彼氏の異常な束縛から逃げようとして考えた、女の“あるメッセージ”とは…
東京では今日も、男女の間にあらゆるトラブルが発生している。なかには解決が難しい、不可解な事件も…。
そんな事件を鮮やかに解決してSNSを賑わせている、ある1人の男がいたー。
彼の名は光城タツヤ。職業は、探偵。
今日彼のもとにやってきたのは、同棲中の彼女が失踪してしまった1人の男だ。
あなたも、この事件の謎を考えてくれないだろうか…？彼女のInstagramに隠されていた、謎とは？
「田中さん。匂わせ投稿って、知ってますか？」
「なんですか？それ」
「亜衣さんの投稿、縦読みしてみてください」
すると電話の向こうにいる田中さんは、戸惑った様子で投稿文を読み上げ始めた。
「ええ？…なんだこれ。あ・し・た・あ・の・ば・しょ・で」
「そうです。では今、私がメールで送った葛城洋二さんの投稿を見てください。縦に読めますか？」
「わ・かっ・た・は・ち・じ・に。…なんだこれは！！」
彼が受話器の向こうで絶句しているのがわかった。
「あなたは亜衣さんのLINEや連絡先だけでなく、仕事用のSNSもすべて管理していた。じゃあ連絡をとることは不可能に近い。…ただ1つを除いては」
「ハァ、くだらないな！そもそも彼女は葛城をフォローしていないし、こんな誰でも見られるようなところでバカバカしいことをするはずがないだろう」
「その通りです。仕事用のアカウントでこんなことをするはずがない。…そう思うからこそ、亜衣さんはやりとりできたんですよ。
田中さん。あなたは彼女を束縛し、それを愛だと相手に押し付ける。でもそれは愛ではありません。ただの自己愛ですよ」
束縛彼氏に悩む女・亜衣（29歳）
「まただ…」
スマホの画面に表示された田中翔太の文字を見るだけで、震えが止まらない。
私の恋人で大手商社に勤める翔太は、年収1,500万円を超えるハイスペ男子だ。そんなわかりやすい彼の魅力に惹かれて、付き合い始めたけれど…。
「もしもし亜衣？今、赤坂見附だよね？」
「えっ、なんでわかるの？」
「GPSタグ、バッグに入れといたからだよ。その方が安心でしょ」
同棲してからというもの、翔太からの異常な束縛に悩まされることになったのだ。
そんなある日。
あるユニセックスのコスメブランドの撮影で、プロスポーツ選手の葛城洋二と出会った。
翔太とは対照的で、おおらかな彼に一瞬で惹かれてしまった私。Instagramでフォローしあい、DMからLINEへ。そして何度かこっそり逢瀬を重ねた。
しかし彼とやりとりしていたことが、翔太にバレたのだ。それから私は、今まで以上に翔太から監視されるようになった。
私の通話履歴にメール。LINEからSNSのDMまで、そのすべてを翔太にチェックされる。
耐えきれず彼に別れを切り出したけれど、受け止めてくれることはなく…。癇癪を起こして暴言を吐かれる。だからジッと耐えるしかなかった。そして、少しの希望に賭けてみたのだ。
『よ・う・じ・あ・い・た・い』
Instagramの投稿を縦読みすると、そう読めるように…。
『ぼ・く・も・あ・い・た・い』
彼からの返事は、すぐにきた。
それから私は、Instagramの匂わせ投稿を使って家出の計画をしたのだ。こうすれば、証拠が残らない。
翔太に気づかれないよう、部屋にある私物はすべてそのままにしておく。
そして当日。身一つで部屋を出たのだった。
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