6月にエンゼルスの監督を解任されたジョー・マドン氏【写真:Getty Images】

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6月にエンゼルスの監督を解任となったマドン氏が自著を出版

 6月にエンゼルスの監督を解任されたジョー・マドン氏の自著が11日(日本時間12日)に出版される。発売に先立ち、一部が米スポーツ専門誌「スポーツ・イラストレイテッド」で公開された。その中では、解任当日の状況や、ペリー・ミナシアンGMとの確執について言及されている。

 結果的に、フロントとの対立により解任となったマドン氏。同誌の記事によると、フロントに対する怒りが沸点に達したのは、5月9日(同10日)に11-3で勝利した本拠地レイズ戦でのことだった。7回に大谷翔平投手の2打席連発となる6号満塁弾などで5点を挙げ、11-3でリード。ベンチが盛り上がる中、トレーナーのマイク・フロスタッドがマドン氏の元へ近寄り「今ペリーが叫んでいる。(マイク・)トラウトを下げるように言っている」とベンチに交代を要求していることを伝達。試合前にトラウトは股関節に若干の痛みを訴えてはいたものの、その後痛みが消えて大丈夫だと言っていたという。

 フロントからの干渉にマドン氏は、神聖な規約が破られたと感じており、翌日にミナシアンGMに「聞け。今後二度とダグアウトに電話するな!」と激怒した。それから1か月後の6月6日(同7日)にチームは当時球団ワーストタイとなる12連敗。翌7日(同8日)にミナシアンGMはマドン氏の自宅に訪れ、「変化をつける。ジョー、やらないといけないことがある」と解任を言い渡した。

 データを重要視するミナシアンGMと、感覚派であるマドン氏には意見の相違があった。マドン氏も嫌気がさしていたようで、9月には米スポーツ専門メディア「ジ・アスレチック」のポッドキャスト番組「ジ・アスレチック・ベースボール・ショー」に出演した際、「分析担当の人間がコーチの部屋に入ることをGMが許すようになった。彼らの影響力や権威がコーチをしのぐところまで来ている。それは間違っていると思う」と批判していた。

 マドン氏は「監督を解任する唯一の理由は、選手と監督に大きな溝があるときか、監督とGM、又はオーナーの間に哲学的な違いがあるときだ。ペリーと哲学的な違いがあることについては責任を認める。むきになったりはしない。これはビジネスだ」と冷静に回顧。その一方、問題点も肌身で感じたようで「今、監督はフロント陣が求めていることを正確に遂行することが求められる。関係性を構築しておくことは大事だが、自分の考え、仕事や選手に対する提案は制限されてしまう。これが現状だ」と、フロントの意向が強くなる現状を憂えている。(Full-Count編集部)