創立70周年 ANAの「始まりの旅客機」はどんな機体? 記念すべき初フライトは“逸話”も
有名な「最初はヘリだった」…のちょっとだけ先の話。
デ・ハビランド社のプロペラ機DH-104「ダブ」
2022年12月、ANA(全日空)が創立70周年を迎えます。同社は70年前、ANAの前身「日本ヘリコプター」として、日本初の純民間航空会社として事業をスタート。そのときは旅客機よりも安価なヘリコプター2機体制で事業をはじめ、社員28人で始まった「ベンチャー企業」だったそうです。公式サイトによると、このヘリでの運航ののち、「日本ヘリコプター」で初めて導入された旅客機が、イギリスのデ・ハビランド社のプロペラ機DH-104「ダブ」でした。
デ・ハビランド社のプロペラ機DH-104「ダブ」(画像:ANA)。
DH-104「ダブ」はのちに世界初のジェット旅客機「コメット」やANAも導入した「バイカウント」などを設計開発したイギリス・ブラバゾン卿を中心とした研究グループが設計。500機以上が製造された、イギリス産としては屈指のヒット機です。全長約17mで2基のエンジンを搭載し、8〜11席を搭載できます。胴体形状は、機体前方、操縦席の上方あたりがぽっこりと膨らんでいることが特徴です。
ANAでは1953年12月から1962年7月まで「ダブ」を使用。デビュー便となったのは日本ヘリコプター時代の1953年12月15日に始まった東京〜大阪間の貨物郵便運航でした。また同便は、日本人パイロットによる戦後最初の定期便となりました。
このとき、ANAのもう一つの前身、極東航空のタブ機が大阪から飛び立ち、途中経路の静岡・焼津上空で、互いのパイロットが合図を送りながら、すれ違ったという逸話も残されています。
翌1954年2月に「ダブ」は、東京〜大阪間での旅客便運航もスタート。以来「ダブ」は、日本ヘリコプター・極東航空の両社で岩国〜福岡線、東京〜八丈島線、大阪〜松山線をはじめとする新路線の開設初便を担当しています。また日本ヘリコプターでは、「ダブ」を胴体延長し、4発エンジンとした姉妹機DH-114「ヘロン」も導入し、この2機種はANAの草創期を支えることになりました。