これって、妻失格ですか…？ワンオペ育児になっても、夫と一緒に暮らしたくない妻の本音
男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。
出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。
-果たして、あの時どうすればよかったのだろうか？
できなかった答えあわせを、今ここで。
今週のテーマは「妻が急に別居婚を望んだ理由は？」という質問。さて、その答えとは？
▶【Q】はこちら：ある日突然、妻から受けた“別居婚”の提案。夫の気付かぬうちに妻がしていたコトは…
夫は、どこまで気がついていたのだろうか。私が別居婚を提案する前に、やり直すチャンスが何度もあったことに。
「駿くん。話があるんだけど」
「うん、どうした」
呑気な声で、何も知らぬ様子の夫。結婚するほど愛していたし、今でも大事に思っている。でも私の心は、もう決まっていた。
「ごめん、別居したい」
突然すぎたのか、そう伝えると駿はフリーズしてしまった。
「え……？ごめん千夏、それはどういう意味……？」
「離婚はしなくてもいい。ただ、別居したいの」
「別居婚ってこと…？」
「そうなるかな」
「好きな人でもできたの？」
「ううん。それはないよ。ただ一緒に暮らすのが、もう限界だなと思って」
どうして別居婚という結論に至ったのか？
子どもがいるから離婚はできないという理由もあるけれど、これは私なりの最大限の抵抗だった。
妻が別居婚を望んだ本当の理由とは？
A1：嫌いになったわけじゃない。ただ空気の読めない夫に苛立っていた。
駿との出会いは、職場だった。私が受付の仕事をしていた時に彼が気に入ってくれたようで、懸命にツテを使って食事会を開催してくれたのだ。
彼の積極的なアプローチに押されるかたちで交際が始まり、あれよあれよという間にプロポーズされて、結婚。
交際を開始してからわずか半年での入籍となったけれど、私たちは大丈夫だと思っていた。
駿の優しくて責任感の強い性格を知っていたし、きっといいパパになるんだろうなと思っていた。彼のご両親も素敵な人で、結婚前の不安はほぼゼロに近かったかもしれない。
ただ、現実とは残酷なものだ。
夫婦2人の時は良かったけれど、娘の柚が生まれてから、私はとにかく夫が鬱陶しくなってきた。
まず、夫の日々の些細な行動が苛立つようになった。
“産後鬱”なんて言葉があるように、産後はホルモンバランスが崩れ体型も変わる。出産前だと気にならなかったことが気になるようになったり、ちょっとしたことで落ち込んだり、不安になったりもする。
出産直後は、情緒不安定だった。
そんな状態だったことも大きいけれど、どうしても落ちない「＋3キロ」の体型に落ち込んでいたタイミングで、駿は私のお腹を触ってこんなことを言ってきた。
「ねぇ千夏。ちょっとお腹にお肉がついてきたんじゃない？」
以前だったら、笑い飛ばせていたのかもしれない。でも自分が一番触れて欲しくないと思っているところを触れてきた駿に、怒りを覚えた。
「ちょっと！やめてよ！」
私のなかでは違和感…いや、嫌悪感すら生まれてきた。
「ごめん千夏。別に悪い意味で言ったんじゃないからね」
「わかってるけど…。自分でも気にしているし、出産直後だから仕方ないじゃない。とにかく、あまり体を触らないで」
― その冗談、面白くないんだけど？
駿はまったく空気が読めない人だった。
そして私が一番驚いたのは、駿が家事にも育児にもまったく参加しなかったことだった。
娘の柚は夜泣きがひどくて、私は寝不足が続いていた。ある日、ようやく寝かしつけを終えてリビングへ戻ると、シンクには夕食の食器がそのまま残っていたのだ。
「誰が洗うのよ、これ…」
そうつぶやいたところで、答えは一つ。もちろん、私だ。ため息をつきながら洗い物をしていると、駿がキッチンに顔を出した。
