イーロン・マスク氏によるTwitter買収劇の後、Twitterでは陰謀論者や差別主義者のアカウントが次々と復活したり、マスク氏の意向と思われるジャーナリスト大量凍結が発生したりと、非常に不安定な状態が続いています。そんな中、ウェブブラウザ「Firefox」やメールソフト「Thunderbird」の開発で知られる非営利団体のMozillaが、「SNSの健全な代替手段」を提供するべく研究開発を進めていることを発表しました。記事作成時点では、Mastodonに関する取り組みを進めているとのことです。

Mozilla to Explore Healthy Social Media Alternative

https://blog.mozilla.org/en/mozilla/mozilla-launch-fediverse-instance-social-media-alternative/

Mastodonはオープンソースで開発されているSNSで、Twitterにおける「ツイート」「いいね」「リツイート」などに相当する機能が完備されています。Mastodonの大きな特徴は、個人や団体がそれぞれの用途に合わせて「インスタンス」を設立し、独自のSNSとして運用できる点です。インスタンスは例えるなら「ミニTwitter」のようなもので、「成人向けコンテンツ共有化」「ゲームの話限定」など独自のルールを持つインスタンスがインターネット上に無数に存在しています。

インスタンスの中には企業や団体によって運営されているものも多く、例えば日本ではイラスト投稿サービスのpixivが設立し記事作成時点ではラッセルが運営しているインスタンス「Pawoo」が人気を集めています。



Mastodonのようなサービスは「分散型SNS」や「Fediverse」と呼ばれており、Mastodon以外にも「Matrix」や「Pixelfed」といった分散型SNSがオープンソースで開発されています。Mozillaは、「私たちは、利益と支配を動機とするテクノロジー企業から独立し、独自のルールで繁栄するSNS空間の持続可能な成長に貢献することを目的としています」「分散型SNSは、単一のエンティティによる集中管理から人類を保護するための有望な仕組みです」と述べ、2023年初頭に分散型SNS上にインスタンスを設立することを発表しました。

記事作成時点では、MozillaはMastodonでのテストを開始しているとのこと。また、Mozillaは「分散型SNSの可能性は、Mastodon単体よりも大きいと信じています。私たちは分散型SNSに広く存在する問題について取り組めることを楽しみにしています」と述べ、Mastodon以外の分散型SNSについても研究支援を行う姿勢を示しています。

なお、ブラウザ開発者と分散型SNSを巡っては、2022年11月にVivaldiがMastodonインスタンス「Vivaldi Social」を設立しています。

Vivaldi Social - Mastodon インスタンス「Vivaldi Social」 | Vivaldi Browser

https://vivaldi.com/ja/blog/vivaldi-social-a-new-mastodon-instance/