持続可能な社会をつくるための「SDGs」という言葉が注目されています。一見難しそうに感じますが、じつは私たちの暮らしのなかに取り入れられることがたくさんあります。今回のテーマは「暮らしを助ける“サブスク”」について。SDGsに詳しいフジテレビの木幡美子さんにつづってもらいました。

忙しい日々を助けてくれる「サブスク」。じつは社会貢献につながるものも

会社からの帰り際、同僚が電車の中でなにやらスマホでレストランのメニューを検索している。
…と、画面をLINEに切り替え、「トマトペンネでいい?」
「サラダは?」とやり取りを始めた…。

あとで聞くと、帰宅後に娘さんと食べる夕食をUber Eatsで注文していたのです。「このタイミングで頼むとちょうど自宅に帰りついた頃に、届くんだよね〜!」と彼女。

なるほど〜!

●おうちごはんの選択肢の広がりは、働く女性にとっても強い味方に

もはや子育て終わった感がある私ですが、子どもが小さいときは、仕事帰りにメニューを考え、駅のそばのスーパーで買い物をし、両手に大荷物を抱え帰宅。服を着替える間もなくせっせと料理をしたものです。空腹がピークに達するにつれ機嫌が悪くなる娘を横目に、「こっちもヘロヘロなんだけど…」と泣きたくなることもしばしば。もし、当時こんな出前システムがあったら、どんなによかったか。

コロナで外食は制限されましたが、おうちごはんの選択肢は広がりました。そこへ行かなければ食べられなかったものが、スマホで“ポチっ”とやれば家に届くシステムは、子育て中のママたちだけでなく、いろいろな理由で外出できない人にも恩恵をもたらしていると思います。

ほとんどのレストランに、テイクアウトメニューができ、お店の味が手軽に楽しめるようにもなりました。もっと早くこうなっていたらよかったなぁと。

●調理済みの魚料理のサブスクが被災地応援にも

便利といえば、最近は毎月定額払いで、品物が定期的に届く、いわゆる「サブスク」がとても充実していますよね。私もいくつか試していますが、お気に入りは調理済みのお魚のサブスク「おのや」。毎月4種類×2個が冷凍で岩手県釜石市から届きます。

普段つくらないショウガ煮、オキメダイの西京焼き、ホタテのトマト煮など、量はそんなに多くないですが、もう一品というときに便利です。使われているお魚は三陸産で水揚げ状況によって内容が変わります。以前このコラムでサステナブルシーフードについて書きましたが、日本の漁業はいろいろな問題をかかえています。

このシステムは、生産者にとってもムダがなく、コンスタントな収入になるのでメリットがあるのではないでしょうか。また、私の担当するCSR(企業の社会的貢献)の取り組み「ずっとおうえんプロジェクト」で、東日本大震災の被災地支援をずっとやっていますが、被災地を応援するという意味でも、サブスクを通じてちょっとだけ貢献できていたらうれしいなぁと感じています。

●生産者から直接届く野菜のサブスク

野菜が届くサブスクもいろいろあります。

「食べチョク」というサービスは、生産者のこだわりがつまった野菜を、消費者に直接届けるオンライン直売所。ビビッドガーデン代表の秋元里奈さんが、規格に合った大きさ・形じゃないと売れない今の流通システムに疑問を感じ始めたものです。

●環境への配慮も考えられた、アフリカからバラが届くサブスク

また、これは友人に教えてもらったのですが、アフリカで育てられたバラの花が定期便で届く「アフリカローズ」というバラのサブスク。

ケニアの農園で育てられたバラをフェアトレードで日本に直輸入しているのです。ケニアにはシングルマザーが多いそうで、そんな女性たちの雇用を生み出し、経済的自立につなげています。

環境への配慮もしっかり行っていて、飛行機など、バラの輸送で排出されるCO2を計算し、その分をオフセット(出した分を吸収する)ため、植林や森林保護活動のために寄付しています。単品でも買えますので、母の日の贈り物にこういったストーリーがあるものを選ぶのもいいかもしれませんね。

社会貢献にもつながるサブスクやエシカル消費(地球環境、人、社会に優しいモノを購入、消費する行動のこと)は、利用者も生産者もハッピーになる仕組みで、楽しみながらSDGsや社会貢献にもつながります。

今回は紹介できませんでしたが、ほかにも、リサイクルの子ども服や靴が届くサブスクなど、ムダを省き循環型社会を目指しながら、利用する私たちも満足できるサービスがありますので、ぜひ活用してみてください。

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