し方

倦怠感は、過度な疲労・睡眠不足・強いストレス・偏った食生活などが原因のことがあります。仕事や学校での対人関係のストレスやそれに伴う身体的、精神的な疲労から倦怠感を生じる人は多いです。
これらが原因であれば、適度な運動や規則正しい食事でストレスを減らすこと、十分な睡眠をとることで症状は改善されます。
上記で症状が改善されない場合は、他に病気が隠れている可能性がありますので、医療機関を受診しましょう。まずは内科や心療内科でご相談ください。

熱はないが倦怠感がある症状で考えられる原因と治し方

倦怠感はあるが、熱はないという時の原因の一つとして糖尿病が関連していることがあります。
糖尿病の人は血糖値が通常より高すぎたり、低すぎたりする場合があります。これが倦怠感を引き起こす事があるのです。
高血糖の状態が続くと、倦怠感などの症状が現れるだけでなく、血管障害をきたし脳梗塞や心筋梗塞などの重大な病気を引き起こす可能性が高まります。
また、低血糖の場合は手のふるえなどの症状から始まり、進行すると意識を失うなど重大な症状が現れ、後遺症を残すこともあります。
糖尿病やその予備軍と診断された場合は、適切な治療を継続することが重要です。内科でご相談ください。

発熱と倦怠感の症状で考えられる原因と治し方

倦怠感とともに発熱もある時には新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスなどの感染症の可能性があります。
こういった感染症では発熱や喉の痛みに加えて、倦怠感が現れることが多いです。他には関節痛(ふしぶしの痛み)なども症状として現れる場合があります。
新型コロナウイルス感染症であれば、高齢の方や基礎疾患(心臓病や糖尿病などもともと持っている病気)がある方は重症化する可能性もあり、医療機関で治療が必要な可能性があります。
新型コロナウイルス感染症と同時にインフルエンザウイルスによる感染症の流行も懸念されており、まずは内科で検査を受けることが重要でしょう。

倦怠感と眠気がある症状で考えられる原因と治し方

倦怠感とともに眠気もある時、うつ病などの病気の可能性があります。
うつ病はストレスなどを背景に、倦怠感、眠気に加えて、食欲のなさなどさまざまな症状が現れる病気です。
強いストレスや、大きな人生のイベントなどがきっかけで生じることがあり、治療には休養が非常に重要です。飲み薬を必要とすることも多く、一度発症すると治療が長期間に渡るため、早期発見・治療が重要です。
上記の症状が2週間以上続くときは早めに心療内科・精神科の医師にご相談ください。

倦怠感と頭痛がある症状で考えられる原因と治し方

倦怠感に加えて頭痛もある時、貧血が原因の可能性があります。
貧血は、血液中のヘモグロビンという成分が不足している状態を指し、頭痛、倦怠感に加えてめまいなどの症状をきたすことも多いです。
貧血の原因は、過度な食事制限や、月経に伴う出血が多く、女性で診られやすいです。多くの場合は鉄欠乏性貧血といって、いわゆる鉄分が足りていないことによる貧血が大半です。スポーツ選手に起きることもあります。
しっかりと食事を摂取すること、特にレバーやほうれん草などの鉄分を多く含む食物の摂取が重要です。食事のみで改善しない場合は、鉄分を補充するための飲み薬なども併用することもあり、まずは内科で診断をつけることが重要です。

倦怠感と吐き気がある症状で考えられる原因と治し方

子どもで、倦怠感だけでなく、吐き気もある時、上記の貧血以外に、起立性調節障害という病気のことがあります。
起立性調節障害では、思春期前後の子どもに、倦怠感や吐き気、朝起きれない、などといった症状が現れます。その名前の通り、立った時(起立時)にいわゆる立ちくらみや上記のような症状が現れることが特徴です。
原因としては、自律神経の乱れ、ストレス、水分不足、運動不足などが挙げられます。
治療は専門的な知識が必要で、「怠け癖」などが原因と思ってしかりつけるなどの方法では治らないことを知っておくことが必要です。小児科や精神科で相談するようにしましょう。

すぐに病院へ行くべき「倦怠感」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

倦怠感だけでなく高熱もある場合は、内科へ

先ほど紹介した新型コロナウイルス感染症やインフルエンザウイルス感染症など倦怠感だけでなく、発熱も伴うことがあります。他に肺炎や尿路感染症なども同様に2つの症状が現れ、ウイルスや細菌が全身にめぐると敗血症という命に関わるような状態に至ることもあり、高熱が続くような時には急いで医療機関を受診することをおすすめします。

受診・予防の目安となる「倦怠感」時のセルフチェック法

・倦怠感以外に発熱がある場合

・倦怠感以外に眠気がある場合

・倦怠感以外に吐き気がある場合

・倦怠感以外に頭痛がある場合

・倦怠感以外にめまいがある場合

「倦怠感がある」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「倦怠感」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

