JAL加入の「ワンワールド」、ANA加入の「スタアラ」、いずれでもありませんが…。

国内線ネットワークが充実した4隅の空港へ就航

 外資系の航空会社のなかで日本路線に大きな注力を図っているのが、アメリカの航空会社、デルタ航空です。同社は2022年11月29日、企業関係者や旅行会社、報道陣などへ向け、最新のスケジュール、ネットワーク、サービスなどを紹介しています。


デルタ航空の旅客機(乗りものニュース編集部撮影)。

 デルタ航空は2020年3月、前身企業のひとつであるノースウエスト航空時代から一大拠点を築いていた成田空港での定期便運航を全面終了し、羽田空港発着に移行。2022年7月からは、アメリカ以外の空港では唯一となる、航空会社ラウンジ「デルタスカイクラブ」をオープンさせています。「日本は最重要マーケットのひとつで、今後もそうであることを約束します」。同社のマテオ・クルチオアジア太平洋地区担当副社長は、次のようにコメントしています。

 羽田移管後の同社を襲ったのが、新型コロナウイルス感染拡大による航空需要の大幅な減少。ただ現状はそこから回復基調を辿っており、羽田〜ロサンゼルス、シアトル、デトロイト、アトランタ線などの運航を開始しています。同社の担当者は「座席供給量は2019年比の70%まで、2022年夏ダイヤと比べると倍近い量に回復している」としています。

 これらの4空港は、アメリカの北西、南西、北東、南東の4隅をカバーする「バランスの良いネットワーク」(担当者)で、同社便への乗り継ぎでアメリカ国内の主要都市へのアクセスに優れていることが特徴といいます。また、コロナ禍においては、たとえばシアトル空港では施設の改修によって、処理能力が2倍となり、乗り継ぎが15分短縮されるなどのアップデートが図られているとのことです。

 また、コロナ禍のなかでは日本発着便を担当する旅客機も、エアバスA330neoやA350-900といった同社の最新鋭機に更新。現状では、日本線はすべてこの2モデルが用いられており、それらの機齢は「最長でも5年」(担当者)といいます。

 こういった新鋭旅客機を投入することで、旅客は最新の客室仕様を体験できるほか、環境への影響や消費燃料を減らすことができるとしています。また、ビジネスクラス機内食では「お茶漬け」やお米にこだわった和食が提供されるほか、エコノミークラスでも、耳栓やスリッパ、スターバックスのコーヒーを提供することをアピールしています。

地方からの乗り継ぎの戦略 来年にはホノルル線も再開へ

 一方で、日本人にとってはネックとなりそうな点も存在します。現在就航している羽田や中部以外の空港ユーザーに対する、乗り継ぎの利便性です。

 デルタ航空は「スカイチーム」という航空連合に属しています。JAL(日本航空)やアメリカン航空らが加盟する「ワンワールド」、ANA(全日空)やユナイテッド航空らが加盟する「スターアライアンス」と異なり、「スカイチーム」は国内航空会社と提携しておらず、マイレージ提携やコードシェア(共同運航)便での予約はできません。この場合、地方〜羽田〜アメリカのネットワークが作りづらい傾向にあります。

 そこで同社は「スカイチーム」に所属し、韓国と新千歳、那覇、福岡(コロナ禍前は青森、小松、鹿児島などもあった)といった各地方空港を結ぶ、大韓航空と共同事業をする取り組みを実施しています。「韓国の仁川空港は、入国審査もなく受託手荷物もスルー(乗り継ぎ空港で受託手荷物を一旦返却されることなく、預けたまま乗り継げること)でき、日本の空港と同じ感覚で乗り継げる場所だ」(担当者)としています。


デルタ航空によるプレゼンテーションの様子(2022年11月29日、乗りものニュース編集部撮影)。

 ただし、座席供給量こそ大きく回復したものの、現在デルタ航空の日本路線は、当初予定されていたミネアポリス、ポートランド、ホノルル線は運航されていません。

 同社によると現状では、本来2022年12月再開を予定していた羽田〜ホノルル線は、2022年3月に就航を予定。ミネアポリス、ポートランド線は2023年夏ダイヤからの再開を予定しているとのことです。なおホノルル線では、先述した2タイプの新鋭機ではなく、ボーイング767-300ERが使用される予定としています。