「ねぇねぇ千夏。明日買い物に行くでしょ？その時に買ってきて欲しい物があってさ」
― 私が疲れているの、見えないの？
でも駿と結婚して、私は専業主婦になった。駿は外で働いてくれているし、全部私がやらないといけないのかもしれない。
頭ではわかっていても、体力的にしんどくて夫に対する苛立ちは募る。
「え？なに？今忙しいんだけど」
家事も育児も中途半端。夫だけではなく、そんな自分もほとほと嫌になった。
でもなぜ今のタイミングで別居婚なのか？妻の本音は…
A2：手間が増えるなら、ワンオペのほうがマシだと思った。
ただ、それでも私は“家族”というものを諦めたくなかった。だから駿とも一生懸命向かい合おうとした。
娘の成長とともに少しはマシになるかと思っていたけれど、駿は変わらないし、私も自分が嫌になるばかり。
駿は帰宅すると「疲れた」を連発する。私だって疲れているのに、「疲れた」という彼の言葉を聞いているだけでしんどくなるときがあった。
「あ〜……。今日も疲れたなぁ。本当に疲れた。仕事ってなんでこんなに大変なんだろう」
― 褒めて欲しいんだろうなぁ。
そうわかっていても、毎回笑顔で夫をなだめるほど、私は人間ができていない。私ができるのは、明るい話題を振って話題を変えることくらいだった。
「駿くんお疲れさま。今日ね、柚が保育園で褒められたんだよ」
「そうなの？すごいじゃん。千夏、いつもありがとう」
彼はいつも「ありがとう」をちゃんと言ってくれる。
ただ、「ありがとう」さえ言っておけばいいと思っているのか、基本的に柚の育児に関しては私に丸投げだった。
「駿くん、柚にこのオモチャ買ってもいい？右脳の発達にいいらしくてさ」
「うん、なんでもいいよ！千夏が好きなのを買いなよ」
生活費ももらっているし、贅沢な悩みなのかもしれない。それに私は専業主婦で、家事と育児が仕事だ。
何度もそう自分にそう言い聞かせてみるけれども、柚は私たち2人の子どもだ。私ひとりの子どもではない。でも彼は、私とは違う考えのようだった。
そう確信したのは、平日の夜、ご飯を食べながら駿に週末の約束を確認したときのこと。
「そういえば駿くん。来週末、お友達家族の家にみんなでお邪魔する話なんだけど…」
「あ……。忘れてた。ごめん、ゴルフ入れちゃった」
些細なことなのかもしれないけれど、この一言で私はすべてを悟った。
私は毎日娘のことを考えているのに、駿は何も考えていない。
毎日娘の食事を作ったあとに夫の分を用意し、彼の話を聞き、彼の食べた物を片付けて気を使う…。
― あれ？なんで私、駿の世話までしないといけないんだろう？手間が2倍になっていない？
「え！嘘でしょ？あのママ友、敵に回したら怖いんだからゴルフは断ってよ」
「無理だよ、こっちは仕事なんだし」
「そっか。それなら仕方ないね…」
「わかったよ…。ちょっとクライアントさんに聞いてみるね」
「駿くんありがとう！助かる！ごめんね」
外で働き、稼いできてくれるのは本当にありがたいし頭の下がる思いだ。感謝してもしきれないと思っている。
でもどう頑張っても、私は駿と一緒に暮らすのが無理になってきた。
いろいろとキッカケはあったし、話し合うこともできたと思う。でもこの瞬間、張り詰めていた糸がぷつんと切れてしまった。
こんな状況だったら娘と2人で暮らすほうがずっといい。どうせワンオペなのだから、いてもいなくても一緒。
いや、むしろ家にいられるほうが仕事が増えるだけ。
正直、駿が家にいる意味がわからなくなっていた。
娘がいる以上離婚する気はないけれど、夫の世話係になるつもりもない。
そう思い、私は別居婚を提案したのだった。
▶【Q】はこちら：ある日突然、妻から受けた“別居婚”の提案。夫の気付かぬうちに妻がしていたコトは…
▶1話目はこちら：「この男、セコすぎ…！」デートの最後に男が破ってしまった、禁断の掟
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