熊本空港アクセス鉄道「肥後大津から分岐」に 決め手は″JR直通″ 3ルートから選定
「三里木ルート」「原水ルート」よりも優勢になっています。
調査結果を踏まえ委員会で趨勢
肥後大津駅に到着する豊肥本線の電車(乗りものニュース編集部撮影)。
熊本県は2022年11月25日(金)、阿蘇くまもと空港へのアクセス鉄道について検討する「空港アクセス検討委員会」について、9日に開かれた第5回の議事内容を公開しました。
熊本空港アクセス鉄道は、現在バスでしか到達できない阿蘇くまもと空港へ、JR豊肥本線から分岐する形の鉄道新路線を整備する構想です。検討用想定として1日49本の運行で2034年度開業、単線で建設されることになっています。
前回は「事業化を果たすため、十分な便益を生むことができるルートにしたい。従来の『三里木駅から分岐するルート』にこだわらず、周辺地域の開発状況などを加味して『原水ルート』『肥後大津ルート』も比較検討してはどうか」という結論になっていました。
その際は、原水駅が最寄りの工業団地「セミコンテクノパーク」に台湾の大手半導体メーカー「TSMC」が進出することを踏まえ、そのアクセスとしても有利かもしれないという意見がありました。
さて、その比較検討の"中間的な調査"の結果、概算事業費が一番安く、費用便益比も一番大きいのが「肥後大津ルート」となりました。セミコンテクノパークだけでなく、大津町周辺にも人口や企業進出が複数あり、その経済効果も後押しとなった格好です。
決定打となったのが、肥後大津ルートが「JR直通が可能な唯一のルート」であること。もともとJR九州は基本事項の同意内容で「JRとは直通しない」としていました。しかしそのJR九州が直通可能性について言及したことで、「空港〜熊本駅直結」を願う熊本県にとっては、流れが大きく変わったと言えるでしょう。
肥後大津ルートが唯一直通可能である理由は明らかにされていませんが、三里木・原水の両駅が簡素な構造であるのに対し、肥後大津駅は電化・非電化区間の境界駅であり、特急も停車することから設備もある程度整っていることが挙げられるでしょう。委員会ではJR九州の中野熊本支社長が「鉄道事業者として、一般論としては肥後大津ルートが素直と感じている」と発言しています。
9月の県議会の定例会本会議で蒲島知事は「(追加調査の中間的な調査概要や)現段階では定量的に試算できない様々な効果までを含めて考えると、私は『肥後大津ルートに将来の発展性』を感じている」と発言しています。
今後さらに検討が進められ、正式なルート選定結果が発表される見込みです。
※一部修正しました(12月2日12時25分)。