貧血

貧血は、血液中のヘモグロビンという成分が不足した状態です。貧血になると、全身に酸素を供給する効率が低下し、それに伴い、倦怠感や頭痛、疲れやすさなどの症状が現れることが多いです。
貧血にはいくつか種類があり、鉄欠乏性貧血という鉄が不足したタイプの貧血が最も頻度が高いです。この原因としては、過度なダイエットや月経に伴った出血などが考えられます。
まずは食事と休養をしっかり取ることが重要で、それでも上記のような症状が改善しない時には、医療機関を受診することをおすすめします。まずは内科でご相談ください。

自律神経失調症

自律神経失調症とは、その名の通り自律神経の働きがうまく行かなくなった状態を指します。過度な疲労やストレス、不規則な生活習慣などが原因のことがあります。
子供の場合は、起立性調節障害といって自律神経の働きがうまくいかずに、朝起きれなかったり、立った時にめまいが出るなどの症状をきたすこともあり、専門的な治療が必要です。
内科や小児科・精神科でご相談ください。

うつ病

うつ病は、ストレスなどを背景に感情が大きく揺れるイベントがきっかけとなり、倦怠感ややる気の無さなどうつ状態と言われる精神状態が続く病気です。悲しい出来事、辛い出来事だけでなく、結婚や昇進など嬉しい出来事がきっかけにもなりえます。
睡眠、休息が重要な治療となり、周囲の協力も不可欠です。
精神科や心療内科で、適切な治療を受けることが重要です。本人に自覚がない場合もあり、周囲からみて上記のような症状がある場合には、一度受診してみることが早期発見に繋がります。

更年期障害

更年期障害は、40歳代以降の男女にみられるホルモンバランスの変化に伴う症状全般を指します。
女性の更年期障害というのはよく耳にするかもしれませんが、男性でも同様に更年期障害というものはあります。
症状としては、自律神経失調症と似た症状がみられ、倦怠感や精神的な不安定さ、のぼせや発汗などさまざまです。進行すると無気力感や、男性の場合は機能不全(ED)、女性は月経不順などが現れます。
初期に見られやすい倦怠感で診断がつかず、徐々に症状が悪化していくこともあり、心配な症状がある場合は女性は産婦人科、男性は泌尿器科で相談すると良いでしょう。

「倦怠感がある」ときの正しい対処法は?

倦怠感があるとき、まずは食事、睡眠、休息を取ることが重要です。
ストレスが強い場合にはその原因を取り除き、規則正しい食事と、睡眠時間を確保するようにしましょう。
適度な運動や全身を温めるための入浴はストレスの解消に効果的です。
睡眠の質を高めるには、パソコンやスマートフォンの使用を就寝前1時間は控えること、飲酒は少量でも睡眠が浅くなるため控えるほうが望ましいでしょう。
発熱がある場合は、市販のカロナールやロキソニンなどの市販の解熱剤を使用することは問題ありませんが、高熱が続く場合は早めに医療機関を受診しましょう。

「倦怠感がある」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「倦怠感がある」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

倦怠感を解消するための有効な方法はありますでしょうか。

久高 将太 医師

まずは休息、睡眠をしっかり取り、規則的な生活を心がけましょう。

倦怠感が続くのですが何科に行けばいいのでしょうか。

久高 将太 医師

内科もしくは精神科が良いでしょう。

花粉症で体のだるさ・重さ・倦怠感があるのは治療できますか?

久高 将太 医師

花粉症が原因の場合は、それに対する治療で症状が改善することが多いです。

女性で体がだるく倦怠感・眠気が続くのは何が原因でしょうか?

久高 将太 医師

貧血や月経前症候群、妊娠、更年期障害などさまざまな原因が考えられます。産婦人科でご相談ください。

まとめ

倦怠感やそれに伴うさまざまな症状について解説しました。
怖い病気が隠れていることもあり、症状がすぐに改善しない場合には医療機関を受診することをおすすめします。

「倦怠感がある」で考えられる病気と特徴

「倦怠感」から医師が考えられる病気は11個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

内科の病気

新型コロナウイルス感染症

インフルエンザウイルス感染症

風邪症候群

貧血糖尿病

精神科の病気

うつ病自律神経失調症起立性調節障害

婦人科の病気

月経前症候群

更年期障害(男性の場合は泌尿器科)

妊娠

一時的なことがほとんどですが、長期間にわたって症状が続く場合には一度検査することをお勧めします。

「倦怠感がある」と関連のある症状

「倦怠感」と関連している、似ている症状は19個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

体が鉛のように重い微熱が続く血圧が低いうつ体が熱いが熱はない関節が痛くてだるい足がだるいふくらはぎがだるいめまい食後の眠気激しい眠気発熱

頭痛

つかれやすさ

手のふるえ

やる気が出ない

朝起きれない

のぼせ、発汗

月経不順

「倦怠感」の症状の他にこれらの症状がある場合でも「風邪症候群」「貧血」「糖尿病」「うつ病」「自律神経失調症」「起立性調節障害」「月経前症候群」「更年期障害」「妊娠」などの疾患の可能性が考えられます。
複数の症状が併発している場合は、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。

【参考文献】
・月経前症候群(日本産婦人科学会)