Twitterを5兆6000億円で買収したイーロン・マスク氏に対して、EUがソーシャルメディアや検索プラットフォームを厳しく取り締まる「デジタルサービス法」に従わなければ多額の罰金や禁止令を出すリスクがあることを警告したと報じられています。

EU warns Elon Musk over Twitter moderation plans | Financial Times

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EU warns Elon Musk over Twitter moderation plans | Ars Technica

https://arstechnica.com/tech-policy/2022/04/eu-warns-elon-musk-over-twitter-moderation-plans/

2022年4月26日に、Twitterがイーロン・マスク氏による5兆6000億円の買収案に合意したことを発表しました。

Twitterがイーロン・マスクによる5兆6000億円の買収案に合意 - GIGAZINE



by Steve Jurvetson

マスク氏は、「言論の自由は民主主義が機能するための基盤」「Twitterは人類の未来にとって不可欠な事柄が議論されるデジタルな『街の広場』」と述べ、Twitterの株式を非公開にする意志を明らかにしています。

一方でEUは、欧州議会とEU加盟国の間で「デジタルサービス法」について合意に至ったと2022年4月25日に発表しました。このデジタルサービス法は、Twitterを含めた大手テクノロジー企業に対して、提供するソーシャルメディアや検索プラットフォームにおける誤情報の発信やターゲティング広告を禁止し、アルゴリズムの公開を義務付けています。

EUが「デジタルサービス法」で合意に至る、Google・Meta・Twitter・Amazonなどにコンテンツ監視やアルゴリズムの透明性を強制 - GIGAZINE



Twitterがマスク氏の買収提案を受け入れたと報じられた直後、EUの域内市場担当委員であるティエリー・ブルトン氏はイギリス日刊紙のFinancial Timesに対して「マスク氏はオンライン上の違法・有害コンテンツの管理に関する規則に従わなければなりません。私たちはすべての人を歓迎します。私たちはオープンですが、条件を設けています。ただ私たちがマスク氏に言えるのは『イーロン、ルールがあります。歓迎しますが、これは私たちのルールです。ここで適用されるのはあなたのルールではありません』ということです」と述べました。

デジタルサービス法推進派の中心人物といわれるブルトン氏は、ヨーロッパで最も影響力のあるデジタル規制派の1人であり、表現の自由を推進して規制を緩めようとするマスク氏の計画に対して「真偽の確認」を行いたいと述べています。

ブルトン氏は「市場から利益を得たい人は、私たちのルールを守らなければなりません。Twitterの役員会は、ヨーロッパでTwitterを運営する場合、モデレーションやオープンなアルゴリズム、言論の自由、規則の透明性、ヘイトスピーチ、リベンジポルノおよび嫌がらせに関する独自の規則の遵守義務などの義務を果たさなければならないことを確認する必要があります」と語りました。

さらにブルトン氏は「もしTwitterが私たちの法律に従わない場合、年間収益の最大6%という罰金を科し、それでも従わない場合はヨーロッパでの営業が禁止します」と、警告を付け加えました。

なお、ブルトン氏はTwitterで、「自動車であれ、ソーシャルメディアであれ、欧州で活動する企業は、持ち株比率に関係なく、我々のルールを遵守する必要があるのです。マスク氏はこのことをよくわかっています。自動車に関するEUのルールを熟知している彼ならば、デジタルサービス法にもすぐに適応するでしょう」とコメントしています。