減速時にはうまく使いたいエンジンブレーキ。しかし、なるべくエンジンブレーキを使おうとすると、かえって危険になることもあります。

エンジンブレーキはどういうときに使うのか

「前のクルマ、またブレーキ踏んでる」

 高速道路などで急加速と急減速を繰り返すようなクルマは、後続車や周囲の流れを乱すため敬遠されることも。クルマが多いときは、車間距離をとりエンジンブレーキを活用しながらスピードをコントロールのがよいといわれます。


長い下り坂ではエンジンブレーキを使えといわれる。写真はイメージ(画像:写真AC)。

 エンジンブレーキは、このように高速道路での緩やかな減速のほか、長い下り坂では「エンジンブレーキ活用」などと看板で促しているケースもあります。ただ、なるべくエンジンブレーキを使おうと意識しすぎるのも、かえって危険だと、ある東京都内の自動車教習所の教官は話します。

 低いギアにシフトダウンするほど、エンジンブレーキはより強くかかりますが、ブレーキランプは点灯しないため、特に高速道路の下り坂では追突の危険も高まるといいます。しっかり減速するフットブレーキの“代わり”にしようとするのは、後続車にも伝わりづらいといえます。

 一方、長い下り坂でエンジンブレーキが推奨されるのは、フットブレーキを踏み続けるとブレーキが高熱になり効かなくなる可能性があるからです。前出の教官によると、エンジンブレーキを意識して使うのは、有名な栃木県日光の「いろは坂」などの長い下り坂で、フットブレーキの負担を軽減するため補助的に使うと考えた方がいいと話します。

 なお、エンジンブレーキによるクルマへの負担という観点では、いまのクルマは速度に合わせてコンピューターが自動で変速を調整するため、過度な負担はかからないだろうといいます。ただ、電子制御でない昔のAT車などを含め、まずオーバードライブをオフにし、2速、1速というように段階的に変速する方がよいということです。