渋谷・表参道の都会の中を、屋根なし二階建てバスでめぐる「渋谷オープントップバスツアー」が10月から限定運行されます。それに先立ち、試乗会が行われました。

東急グループ100周年の記念ツアー

 渋谷・表参道の都会の中を、屋根なし二階建てバスでめぐる「渋谷オープントップバスツアー」(東急バス)が、2022年10月8日(土)から約2か月間運行されます。


座席がカラフルな「東急100周年記念」オープントップバス(乗りものニュース編集部撮影)。

 これは東急グループの創立100周年を記念した催しのひとつで、東急バスとしては、渋谷の街を観光資源としてより活用するにあたり、需要を図る思惑もあるといいます。期間中の土休日は1日5便運行される予定です。

 運行開始に先だって、9月27日に試乗会が実施され、さっそくその「ちょっと新鮮な車窓風景」を体験してみました。
 
 ツアーは渋谷駅西口の渋谷フクラスを発着し、約40分間で公園通りから青山通り、表参道、道玄坂などを周遊します。道中ではバスガイドが同乗し、沿線の名所や風景の解説、地名の由来などの説明があります。

 使用車両は1997年製の三菱・エアロキング。車体デザインは、東急の鉄道車両で4月から導入されている「100周年トレイン」と同様の、白地に赤・緑・黄の数字がちりばめられているものになっています。

オープントップバスからの渋谷がいつもと違うワケ

 渋谷フクラスを出ると、早速スクランブル交差点を通過します。展望台からの風景とも異なる、「交差点を通過しながら交差点を見下ろす」という不思議な光景でツアーがはじまります。


オープントップバスから見た渋谷の街(乗りものニュース編集部撮影)。

 その次は渋谷ならではともいえる、激しいアップダウンと狭隘な通りを縫うように走るルートに。公園通りや道玄坂など、普段は徒歩などで抜ける街の風景も、バスの速度と高い位置もあいまって、鳥が悠然と滑空するように移ろっていきます。

 うってかわって青山通りは、道路幅も広く、空の青が一気に広く感じます。しかし表参道に入るとケヤキ並木が頭上一面を覆います。エリアによってコロコロと目まぐるしく渋谷周辺の雰囲気を味わっているうちに、バスは渋谷フクラスへ到着しました。

 バスガイドは「現代の人たちはスマホの操作を含めて、うつむき加減で街を歩いていて、上を眺めることは少ないのではないでしょうか。この機会に、渋谷の『上』の景色を楽しんでみてはいかがでしょう」と案内します。近年だけでも高層ビルがあちこちに連なっていった渋谷の「見上げて楽しむ風景」がそこにあります。

 その「見上げて楽しむ風景」を「クルマによって短時間で移動して満喫できる」ことを可能にするのが、「屋根なしバス」の強みと言えるでしょう。都内では「はとバス」や「スカイバス東京」などでオープントップバスが運行中。東急バスも、自社ターミナルエリアのひとつである渋谷に、その可能性への期待をかけています。

 東急バスの古川卓代表取締役社長は「昨年に東急バスとしても30周年の節目を迎え、渋谷での観光バス運行を行っていくこととなり、グループ100周年の今年に運行開始を迎えることができました。約2か月の限定運行で得られる知見を活かし、今後のさらなる事業展開につなげていきたいです」と話しました。