生理が月に2回も来るのはどうして? 何かの病気?

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月経の回数が通常よりも多い「頻発月経」。浜松町大門レディースクリニックの池田先生によると、多くの場合、その原因は「卵巣の機能不全」か「ホルモンバランスの乱れ」にあるという。治療は可能なのか、治療できるとしたら何をするのか。詳しい内容を伺った。

監修医師:
池田 貴子(浜松町大門レディースクリニック)

東邦大学医学部卒業。東京医療センター外科系研修医、東京大学医学部産婦人科入局、複数の産科・婦人科クリニック院長などを経た2017年、東京都港区に「浜松町大門レディースクリニック」開院。その後の2018年、医療法人社団ウィンロイヤル会設立。女性特有の悩みを気軽に相談できるような環境整備に注力している。港区医師会、日本産科婦人科学会、日本東洋医学会、日本抗加齢医学会の各会所属。

放置していると、妊娠できなくなる恐れも

編集部

生理の回数が多い人は「病気」なのでしょうか?

池田先生

不妊症につながる可能性があります。頻繁に起こるようであれば、婦人科を受診してください。ただし、初経から間もない若い方や閉経間近の方の場合は、一概に病気ともいえません。診断の結果、一時的な月経の乱れと判明することもあります。

編集部

不妊症が関係してくるのですか?

池田先生

はい。まず疑うべきは、卵巣で卵子が作られないことによる「無排性月経」でしょう。卵巣の機能が不全であったり、内膜症によって卵巣が十分に生育していなかったりすると、不正出血を起こします。

編集部

卵巣の機能不全以外で考えられることは?

池田先生

甲状腺異常などで、ホルモンバランスが崩れていることです。卵巣機能不全や甲状腺異常は血液検査で、それぞれ判明します。また、双方を併発している方もいらっしゃいます。

編集部

改めて、月経の仕組みやサイクルについて教えてください

池田先生

月経は28日から35日前後の周期で繰り返し生じ、以下のような「4つの期」で構成されています。
月経期~1週目の低温期で、月経を伴います
卵胞期~2週目の低温期で、月経直後から排卵までを指します
排卵期~3週目の高温期で、排卵後の調整期です
黄体期~4週目の高温期で、月経前の不調を感じます

何度も続いていたら、受診が必要

編集部

受診の目安は、「頻発月経」が“繰り返し”起きていることでしょうか?

池田先生

「頻発月経」に限らず、いつもと異なる月経・出血が続いていたら、婦人科の受診をお勧めします。とくに妊娠を考えている方には、強くお願いしたいですね。

編集部

治療の内容について教えてください

池田先生

ホルモン剤の投与が効果的です。内膜症による卵巣機能不全に有効とされています。卵巣のう腫のようなその他の要因でも、その症状によっては、ホルモン剤を第一選択肢にしています。

編集部

受診先は、もちろん婦人科ですよね?

池田先生

婦人科をお勧めします。過去の例外としては、「痔」を発症していた方のケースでしょうか。月経と勘違いされていたようです。当院で診断のうえ、他院をご紹介しました。

その他の月経不順について

編集部

頻発月経のほか、月経の乱れにはどのようなものがありますか?

池田先生

3カ月以上月経の来ない「無月経」、月経の量が多い「過多月経」、逆に少ない「過小月経」などです。

編集部

複数の月経不順が併発することは?

池田先生

やはり、回数と量には関連性がありますよね。「たまにしか来ないけど量が多い」、あるいは、「頻繁に来るけど量が少ない」といった具合です。どちらか一方よりも、むしろ併発していることのほうが多いでしょう。

編集部

月経不順を放置しているとどうなるのでしょう?

池田先生

やはり、冒頭にもお話しした「不妊の恐れ」が問題ですね。可能性としては子宮頸がんも考えられますが、多くの場合、その前兆である「異形成」が現れます。これは、簡単に言うと「異常な細胞の塊」です。

編集部

「異形成」は、月経不順の人にだけ現れるのでしょうか?

池田先生

いえいえ、そうとは限りません。性交渉の多い方や50歳以上の方は、1年に1回の婦人科による定期健診をお勧めします。子宮の検査は特定健診などでおこなっていますが、超音波検査を実施していない場合もあるのです。検査項目に見当たらないようなら、婦人科で超音波検査をしてみましょう。もちろん保険の適用が可能です。

編集部まとめ

頻発月経が起きていたら、まず、卵巣の機能不全を疑うこと。そして、婦人科で適切な診断をしてもらうこと。池田先生は、定期健診を、「気付きの場として活用してほしい」と言います。日ごろ抱えていた不安や悩みが解消されたり、間違った認識が是正されたりすることもあるそうなので、積極的に受診してみましょう。